12/12/2016

来季が始まったけど、まだ心は今季のままだ。 #cerezo #fagiano #photo #diary


週末の大阪は徳島の藍染のような鮮やかな青空で、キリリと冷えた空気が満ちていた。ああ、冬が始まったのだとコートに包んだ身を縮こまらせた。

長居公園にはジョギングする人や体操する人、ダンスの練習をする人、いろいろな人がいて、皆穏やかに休日のひとときを楽しんでいる様子だった。小腹が空いたのでヤンマースタジアム長居の南側にあるカフェ「M's stand」さんで大好きなフィッシュサンドを頬張っていた。

一週間前、たった7日前に俺たちは、ここで未来を懸けた戦いをしたのだ。肌を刺す氷雨の中、自分自身もカメラもレインコートを着て、ガチガチと震えながら選手とボールを追っていた。それがまるでウソみたいに、静かだった。


あの日は、失うものは何もないとばかり、元気とレプリカユニだけを持ってきた岡山サポに何度も気圧されそうになった。そのたびにセレッソのゴール裏からも「負けるものか」とチャントが始まった。きっと戦国時代の戦の前もこんな風だったんだろうとか、雨でボウッとした頭で考えていたのを思い出す。


チャントは、それ自体に勝敗を決する要素など何もない。ただ、それを聞いてくれた選手にわずかばかりでも勇気を与えられるのならと、サポーターたちがすがるような気持ちで送るものだ。



その声が届いたか、両チームには「この試合に負けたら死ぬのだ」それくらいの気迫があった。セレッソの選手と交錯し、少なくないダメージを受けたはずの岩政大樹は、それでも戦うのだと顔を起こし、ヒジをおさえながら鬼気迫る顔で守備ラインに戻っていった。赤嶺真吾は山下達也や藤本康太といったCB陣と何度も何度も競り合っていた。



セレッソでも、澤上竜二は足ももげよとばかり相手を追い回し、味方が組織を作る時間を稼いでいた。後半彼が息切れすると、前半は自重していた柿谷曜一朗が、今度は自分の番だとばかり体を投げ出してボールを止めに入っていた。山口蛍は代表でも見たことのないような執拗なハンティングで岡山の攻撃陣を封殺していった。本当に「戦い」だった。

試合終了の笛は、この一試合のためだけに吹かれたのではない。2014年にあったチーム改革の大失敗と降格、2015年のあと一歩まで迫りながら昇格を逃した無念、そして今年のいきあたりばったりな戦い、それを見続けていたサポーターたちの労をねぎらう笛の音だった。だから、泣いた。



昇格の喜びの中で消えてしまいそうだけれど、この苦しい2年間を共にしてきた選手たちには何かしら幸せになってほしかったと今さらながら思う。玉田圭司、中澤聡太、田代有三、北野貴之、身を粉にして働いてくれたベテランたちには、申し訳がないとしか言いようがない。

俺自身そうだからわかるのだけど、来年のことも予想できない生き方というのは本当に苦しい。いい時はいいけど、悪い時はどうしようもないし、いつそうなるのかの算段もつかない。「そういう世界だから」というのは簡単だけれど、やりきれないな。


ベテランの契約満了でグッタリしているけれど、苦しいと言えば敗れた岡山の方が上だろう。岩政は放出、矢島慎也や豊川雄太といった主力にも移籍話がつきまとっている。

もしあの日敗れていたら、セレッソだって草刈り場になる可能性は多分にあった、恐ろしいことだ。柿谷や、山口や、杉本健勇、キム・ジンヒョン、丸橋祐介といった面々が散り散りバラバラになるなんて、想像するだけで寿命が縮む。


U-23の練習が17日まであるから、一度は寄ってみようと思う。それからは来季への英気を養う……違うな。J1仕様のチケット価格にへこたれない財力をつけることに執心したい。それと、格安航空券のチェックくらいかな。

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