8/29/2016

「善意」の上に立つクラブ。 #cerezo #アルヴェリオ高松 @r_velho #kamatamare #カマタマーレ讃岐


「オフィシャルさん」との会話。


讃岐とのアウェイマッチを観るために大阪から丸亀にあるPikaraスタジアムまで足を運んだ。高速バスだとスタジアムのすぐ近くにバス停があり、すこぶる使いやすい。

Pikaraスタジアムはサイドスタンドこそ芝生であるが、メインは屋根付き2層構造、バックもかなり大きなスタンドがあり、3万人を収容できる大きなスタジアムだ。だが周辺は都市郊外のそれであり、コンビニやスーパーまでは少し歩く。おまけに夏場の試合では日照りがキツく、スタンドの影で待っているだけでも汗が噴き出してくる。


セレッソサポーターがアウェイ専用ゲート前で日陰に隠れていると、「OFFICIAL」と書いたビブスを着て、両脇に一眼レフを持った男性が声かけをしたり写真を撮ったりしている。

シャッター音のカシャカシャという音に聞き覚えがあったので様子を見てみると、小脇に抱えているそれはニコン製のものだった(一眼レフカメラは右手でグリップし、左手でレンズをホールドする。グリップの人差し指辺りに赤いスジがデザインされているのがニコンのデジカメだ)

ニコンユーザーがいるとなんとも嬉しい気分になり、こちらから逆に声をかけた。俺が今愛用しているD500はD5と並んで一番新しい機体なので、カメラマンに見せると誰でも「おおっ」と反応してくれる。ご多分に漏れずオフィシャルのカメラマンさんも興味津々で話を聞いてくれた。それから、ご自身のことも語ってもらえた。


「オフィシャルさん」の持っているカメラはD2HとD7000だった。D2Hは12年前の製品、D7000は6年前の製品。3世代から4世代前のデジカメをフル稼働させて、讃岐のオフィシャルとして奮闘しているという。レンズも望遠のものは数十万から100万前後のものがほとんどなので、試合日だけレンタルでやり過ごしているらしい。

Jリーグという組織は大きく見えるけれども、個々のクラブ単位ではまだまだ中小企業、スポンサー企業の子会社というところばかり。フロントが宣伝、顧客層へのアピールになおざりな場合は目も当てられないということになる。

写真や動画、チラシやポスター、マッチデープログラムなどは「知ってもらう」ための第一歩として大事な要素だ、それがダメだとどうにもならない。讃岐の、荒い写真を無理矢理に当て込んだマッチデープログラムを手に取ると、どうしようもないやるせなさを感じた。


アルヴェリオ高松のアカウント(@r_velho)


そして昨日の天皇杯。戦前にアルヴェリオ高松のホームページで情報収集をしてみたが、苦しい台所事情があるんだろうなというところと、それでもベストを尽くしているなというところが散見された。

四国リーグはレギュレーションで言えば5部リーグにあたる。選手は本業があり、限られた中で練習をし、試合に臨んでいる。広報に潤沢な資金などあるはずもないことは容易に想像がつく。

それでも一応はCMSを使ったサイトがあり、ギャラリーのページでは試合ごとの写真をこれでもかと見せてくれる。試合前の様子、試合での奮闘、試合後の悲喜こもごもまで、およそスタジアムの内外で起こる殆どを知ることができる。

21齋藤浩太朗選手

もうひとつ、Twitterアカウントもよくよくがんばっている。些細なことまでしっかりと伝えようという気概があって、これは素晴らしいなと感心した。


セレッソの広報だって、Twitterアカウントがあり、Facebookがあり、Instagramがあり、まいど!セレッソがあり、公式サイトもあり、モバイルサイトもある。動画の編集やら写真の選定から発信まで八面六臂の活躍をしている。単なる情報量では比較のしようがないほどの差がある。けれどそれは、プロのカメラマンを雇い、Web制作会社にプラットフォームを用意してもらい、そうした中での結果であって、1対1の勝負ではない。

昨日はアルヴェリオ高松にとってどんな日だったのか、俺のしょぼい想像力では全てを推し量ることは出来ない。プロクラブとの戦い、0-10の敗戦、整った環境で、多くの観衆に見守られながらの試合、切り口が多すぎるからだ。

でも、Twitterアカウントはその全てを飲み込んで、自分の言葉で発信を続けていた。結果だけでなく簡易な速報まで続けていた。キチンと伝えきったうえで、俺たちのTweetまで拾い上げてコンテンツの拡充に勤しんでいた。

14竹内大輔選手


「善意」の上に立つクラブ。


俺は写真を撮ったりブログを書いたり、そういうことでセレッソを知らない人に何かしらを発信することに意義を感じている。だから広報を見ていると、あれやこれやと目につくのだと思う。

恐らくだけれど、バリバリの営業マンとして活躍されている方は事業部の有り様が気になるだろうし、商いをされていたりデザイナーをされていたりすればイベントの打ち方やグッズのデザインに物申したい部分もあるだろう。

けれど、例えJ2であれJ1であれ、讃岐や高松のようにある程度の成約の中で活動していることを忘れてはいけない。


だからこそ、サポーターが手弁当で行うアクションには意味があり、意義があり、効果があるのだと信じる。ゴール裏を鮮やかに彩り、選手とスタンドを結ぶ活動がそうであるように、いろいろなことを節制して高額のシートを買い続けることがそうであるように。こうした「善意」こそが、クラブに数字以上の価値を付与させ、大きくしていく大事な要素なんだ。

例えば自分が会社を経営していて成長を続けていたとする。同じ規模の2クラブからスポンサーになってほしいと打診を受け、熱気あふれるスタジアムのクラブと、閑散としたスタジアムのクラブと、どちらを選ぶたろうか。



例えば自分が生まれて初めてスタジアムに行くとして、スタジアムへのアクセスやスタジアムグルメの様子、細かな情報まで仕入れられるクラブとそうでないクラブ、どちらを選ぶたろうか。つまりは、そういうことだ。

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