5/29/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第13節 神戸 1vs2 C大阪 #cerezo #photo #diary


初物尽くしの試合、だった。セレッソが先制されながら追いつかれたのも多分今季初だし(追記、すまない、札幌も甲府もだ。甲府なんざ自分で見に行ったのに・・・追いつかれて突き放した、ね)、柿谷曜一朗、杉本健勇、清武弘嗣といった主力を交代させたのも記憶にない。しかも、柿谷の場合は疲労をケアしたものではなく、勝つための、戦術的な交代だ。後は……細かいことだけれど、ユン・セレッソがリードしてから「定番」となった5バックを敷かなかったのも、珍しい。

スターティングラインナップ


GK、キム・ジンヒョン。DF、右から松田陸、マテイ・ヨニッチ、山下達也、丸橋祐介。MF、ボランチにソウザと山口蛍、二列目右に清武弘嗣、左に柿谷曜一朗、トップ下に山村和也。FW、ワントップに杉本健勇。

リザーブ、丹野研太、藤本康太、田中裕介、関口訓充、木本恭生、水沼宏太、澤上竜二。

先制と、ウエスクレイ投入が変えた流れ


セレッソは毎度のように攻撃時4-4-1-1、守備時は杉本と山村が並ぶ4-4-2。対する神戸もベースは4-4-2なので、人がガッチリ組み合う。こういう時、わずかの差異では試合は動かない。個々の能力に決定的な差があるか、どちらかがミスをしてしまうか、あるいは想像を超えるスーパープレーが出るか、ハッキリとした「驚き」がなければずっとにらみ合いになる。


幸い、「驚き」をもたらしてくれたのはセレッソ、ヨニッチだった。セレッソの攻撃は前線二人の高さを活かしたポストプレーからスタートすることが多いけれど、前半29分のヨニッチのパスは、神戸の高いラインの裏を突くものだった。同じく広大なスペースを使おうとした山村ともキッチリと意思疎通ができていた。山村が倒れながらも決めきって先制。


先制したセレッソはやたらと強い。しっかりした守備がベースにあるので、ちょっとやそっとでは崩せない。そう、崩せない「はず」だった。


その守備を崩したのは神戸を率いるネルシーニョ監督の驚くべき決断だった。前半36分という早い段階で、神戸の左サイドハーフである大森晃太郎を下げ、ウエスクレイを投入したのだ。最初はケガか何かアクシデントによるものかと考えていたが、これにはセレッソの守備を混乱させるための戦術的意図があった。

昨日撮った写真を見返すと、大森の写真はアップが多く、ウエスクレイはやや引きで撮れている。大森がスタンドに近いサイドからセレッソを突破しようとしていた証拠であり、ウエスクレイがピッチ中央から突破しようとた証拠でもある。

4-4-2どうしの戦いであれば、どの局面でも数的に同数だ。けれどもこの変化によって、ウエスクレイの近辺はセレッソの選手が一枚足りない状況が生まれた。右サイドハーフの清武が絞るのか、ボランチがガッチリついて山村を一列下げるのか、どうしていいか判断できない状態が何分間か続き、修正仕切る前に渡邉千真に同点弾を決められてしまった。その後すぐにユン監督が指示を飛ばし、ソウザがキッチリマークするようになったから、なおさら悔やまれる失点になった。

膠着状態を崩した柿谷の交代


ユン監督が後半の前半、14分という早い段階で仕掛けた策はより驚くべきものだった。キャプテンである柿谷を下げ、ケガ明け、水曜のルヴァンカップにも出場した水沼が投入されたのだ。水沼は右サイドに入り、清武は左サイドに回った。

正直、これはリスキーな交代だった。柿谷が不調で精彩を欠いていたのは事実だ。しかし、彼はセレッソには無くてはならない精神的な柱だ。それを引っ込めて負けてしまったら、ユン監督が積み上げてきた信頼感が全て吹き飛んでいたろう。それくらいの変化だった。

確かに水沼は馬力があり、献身的に走るいい選手だ。後半は疲弊から選手の間隔が間延びするものだが、その隙間をよく埋めてくれた。けれど、俺は冷や汗が止まらなかった。この試合の結果が今後の戦いに影響してしまう、その危機感が汗腺を開かせたのだろう。


幸い、この交代は最高の結果を産んだ。左サイドに回った清武からの崩しで山村が突破、センタリングを水沼自身がゴールに叩き込んでくれたのだ。

4-4-2のままフィニッシュ


この勝ち越し点が決まっても、試合が終わるまでは心穏やかにはなれなかった。前半あったウエスクレイ投入が記憶に残っていたのもその理由だ。ネルシーニョ監督が、リードすれば守備的にシフトするユン・セレッソに対する策を考えていないわけがない。


だからなのか、ユン監督はいつものような5-4-1、あるいは5-3-2といったシステム変更を行わなかった。足がつった清武を下げて関口、ポストプレーで疲弊した杉本の代役にはタフで強いフィジカルを持つ澤上を入れて、前からボールを追うようにしていた。

それでも神戸の攻撃は切れ味がよく、トップまで上がった高橋秀人のヘディングには肝を冷やした。ボランチが最終ラインに吸収されるよくない状態が続いたが、なんとかしのぎきり、勝利を得ることができた。


これで暫定ながらリーグ3位。去年J2で4位だったチームとは考えられない。華麗なテクニックだとか、華のあるプレーはない。選手の体がゴリゴリと削れていくようなタフな試合ばかりだ。けれども、どんな試合にも全力で臨み、ベストに近い結果を出しているユン・セレッソに対して不満は感じない。

柿谷曜一朗にしても、今はサイドハーフという不慣れなポジションで不満の残る成績しかあげられていないが、山村、杉本といった前線を封じる策が出てきたとしても「柿谷を一列上げる」という選択肢が残っているんだと、前向きにとらえるようにしている。

このまま吹田でのダービーに臨めれば、それは熱い試合になるだろうな。それまで勝ち続けないと。

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