5/03/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第9節 C大阪 2vs0 川崎 #cerezo #photo #diary


随分と日が経って、ルヴァンカップ当日になってしまった、いけないな。

正直、未だに強いチームだとは感じていない。鹿島のように自分の勝ちパターンみたいなものがかっちり決まっていて、そこにハマれば勝てるんだという形が見えてこない。

守備から入り、じっとガマンして相手の勢いを削ぎ、そこからようやっと自分たちの攻撃が形になりはじめる。攻撃もセットプレーかサイドからの崩ししかレパートリーがないから点をとるまでに時間がかかる。

冒険はしない、勝っていようが負けていようが守備へのケアは必ず行う。それがユン監督のこだわり、セレッソのパターンなんだろうか。この試合では、いつものパターンから少し抜き出た存在、清武弘嗣が試合の流れを作ってくれた。

スターティングラインナップ


GK、キム ジンヒョン。DF、右から松田陸、ヨニッチ、山下達也、丸橋祐介。MF、ダブルボランチにソウザと山口蛍、右に復帰した清武弘嗣、左に柿谷曜一朗。FW、山村和也と杉本健勇。

リザーブ、丹野研太、田中裕介、関口訓充、木本恭生、水沼宏太、秋山大地、リカルド・サントス。

チョン・ソンリョンの壁


試合前半は川崎の守護神、チョン・ソンリョンの堅守が光った。真正面を突くシュートはともかく、25分あたりのソウザのシュートや、続く26分の山口蛍のシュートを止めてしまうのだから、頭を抱える。


ソウザのシュートは川崎DFの体に当って方向が変わったにも関わらず、片手一本ではじき出してしまったし、山口蛍の威力あるミドルシュートも余裕さえ感じるセービングで止めてしまった。もともとの身体能力、そして韓国代表として長くプレーしている経験が安定感に繋がっているのだろうか。川崎がここまで8試合で9失点というのもうなずける。

ただし、守備に関してはセレッソがその上を行っている。リーグ戦だけなら(ルヴァンカップ、鳥栖戦の4失点は置いておいて)8試合で7失点だ。


この日もいつものように、山村、杉本がハーフウェーラインあたりまで下がり、全体が縦横に密集して、将棋の「穴熊」よろしくゴール前を固めた。外国では「ゴール前にバスをとめる」というのだそうだが、このバスはかなりのラージサイズ。

川崎はこの密集陣形をなかなか崩せなかった。キム・ジンヒョンがいて、ヨニッチ、山下がいて、その前には山口蛍とソウザが並んでいる。そして彼らを核にした11人が組織だってボールを追う。オーソドックスな正面突破ではこの守備組織は崩れない。川崎側からすれば、リズムを変えられる司令塔、中村憲剛の不在が大きかった。

流れを変えた二つのプレー


この拮抗した流れの中で、川崎は二つのプレーをミスした。セレッソ側からすれば「助かった」ということになるだろう。

ひとつは、前半終了間際のPK失敗。もうひとつは、4-2-3-1から5-3-2へのシステム変更だ。


PKは選手の力量とその日の運次第だから、何も言わない。ただ、5バック気味にシステム変更したことに関しては、なぜ川崎がそうしたのかスタンドからうかがい知ることはできなかった。

確かにセレッソの攻めはサイドからの崩しが主体だけれども、だとすれば5-4-1が正解のはずで、中盤が3枚しかない5-3-2を選択したのが不思議だった。川崎、鬼木監督は試合後に

「ボランチを谷口(彰悟)でスタートしたんですけど、そこのところで彼だけではないが、全体的に少し距離感が悪く、単純なミスが多かったので、1回彼を後ろに下げて、サイドに起点というか、少し時間を持てるところを作ろうと思いました。ただ、それが良かったとは決して言えないような状況でした。」

と、コメントしているが、川崎が攻撃で得られてメリットはごくわずかで、守備で被ったデメリットの方がはるかに大きかった。

セレッソとすれば願ったりかなったりで、左サイドの柿谷、右サイドの清武が自由に動けるスペースが生まれた。写真撮りの人間からすれば、彼らが躍動している様子を撮れて、冥利につきた。前半立ち上がりの両人はスピード感がなかったけれど、川崎のシステム変更にあわせて、少しずつ激しい動き、仕掛ける姿勢を見せるようになった。

山村和也と清武弘嗣の「転調」


さて、話をチョン・ソンリョンに戻す。当たっているキーパーは、自信に溢れ、相手を自分の間合いに引き込んでしまう。相手を飲み込む勢い、と形容すべきか。


こういう勢いに乗った相手を倒すには、どうしても「転調」が必要だった。相手のリズムにはまらず、自分のリズムで攻撃を仕掛ける選手が不可欠だった。今までは柿谷がその役目を一人で担っていたけれど、今は山村がいて、清武がいて、杉本がいる。この試合、杉本はうまくいかなかったけれど、清武と山村がやってくれた。

清武のリズムはいい意味でも悪い意味でも独特だ。攻撃では割りと自由にポジションどりをして、相手守備陣をスルスルとかわしていく。一方で、攻撃が止められた時に、決められた守備位置に戻るまでどうしても時間があいてしまい、そこから全体が崩れてしまうことがあった。ルヴァンカップ鳥栖戦を経て、この試合では守備も改善され、よくよく働いてくれた。

山村は逆に自ら求められた役割に徹しすぎて、FWとして起用された最初の数試合は物足りなかった。空中戦専門、競り勝てたら他の人よろしくという塩梅で、お役所仕事のように見えた。それが、アウェイ鹿島戦でのゴールあたりから「こういうことをしてもいいのか、ああいうこともやれるのか」と徐々にプレーの幅を広げ、自分のペースで動き始めた。


キャプテンの手荒い祝福

清武は器用すぎて、山村は不器用すぎて、リズムを変えないでいる。それがよかったのだと、後になって思う。山村のシュートモーションは人より少しゆったりしていて、それでいて放たれるシュートは正確だ。得意の頭ではなく右足で、川崎のゴールをこじ開けた。清武は俊敏だったからこそ、柿谷のシュートのこぼれ球に詰めることができた。あのキーパー相手に二得点は素晴らしい結果だ。

守備固め


リードするまでの形はハッキリしていないセレッソだけれども、一度リードしてしまえば逃げ切りの形は見えている。

また時間はさかのぼって、山村が先制点を奪った時点から逃げ切り開始。前線の山村を最終ラインにまで下げて5バックに、前線は足がつっている杉本が気迫でこなす。ガス欠気味の丸橋、ソウザに代えて水沼を左サイドバックの位置に、秋山をボランチに入れて5-4-1(清武のゴールはその後に生まれている)

得点差がわずかの時、いい形でボールを奪うと「今は攻めるべきか、自重すべきか」というところで意思にズレが生まれ、バランスを崩すことがある。こうして「自分たちはこのスコアのまま終わらせるんだ」という意思表示をしてしまった方がシンプルでいいのかもしれない。嬉しい誤算の追加点を加え、2-0でタイムアップとなった。


正直、開幕前は不安でたまらなかった。昇格後の初ゴール、初勝利を見ても「いいや、まだまだ」という気でいた。恐らく、クラブもそうだろう。けれど、今はいくらかリラックスして試合を楽しむことができる。こういう流れのいい時期にしっかりを足場を固められれば、エレベータークラブというレッテルもはがせるのだけど……。

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