5/29/2016

2016 明治安田生命J2リーグ第15節 C大阪 2 vs 1 岡山 コンダクターは踊る。 #cerezo #セレッソ #セレッソ大阪 #fagiano #ファジアーノ岡山


満身創痍でも、グダグダでも、新しいアクションを起こして、それが成功につながったという「結果」が大事。

スターターのメンツは変わらないけれど、やり方は大幅に入れ替えた。柿谷曜一朗が1トップ。その下には杉本健勇、ブルーノ・メネゲウ、そして清原翔平が入る。

ソウザは前半早々に交代


岡山の守備の方法


スカパーでも言っていたけれど、岡山は他のチームとは違う守備システムをとっている。ボールが相手の最終ラインに収まると、5-3-2でセットする。

左サイドに入ると同サイドに中盤がスライドする


ザックリ書くと、最初の2(この試合では赤嶺真吾と豊川雄太)は、ボールを持った最終ラインを結構な強度でチェイシングする。4-4-2の2よりも激しく、豊富な運動量が求められる。そこでまず、相手のパスコースをある程度限定させる。

もちろん、ここで引っ掛けられればショートカウンターが待っている。前半13分の豊川のゴールは、前からのプレスで山下達也のミスを誘った形。


ここでパスコースを限定させるので、中盤は3枚で事足りるという考え方。空いた逆サイドは最終ラインの中から1枚食いつけばいい。


前線のプレッシングを嫌って長いボールを入れると、今度は岩政大樹が統率する、高い位置に陣取った強固な守備ラインに引っかかる。普通の選手、パスレンジが凡庸な選手しかいないチームなら、これでおよそ封殺できる。中盤と最終ラインの距離もかなり密なので、ショートパスでつなぐとなると、かなりの精度が要求される。

ところが、岡山の守備を混乱させる要素が二つあった。それが1トップの柿谷と、ボランチの扇原貴宏だ。


新しいセレッソの攻め方と、扇原貴宏


実はスターターのボランチはソウザだった。けれど、5分も経たないうちにヒザを痛めて扇原の出番が回ってきた。


扇原はソウザや山村和也のような強さや推進力は持っていないけれど、代わりに長短のパスを正確に出すことができる。なので彼がボールに絡むと、いつもの試合よりもワンタッチ、ツータッチ早くボールを回せるようになった。

加えて裏抜けの才覚ある柿谷が1トップ。相手の守備ラインは想像していた以上に上下動を繰り返すことになった。ただでさえ運動量が要求されるシステムなのに、さらに負荷がかかった。さらに早い時間で先制できたので、岡山は前半15分か20分あたりから激しいプレスを自重し、受け身になった。

柿谷の「裏抜け」


相手のスタミナを削る


セレッソはこの時間帯からボールを持てるようになる(もちろん、岡山も織り込み済みのシチュエーション)そこでまず相手の両サイドに対して速い攻めを見せるようになる。


岡山の中盤はボールがサイドに入るとそちらにスライドしなくてはいけない。なのでとにかくサイドに散らして相手を走らせ、スペースを突くということ。左サイドは杉本健勇と丸橋祐介、右サイドは清原翔平と松田陸、そこにボランチのふたりが絡んでなんとか数的優位を作り出す。

同点ゴールになった清原の得点もサイドから。スローインの流れからではあるが、左サイドでフリーの扇原が上げて、トップ下から上がったブルーノ・メネゲウと清原が飛び込んだ。



心地よく攻めるセレッソと、窮する岡山


同点ゴールから前半終了までと、後半の殆どの時間、セレッソが試合をコントロールしているように見えた。これは、写真を撮っている人間の目線で。


セレッソはよく声が出ていた。意思疎通できる時間と余裕があって、都度都度で微調整をかける。例えば、柿谷はいつものトップ下ではなく前線にいたので、最終ラインまで声が届かなかった。それで、キャプテンマークを扇原に託した。もちろん「お前も責任を持って試合に加われ」という意思もあったろう。


対する岡山は岩政以外にはなかなか声が聞こえなかった。岩政が絶対的な存在で、岡山ではそのように統率されているということなのかも知れないけれど……。

岡山はロングパサーから速くサイドに、というイヤな攻撃を受け続けたが、自分たちのスタイルをコロコロと変えるわけにはいかない。後半には攻勢に出る時間帯もあったし、赤嶺の反転シュートなど、少ないながらも決定機を作っていたのでなおさらだ。


勝ち越しと試合の壊し方


勝ち越しゴールが生まれた時は「やっとか」という感想を持った。柿谷は少なくとも二度、他に杉本とブルーノ・メネゲウにも決定機があった。特に柿谷はボールのコースをズラすだけというシュートをポストに当てていたな。

ゴールの起点は清原に代わって入った関口訓充から。彼が右サイドを突破するも、数的不利の岡山は同サイドに1枚しかいない。なので、素早く下げると松田がフリーでボールを持てた。松田は岩政を超えるクロスを狙ったが、そのボールに岩政と競り合っていた山村が合わせた。嬉しい誤算がキーパーの判断を狂わせた。



その後は相手の攻勢を受けながらも、ブルーノ・メネゲウや柿谷、関口というスピード自慢のプレーヤーでカウンターを仕掛けるという構図になった。丁度セレッソが山口に食らったのと同じパターンだ。

さらに終盤には積極的に時間稼ぎをするようになった。こういう「試合を壊す」シチュエーションも久しぶりだ。なんとかアディショナルタイムの5分を消化し、いい形で勝ち点3を奪うことができた。



ケガ人とこれからの展望


試合内容では完勝だったけれど、ソウザ、茂庭照幸と守備のキーマンが相次いで故障した。彼らの故障が長引けばかなりの痛手になる。田中裕介がファーストチョイスになるけれど、中澤聡太の調子が万全ではないならU-23で試運転中の藤本康太に無理をさせることになるだろう。

ボランチにしても山村和也、扇原貴宏の次がいない。バックアッパーは橋本英郎の調子次第、不調なら木本恭生を引っ張り上げることになる。

それでも、長短のパスと柿谷の裏抜けで相手のスタミナを削り、結果的に狙い通りの攻めができたのは収穫だ(ソウザが故障して、大熊清監督が決断しなければ、また変わっていたのかも……)

これを他のシステムを採用しているチームでも継続していくのかが、目下の懸念点。できれば勝っている間はいじってほしくない。でしょ?


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