8/11/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第21節 清水 3vs2 C大阪 #cerezo #photo #diary


夏の夜は、頭がぼうっとする。ピッチ上の誰もが同じ状態だった。選手も、ベンチも、熱帯夜の悪い夢の中で、ジタバタともがき苦しんでいるようだった。

クーラーの効いた部屋の中ではわからない「何か」が、セレッソの意識を鈍麻させていたのかもしれない。精密機器のような守備組織は、わずかの狂いで全てが瓦解する。7月から向こうのリーグ戦、FC東京に3-1、柏に2-1、浦和に4-2、ガンバに1-3、札幌に3-1、そして清水に2-3。8試合連続失点で11失点を献上している。直近の3試合の7失点は全て、強かったはずの後半に失点している。

スターティングラインナップ


GK、キム・ジンヒョン。DF、右から田中裕介、マテイ・ヨニッチ、木本恭生、丸橋祐介。MF、ソウザと山口蛍、二列目右には水沼宏太、左に柿谷曜一朗、トップ下には山村和也が復活した。FW、杉本健勇。

リザーブ、丹野研太、松田陸、ケガ明けの山下達也、関口訓充、福満隆貴、秋山大地、リカルド・サントス。

丸橋を釘付けにしたミッチェル・デューク


セレッソも清水もシステムは4バック。4-2-3-1と4-4-2の違いはあるが、守備時のセットは4-4-2で同じ。セレッソ、ユン・ジョンファン監督も、清水、小林伸二監督も、守備に一家言ある人物であり、同時に対戦前のリサーチをしっかりやってくる人物だ。よく似ている二人の監督と、それを具現化する22人がピッチに立ち、詰め将棋のような90分か始まった。


小林監督が仕掛けた策は、丸橋を攻め上がらせないことでセレッソの左半身を麻痺させよう、というものだった。186センチの清水MFミッチェル・デュークを178センチの丸橋に当てて、空中戦を仕掛けてきた。丸橋が動けば柿谷が連動し、そうすれば連続試合得点中の杉本へイキのいいパスが出て来る。だから、攻守のキーマンである丸橋を集中して狙っていた。キーパーからのフィードは全て、マッチアップするミッチェル・デュークに合わせるようになっていた。セレッソの攻撃の初手を封じることで、全体が瓦解するのを防いでいたのだ。


セレッソ対策と、対策ではどうにも出来ないセットプレー


小林監督のセレッソ対策は、攻撃においても至極明瞭だった。攻撃はサイド中心。ボランチ、FWの2枚はフリーで受けてもできる限り長くボールを持たない。終始徹底されていた。


セレッソの守備の肝は縦横にコンパクトな4-4-2のブロックで、ボールホルダーとは逆サイドのプレーヤーのマークを外すことで無駄な動きを減らす。ブロックに入ったボールは選手が密になり奪う。それを逆手に取っていたのだ。

ボールホルダーのサイドと逆サイドの選手がフリーになれば、センターバックやボランチを経由して必ずそちらにボールが回った。セレッソは約束通り、そのサイドにブロック全体をズラす。10人のフィードプレイヤー全員が、10メートルくらいの短いジョグを繰り返す。

それが緩慢になり、少しでもスキができれば、ボランチ(彼らは杉本、山村のトップと、2列目中央のソウザ、山口の間に入っていた)にボールが入り、素早く前線にリンクした。セレッソを意識した守備、セレッソを意識した攻撃が、セレッソの選手全員のスタミナを奪い続けた。


それでも、先制点はセレッソだった。セットプレーは、相手が「わかっていても止められない」オプションのひとつだ。セレッソは完敗を惜敗に、惜敗を同点に、同点を勝利に導くためにこれを有効活用してきた。前半24分、押し込まれ続けていたセレッソにとっては大事なコーナーキックを山村が決めた。審判も審議をするような微妙なものだったが、それでも苦しい中の先制点は千金の価値があった。

続く33分にもセットプレーから木本が決めた。復帰したての山村、そして山村、山下が抜けた時に屋台骨を支えた木本がゴールを決めたことで、セレッソはいい流れに乗るかと思われた。しかし清水は、セレッソが嫌がる攻撃、セレッソが嫌がる守備をし続け、反撃の機会を虎視眈々と狙っていた。流れの中からのプレーは清水がイニシアチブを取り続けていたから当然ではあるけれど……。

悪夢のような45分


セレッソは後半4失点した。1点はオフサイドの判定に救われたが、PKを奪われ、ファインゴールを2度食らった。偶然ではない、必然としての結果だった。


前半、酷暑の中でボールを回され続けて、セレッソのフィールドプレイヤーの思考は鈍麻していた。体が疲れれば心も疲れる、判断のスピードが遅くなり、ボールがブロックに入った時の反応が少しずつ遅くなっていった。北川航也の2ゴールはどちらも素晴らしいものだが、彼がボールに触れた瞬間、誰もアプローチにいってはいなかった。キム・ジンヒョンを責めるにはあまりにも酷な状況だった。

同点ゴールのリプレーを食い入るように見る山下

ベンチも手をこまねいていたわけではない。2-2の時点でパンクしていた柿谷とソウザを下げていて、同点のタイミングでリカルド・サントスを加えようとしていた。しかし、リカルドがベンチの指示を受けている間に3失点目を喫した。全てが後手に回ってしまった。

もちろん、勝つチャンス、引き分けるチャンスがなかったわけではない。後半立ち上がりに水沼が抜け出した時、柿谷が抜け出してヘディングをした時、終盤のパワープレーで木本がシュートをした時、どれかが決まっていれば……。しかし、現実は違った。


苦難の時を、乗り越える試練に変えて


セレッソは敗れ、暫定首位の座を鹿島に明け渡した。勝ち点差は現在2だが、鹿島は1試合多く試合を残している。13日の川崎戦に勝てば勝ち点差は5に開く、過酷な現実だ。それでも、チームを立て直す機会はある。シャーレを掲げるチャンスも、まだまだタップリと残っている。だからやるんだ、最後の最後まで。選手だってそう思っているだろう、サポーターが嘆いていてどうするというのさ?


口を真一文字にサポーターに応える。やり返す子供じみた健勇は、もういない

8/08/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第20節 C大阪 3vs1 札幌 #cerezo #photo #diary


仕事を覚える、というのはとかくわずらわしいものだ。「こういう時はこうする」という約束事がたくさんあって、新入社員や転職者は、最初の数日間は「はい、そうですね。」と相づちを打ちながらメモをとる。

「この約束事にはどんな意味があるんだろ?わずらわしいだけじゃないの?」

最初はそうぼやくことだってある。実際、オフィスワークではそういうこともあるしね。でも、おおよその場合、ある日ほとんどの仕事を覚えて、全体像が見えた時にパッと目の前が明るくなる。ああ、これはうまくできているな、どれが欠けてもダメだ、と。

今のセレッソは、まさにこんな状態だと思う。皆が全体像を掴んでいて、果たすべき役割りをしっかり把握している。やらなきゃいけないことを守り、その上にやりたいことを付け加えてプラスに変えていく。この完璧な勝利はダービーの敗戦を払拭するものになった。

2017明治安田生命J1リーグ 第22節 C大阪 4vs2 浦和 #cerezo #photo #diary

2017年3月4日15時53分 埼玉スタジアム2002

無様にやられていく様を、ただただ見ているしかなかった。4-4-2の守備ブロックでは浦和の守備時5-4-1、攻撃時4-1-5の変則フォーメーションに対応できなかった。急ごしらえの4バックでは、浦和の5人のアタッカーに対応できなかった。

それでも、ユン・ジョンファン監督は4-4-2システムの習熟を優先し、3-1というスコアを甘んじて受けた。そのお返しは、この試合でタップリのしを付けて、ペトロヴィッチ監督のもとに届けられた。

スターティングラインナップ

GK、キム・ジンヒョン。DF、右から松田陸、マテイ・ヨニッチ、山下達也、丸橋祐介。MF、ソウザと山口蛍、二列目右には水沼宏太、左に柿谷曜一朗、トップ下に山村。FW、ワントップに杉本健勇。

リザーブ、丹野研太、藤本康太、田中裕介、関口訓充、木本恭生、福満隆貴、澤上竜二。スターターは前節柏戦からは変化なし、リザーブは秋山大地が抜け、藤本が入っている。

2017年7月22日19時10分 ヤンマースタジアム長居 覚醒した「未完の大器」

7/30/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第19節 G大阪 3vs1 C大阪 #cerezo #photo #diary


このブログを見ていただいている方は、サポーター歴が長めだと感じている。けれど、2015年以降にサポーターになられた方、今年J1に上がって、強いセレッソばかりをご覧になられている方も、何人、何十人かくらいはいらっしゃるかもしれない。その方たちに伝えたい事がある。

敗れるとは、こういうことだ。ダービーで、ライバルチームに「イキられる」とは、こういうことだ。

屈辱と、徒労と、無力感と、絶望と、そういう苦しみや痛みや悲しさを、一年間引きずる。それが敗者へのペナルティなのだ。

7/09/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第18節 C大阪 2vs1 柏 #cerezo #photo #diary


とうとう、セレッソが一位になるたびにびりついてきた「暫定」という文字が消えた。東京戦の観戦記を書く前に消えた(おい)ああ、全ての試合に勝てば俺達は優勝するんだ、そういう位置にいるんだ。嬉しいのもあるけれど、居心地が悪いって気分もある、慣れないな。

このままずっと好調ってわけにはいかないだろう、不調になって、苦しい時もあるはずだ。ただ、贅沢を言わせてもらえれば、34節全てが終わった時、この場所に座らせてもらいたいな……。

6/26/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第16節 仙台 2vs4 C大阪 (DAZN観戦) #cerezo #photo #diary

※写真は全て6月17日清水戦のもの

風水では、自分から見て北東(艮(うしとら))の方角を「鬼門」という。文字の通り鬼が出入りする忌み嫌われた方角なのだそうだ。京都では比叡山がそこにあって延暦寺を置いた。江戸では浅草に寛永寺を置いてそこを封じた。

日本独自の風水信仰だそうだが、セレッソを20年も応援しているとこの言い伝えを信じたくもなる。大阪の北東、遥か彼方には杜の都、仙台があり、永くセレッソを苦しめてきた。ユアテックスタジアム仙台で最後に勝ったのは2003年なのだそうだ。4歳だったわが娘は今年、高校3年生になり、キンチョウスタジアムは長居球技場と呼ばれた人工芝のスタジアムだったのが、今は天然芝に張り替えられ、さらに現在3万人収容の豪奢な計画が練られている。それほど永い間、俺達は鬼門に苦しめられてきたんだ。

6/21/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第15節 C大阪 1vs1 清水 #cerezo #photo #diary


俺は、小林伸二監督のことを「日本サッカー界のホー・チ・ミン」と呼んでいる。サッカーに情熱を傾け、限られた手駒の中で最善を尽くして、現実と自らの理想との距離を1ミリでも近づけようとする「執念」。それは、大国アメリカを敵に回しながら、徹底抗戦でそれを跳ね返し、権力を手にすることより、自らの理想を具現化することにその身を捧げた偉大なる「ホーおじさん」の姿と重なる。

巨大戦力と優秀な指揮官を得たセレッソも、「ホーおじさん」から奇襲を喰らい、危うく星を落とすところだった。

6/14/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第14節 C大阪 4vs0 新潟 #cerezo #photo #diary


去年の今頃は、J2で、自動昇格圏か、それともプレーオフかともがき苦しんでたよな。それが今年、J1で首位争いをしている。後半勝負なんて苦手だったのに、今じゃ時間が経つほど強くなる。夢を見ているような、不思議な感覚だった。

後半40分過ぎに、守備のために長距離スプリントをしている山村和也を撮ったときには仰天した。もうバテバテなはずなのに、笑ってたんだ。

5/29/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第13節 神戸 1vs2 C大阪 #cerezo #photo #diary


初物尽くしの試合、だった。セレッソが先制されながら追いつかれたのも多分今季初だし(追記、すまない、札幌も甲府もだ。甲府なんざ自分で見に行ったのに・・・追いつかれて突き放した、ね)、柿谷曜一朗、杉本健勇、清武弘嗣といった主力を交代させたのも記憶にない。しかも、柿谷の場合は疲労をケアしたものではなく、勝つための、戦術的な交代だ。後は……細かいことだけれど、ユン・セレッソがリードしてから「定番」となった5バックを敷かなかったのも、珍しい。

5/27/2017

2017JリーグYBCルヴァンカップ 第6節 C大阪 1vs0 神戸 #cerezo #photo #diary


水曜の試合は……とても興味深かった。セレッソの守備が堅い理由が、選手個々人の能力なのか、それともユン・ジョンファン監督のが指導している守備戦術なのか。

神戸はほぼ主力級のメンバーで臨んだのに対し、セレッソはU-23や、さらに若いクラスの選手を出場させた。キンチョウスタジアムはさながら「ユン・システム」の強度を確かめる実験場のようだった。

5/21/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第12節 大宮 0vs3 C大阪 #cerezo #photo #diary


スコアだけ見れば、完勝。大宮を完全に封殺し、得意のセットプレーで得点を稼ぎ、その上、今まで見られなかった流れの中からの得点まで決めてみせた。けれど、選手の能力に関しては、スコア以上の力の差はなかったように思う。ほんの少しの差、守備の約束事だとか、セットプレーの引き出しの多さだとか、そういう細かな違いがワインの「おり」のように積もり積もって、このスコアになったんだと感じた。

5/15/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第11節 C大阪 5vs2 広島 #cerezo #photo #diary


今年のセレッソはどんどん伸びる。特定の戦術にハマって負けてもそれをいい意味で反省して、修正して、何かしらの打開策を考えてくる。昨日の試合を振り返るためには、第2節の浦和戦と、YBCルヴァンカップ第4節の広島戦を観ておく必要がある。広島、浦和が採用している3-4-2-1を、ユン・ジョンファン監督がどう打開しようとしたか。その伏線がはられているから。

5/12/2017

2017JリーグYBCルヴァンカップ 第5節 C大阪 1vs0 新潟 #cerezo #photo #diary


やっと水曜の試合の写真が贈れる。ゴメン、待たせた!!

5/07/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第10節 柏 1vs0 C大阪 #cerezo #photo #diary


今期二敗目。その二つとも、現地で見てしまった。浦和相手にはチームとしての完成度にやられてしまったけれど、今日の敗戦は正直、もったいないなと感じる。

組織的に崩されたわけではなく、組織的に封じ込められたわけでもない。ただ、あの一瞬だけが悔やまれる。

5/03/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第9節 C大阪 2vs0 川崎 #cerezo #photo #diary


随分と日が経って、ルヴァンカップ当日になってしまった、いけないな。

正直、未だに強いチームだとは感じていない。鹿島のように自分の勝ちパターンみたいなものがかっちり決まっていて、そこにハマれば勝てるんだという形が見えてこない。

守備から入り、じっとガマンして相手の勢いを削ぎ、そこからようやっと自分たちの攻撃が形になりはじめる。攻撃もセットプレーかサイドからの崩ししかレパートリーがないから点をとるまでに時間がかかる。

冒険はしない、勝っていようが負けていようが守備へのケアは必ず行う。それがユン監督のこだわり、セレッソのパターンなんだろうか。この試合では、いつものパターンから少し抜き出た存在、清武弘嗣が試合の流れを作ってくれた。

4/23/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第8節 甲府 1vs1 C大阪 #cerezo #photo #diary


さすがに週末の甲府駅は混んでいる。俺は早々に駅弁とヤケ酒を買い込んで、静岡行きの電車が来るのを待っている。

はあ…。危ないと感じたシーンはただ一度だけだったし、逆にゴールを予感させるシーンはたくさんあったし…。けれど、結果は引き分け。ダービーに続いて消化不良のゲームを観ることになった。

4/17/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第7節 C大阪 2vs2 G大阪 #cerezo #photo #diary


逃したものの大きさがどれほどだったか、柿谷曜一朗のこの表情が全てを物語っている。

もし、昨日の試合に勝てていれば、2ゴールをあげた杉本健勇は本当のエースストライカーとしてこれ以上無い進歩をしただろう。それに、鈍化しているガンバの勢いをますます鈍らせることができた。セレッソは、鹿島戦で得た自信を確信に変えることができた。

それだけに、ロスタイムの失点は許容できるものではなかった。どんなに不格好でも守りきる意地がほしかった。

4/09/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第6節 鹿島 0vs1 C大阪 #cerezo #photo #diary


夜行バスで東京に、さらにそこから高速バスで鹿島に。ご存知の通りカシマサッカースタジアムはどの方面からでもアクセスが悪い。おまけに神様が霧吹きを持ってイタズラをしたような霧雨が、ずっとスタジアムを濡らしていた。体やカメラにまとわりついて、カメラを持っている人間にとっては非常にタフなコンディションになった。


それでも、観やすい専用スタジアムで、今年最高のゲームが観られたんだから笑顔笑顔だ。東京駅に着いたら駅弁とハイボールでも買い込むか。

4/02/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第5節 C大阪 2vs0 横浜FM #cerezo #photo #diary


試合後の会見で、ユン・ジョンファン監督は「やりたいことが全てできた」と語っていた。攻撃にワクワク感が求めないとか、そういうのも含めて全て「やりたいこと」なんだと思う。手堅く、地道に、コツコツと勝ち点を積み重ねていく。そま堅実性こそがユン・ジョンファン監督の目指すサッカーなんだろう。

スターティングラインナップ


清武弘嗣が全治二週間のケガで離脱、代わりにキーパーのキム・ジンヒョンが戻ってきてくれた。

GKキム・ジンヒョン。DF右から松田陸、ヨニッチ、木本恭生、丸橋祐介。MF右から関口訓充、ソウザ、山口蛍、柿谷曜一朗。FW山村和也と杉本健勇、

リザーブは丹野研太、茂庭照幸、藤本康太、田中裕介、丸岡満、清原翔平、リカルド・サントス。


「穴熊」


将棋の指し手に穴熊、というものがある。香車を一つ上にあげ、そこに玉を入れ、金、銀、桂馬で囲った守備戦術であり、非常に手堅いと言われている。

レヴィ・クルピの戦いが大駒を大胆に使う攻撃に魅力を持つとするなら、ユン・ジョンファンの戦いは相手のいかなる攻めに関しても4-4-2でゴールを固める、穴熊のような守備に魅力がある。


攻撃では4-4-1-1的なポジショニングだが、守備では常に4-4-2。杉本、山村がセンターライン付近で確実に相手の一歩目をブレさせ、後ろの4-4がしっかりと相手を封殺する。キム・ジンヒョンという「玉」に辿り着くまでに相手はかなりの労力を払うことになり、結果、去年までよりもはるかに危なっかしいシーンが減るようになった。昨日だって、齋藤に突破されたのはバテが出始める後半の、しかも一度きりだ。後は松田がうまく封じてくれた。

この守備は他のチームのそれと比べて若干コンパクトで、一度組んでしまえばそう動かない。相手がスプリントしてきた時の対応であるとか、最終ラインが雑にボール回しをしていて奪えそうな時であるとか、イレギュラー以外は自分のゾーンをキッチリ守って動かない。何度も書いている通り、スプリント回数はやたらと多いのに、走行距離が伸びないのはこうした理由によるものだ。


ただ、攻撃に関してはこの堅実さが裏目に出てしまい「ワクワクしない」という印象を持ってしまう。(ユン・ジョンファン監督が鳥栖時代重用していた)豊田陽平のような、高さ強さがある前線がいてこそ機能するやり方。守備のスペシャリストである山村が代役として充てられているが、ボールキープできてもフィニッシュまではやり切ることができない。前半流し込むだけというシュートをミスしてしまったけど、本職ではないということを差っ引く必要がある。

守備に関しては盤石でありながら、その裏返しとして攻撃に不満が残るのは、実際の穴熊と同じだ。

J1で勝てた、という自信


このやり方は選手としてもブラストレーションが溜まるものだ(と勝手に解釈している)長い間相手にボールを渡し、一撃を与えるまではずっとガマン。相手の出方に合わせて右に左にちょこまかと動き続けなければいけない(一人でもサボれば、そこから守備が瓦解する。恐らくユン・ジョンファンはそれを許さないだろう)そういう試合を「やってみたい!」と喜ぶような人間はそういない。


しかし、このやり方でルヴァンカップ横浜FM戦、リーグ鳥栖戦に勝つことができた。去年までJ2でボコボコと失点していたチームが、J1のチーム相手に守り通すことができている。結果という最も大事な要素によって、セレッソというチームは一枚岩になれているのだ。

U-23で戦ってきた若手たちが引き出したゴール


守備が第一、攻撃はその後というサッカーでは流れの中からゴールを奪う機会が減る。その点はユン・ジョンファン監督も織り込み済みのようで、セットプレーにはこだわりを見せている。浦和戦(ヨニッチ)、札幌戦(ヨニッチ)、ルヴァンカップ横浜FM戦(木本、リカルド・サントス)、鳥栖戦(山村)と、ここまでのゴール全てがセットプレー、もしくはその後のプレーで生まれている。


この試合も後半の14分にセットプレーを得て、丸橋が蹴ったボールがファーに流れ、最後は空いたファーに一人戻っていた木本がポレーで堅実に流し込んだ。

木本はこういう「大事な時においしいところを持っていく」嗅覚が鋭い。去年柿谷が負傷したアウェイ長崎戦でも、ロスタイムに永井龍(当時は長崎のエースストライカーだった)に追いつかれた直後のプレーでゴール前にまで走り込み、再びリードを奪う値千金のゴールを決めている。みんなが必死になっている時でも冷静に、マイペースに判断ができる選手のようで、昨日の試合でも「背の高い選手がたくさんいるから、自分はあまりマークがつかないだろう」と踏んでいたらしい。

「堅実さ」にマッチした木本恭生


木本は去年U-23ではボランチとして起用され続けてきた選手だ。だから、攻撃の組み立てに関しては本職のセンターバックよりワンランク上のプレーができる。その上、フィジカルに関してもそこそこあるので、この試合ではヨニッチと組んで最終ラインとしての務めをキッチリとこなしていた。


横浜FMの攻撃は伊藤翔の高さを生かした競り合いと、左サイド(セレッソの右サイド)に入った齋藤学の地上戦が核になる。その伊藤との競り合いでもキチンと最低限の仕事ができていた。最初はヨニッチとの競り合いをしていた伊藤が、分が悪いと見ると木本の位置にズレたのだけど、ヨニッチのカバーを受けながらも終始相手を封じ込め、ついぞゴールを奪わせなかった。しかも、決勝点を決めるおまけ付き。

去年のU-23に関しては「何がしたいのか、どう育てたいのか」微妙だった。けれど、昨日の試合の木本と、後述する丸岡のプレーを見て、ようやっと実戦に出続けていた意義のようなものを受け取れた感じがする。恐らく、しばらくは重用されるだろうから、この間にチャンスをつかんでほしい。

やっと狼になれた丸岡充


木本のゴールでリードを奪うと、後半半ばからはシステムを5-4-1のような形にシフトさせた。山村が最終ラインの真ん中に入りスイーパーになると、中盤には丸岡、山口、ソウザの3ボランチ気味に並ぶ。前線には杉本と柿谷が入ってカウンターという、見た目にも意図がハッキリとわかる陣形。


これで奮起したのが柿谷と丸岡だった。

柿谷は4-4-2の時は、プロレタリアのように勤勉に左サイドをアップダウンし、丹念にボールを運んでいた。リードしてからのシステムではやっとフィニッシャーとしての役割を担えることになり、本来のらしさというものを発揮することができた。


丸岡に関しては、たったワンプレーで、それまでの「借りてきた猫」といった雰囲気を拭い去った。以降の働きは、これまでの丸岡とは全く違っていた。


後半30分、丸岡は相手の緩慢なプレーを見逃さず、全力で応援右サイドを突破する。相手がたまらず後ろから倒してペナルティーキックを獲得。すぐさま「俺が蹴る」とボールを抱え込んだ柿谷が、冷静に、実に慎重にゴールを決めてくれた。


それから後の丸岡の動きは、カメラを持ってジッと待っていた俺にとって、撮っていて感動と興奮を覚えるほどに強烈なものだった。交代して入った選手は今いる選手の倍は走れと言われるけれど、丸岡はそういうプレーがキッチリとできていた。やっと、戦力になれたなという印象。

丸岡が獲得し、柿谷が決めたPKで試合の流れはほぼ決した。アディショナルタイムの4分間も危なげなくフィニッシュ。

芝かぶりシートの子供にサインする


鹿島戦に向けて


清武の離脱は痛いが、チームとしての雰囲気はほぼベストな状態でアウェイ鹿島に向かうことになった。この鹿島戦とホームでのダービーが序盤の山場になるだろう。ユン・ジョンファン監督のサッカーは、鳥栖時代も含めて長く知られたものだから、勝つにしても楽には終わらないだろう。胃のキリキリと痛むようなロースコアの接戦こそが今年のセレッソの勝ちパターン。胃薬片手に追いかけるつもりだ。

3/20/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第4節 C大阪 1vs0 鳥栖 #cerezo #photo #diary


やっと、4試合目にして「初日」が出た。

アクシデントがあり、自らのミスがあり、相手のミスに助けられ…何度も何度も不安に襲われながらも、3年ぶりのJ1での勝利をこの手につかむことができた。

3/16/2017

2017JリーグYBCルヴァンカップ 第1節 C大阪 2vs0 横浜FM #cerezo #photo #diary


三月中旬の大阪は、まだ凍えるような夜が続いている。まして、平日のナイターで、カップ戦の予選、両軍メンバーも落としているとあれば、観衆7601人というのも致し方ない。

だがこの7601人は非常に運がいい。ユン・ジョンファン監督の凱旋後初の勝利を、そして彼の意図するサッカーの一端を見ることができたんだから。

3/11/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第3節 札幌 1vs1 C大阪 (テレビ観戦) #cerezo #photo #diary

(画像は全て第2節浦和戦)

今年はじめてのテレビ観戦、いつもは「寄り」で撮っているセレッソを「引き」で見られて、それは新鮮な体験だったなと。

ただし、内容自体には不満がある。ユン・ジョンファン監督のイメージしている選手の個性と、実際の個性の間に乖離があって、チームのよさがまだ引き出しきれていないのかなという印象だった。後半にはかなりよくなってはきたけれど・・・

3/05/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第2節 浦和 3vs1 C大阪 #cerezo #photo #diary


6年作り込んだチームと、まだ2試合目のチーム


セレッソの選手は、みなユン・ジョンファン監督から渡されたマニュアルを読みながら試合をしていた。一方、6年間同じシステムで戦い続けている浦和の選手たちは、分厚いミシャサッカーのマニュアルを諳んじられるくらい読み込んでいた。

だから、どんな時にどんなプレーをすればいいのか、両者の判断には僅かの時間差が生まれていた。例えその時間差が僅かだとしても、サッカーというスポーツでは致命傷になる。3-1というスコアは両チームの現在のパフォーマンスからすると致し方ないものなのかもしれない。

2/27/2017

磐田戦雑感(写真あり) #cerezo #photo #diary


サッカーのある週末が帰ってきた。これから毎週、セレッソがどこかしらでサッカーをする。そう考えるとワクワクが止まらない。

加えて、J1リーグ戦は土曜日開催が多く、疲れたとしても日曜日がある。これは極めてありがたい。

反面、対戦するチームのホームタウンが大都市圏であることが多いので、遠征の際に山海の幸を口にできないのは少しばかり寂しい。特に愛媛と長崎には早々にJ1に上がってきてほしいな。

2/26/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第1節 C大阪 0vs0 磐田 #cerezo #photo #diary



ド派手なセレモニーと堅実な試合


冬の終わり、春間近のヤンマースタジアム長居には33208人もの観衆が詰めかけた。花火がガンガン打ち上がり、選手紹介ムービーの前にはチームのレジェンドでもあるユン・ジョンファン新監督をリスペクトするショートムービーまで用意された。三年ぶりのJ1リーグ公式戦は大観衆の中、ド派手な演出から始まった。しかし試合内容に関してはとても堅実だった。


スターティングラインナップ




システムは純然たる4-4-2。GKキム・ジンヒョン。DF右から松田陸、新加入のヨニッチ、山下達也、丸橋祐介。MF右から水沼宏太、ソウザ、山口蛍、関口訓充。FW柿谷曜一朗と杉本健勇。リザーブは丹野研太、茂庭照幸、田中裕介、丸岡満、山村和也、秋山大地、リカルド・サントス。ケガの清武弘嗣はまだトップコンディションではなくベンチ外。去年活躍した清原翔平、澤上竜二といった選手もベンチ外となった。


堅実なユン監督のサッカー


ユン・ジョンファン監督は長くサガン鳥栖を指揮していたので日本のサッカーを熟知している。ただ、フィジカルの強さや走力に強みを持つ鳥栖とテクニックで押すセレッソとはカラーが真逆で、その辺りをどうするのか、とても興味があった。


大きな変化で言えば、去年の、大熊清前監督のサッカーと比べて、今年のセレッソは長い距離を走るスプリントがとても少なかった。自分の受け持つゾーンを厳守し、そこから飛び出すことをよしとしなかった。


例えば、去年の柿谷は自分がボールを奪われると、システムだとか守備の決まりごとだとかを無視して、中盤や最終ライン手前まで相手を追い、身を投げ出してクロスやラストパスを防いでいた。それは前監督が口酸っぱく話ししていたガッツだとか、もう一本前に出るがんばりを体現したものだった。


対して、今年のセレッソは4-4-2の組織が乱れることがなかった。自分の受け持っているゾーンに敵が入れば責任を持って追う。細かなスプリントはしょっちゅうある(だから、総走行距離は長くなる)しかし、相手やボールが自分のゾーンを抜けた時は他の選手にカチッと受け渡し、もう一度自分のゾーンの中心に戻っていく。なので、ピッチ内を長く走り回る必要がなくなったのだ。

がんばりという部分では、去年の方がよくやっていると言えたんだろう。けれど、組織的な守備を90分間続けるのであれば、今年のようなハッキリとしたルールのあるサッカー、無理をしないサッカーの方がやりやすいはずだ。


事実、個々の力量で言えばJ2のどのクラブよりも秀でているはずの磐田を相手に、セレッソは一つのゴールも許さなかった。危険だなと感じるシーンは中村俊輔が蹴るセットプレーと、アダイウトンが打った反則もののミドル程度だ。


課題の残る攻撃


守備では4-4-2のフラットなラインは強烈に機能した。反面、攻撃では難しいと感じる部分が多かった。


セレッソが最も簡単にゴールを奪う方法は、柿谷にフリーで、ゴールの近くでボールを渡すこと。そこから逆算すれば攻撃の組み立てがわかってくる。

だがこの試合では守備が第一になっていて、攻撃は守備が崩れるような、アンバランスな動きは制限されているように感じた。


こういう中ではサイドバックとサイドハーフの動きがとても大事になるのだけど、関口、水沼の両サイドハーフには「もう少しやれたのでは?」という不満が残る。水沼が後半立ち上がりに脚を痛め、丸岡が交代出場したが、同様の感想だ。

今日のメンバーの中には攻撃を組み立てられる選手がいなかったので、余計に不満を感じたのかも知れない。「元セレッソの選手だったから」というだけで清武を連れ戻したのではなかったんだと今日ようやく気がついた。


もうひとつ言いたいのは杉本の使い方だ。2トップとして起用され、ハイボールの競り合いを任されていたが、彼は(個人的な見立てではあるけど)純粋なセンターフォワードではない。パス出し、気の利くプレーができるかわりにガツガツとした当たりを嫌う、どちらかと言えば中盤の選手に近い存在だ。

だから、彼の動きを理解する柿谷が終盤、中盤に下がると無力化されてしまったのだ。この辺りはユン監督が気づけば修正されると思うけれど。


浦和戦に向けて


次節は六万の観衆が詰めかけるアウェイ浦和戦となる。J2時代には味わうことのできなかったシビれるシチュエーションだ。今の、堅実なセレッソであればヒドい内容にはならないと思うけれども、逆に爽快な試合にもならないだろう。胃に鈍痛を感じながら、埼玉スタジアムで新しいセレッソを追いかけていきたい。