5/09/2016

2016 明治安田生命J2リーグ第12節 愛媛 0 vs 0 C大阪 わずかの差。 #cerezo #セレッソ #セレッソ大阪 #ehimefc #愛媛FC


サッカーは「ごくわずかの差」で勝敗が決まるスポーツだ。

ちょっとした戦術の差であるとか、単純なスピードの差だとか、細かな因子が積み重なってようやく、ゴール、勝利という目に見える結果が出る。リーグ戦はその繰り返しなんだ。

プロとしてお金をもらってプレーしている人たちなのだから、誰しもそれなりの才覚があるはず。そういう才覚の集まった試合では、優劣を決めるのはそんな「ごくわずかな差」なんだ。


セレッソと愛媛では二つの因子が試合の流れを分けてしまった。ひとつはコンディションの差。いまひとつは自分を活かすサッカーと相手を殺すサッカーの差。

熊本を襲った災害の影響は濃く、5/3の熊本対愛媛戦は順延となった。他のチームが過密日程を消化する中、その影響を受けなかった。

試合ではその差がよく出ていた。セレッソはなんでもない一本のパス、ひとつのクリアでさえ正確性を欠いてしまう。


対する愛媛はチャレンジしたプレーのミスはあっても、シンプルに、セーフティーにいかなくてはいけないプレーではほぼ完璧にやり遂げていた。

ただし、これはあくまで主観であるけれど、この疲労から現れる差はまだ穴埋めできる範囲だったと感じている。

柿谷曜一朗は相手を弾き飛ばしてボールを奪ったし、パンク寸前のはずの山下達也もなんとか持ってくれた。松田陸はテーピングだらけの腕をかばう事もなく右サイドで上下動を繰り返していた。同等とは言えなかったけれど、手がつけられない差ではなかった。


それよりも、やりたいサッカーの差の方がずっと重い問題だった。

セレッソは守備時は4-4-2にセットする。そしてボールを奪うと
  • ボランチのソウザか山村和也がセンターバックの間に入って3バックに
  • 両サイドバックは残っているボランチを追い越し、両サイドハーフとの連携を図る
  • トップのリカルド・サントスと柿谷はタテの関係になり、リカルド・サントスは相手の守備と競り合う
という意図から、3-1-5-1とでもいうような攻撃的なシステムにシフトする。


この時、肝となるのは3バックの間に入るボランチと、前に残るボランチが展開しやすいよう、いかに前を向けるか。

ここがフリーなら技術と判断力が多少稚拙でも攻撃的なプレーができる。組織で崩す形なんて今のセレッソにはないけれど、個の力やひらめきがあれば押し切れる。力技のサッカーが、今のセレッソの正体だ。

逆に、このサッカーを殺そうとするなら方法は簡単、3バックにした最終ラインに同数のマーカーをぶつければいい。最初のパスがズレれば前はまともなプレーができない。前残りのボランチはダブルボランチの片方が見れば事足りる。


前節の相手松本山雅と同じく、愛媛FCも3-4-2-1のシステムを採用している。セレッソの前線は5バックと2ボランチで活きるスペースを奪い、後ろの3バックは前3人が自由を奪う。それを自分のスタイルを維持したまま行える厄介な相手だった。

セレッソはやりたいサッカーができず、愛媛は望んでいた通りの展開に持ち込んでいた。試合のおよそ60分は愛媛の形にハメられていた。


ただし、これは通常の攻撃時に限った形。例えばセットプレーなどでセレッソの選手たちがバラけると、愛媛もマークを外すことが多かった。

後半の立ち上がり、セレッソが最も攻め込んだ時間帯は、セットプレーの流れからディフェンダーやボランチが前残りになっていた。そのためか愛媛は混乱し、ソウザに決定機を作られている。コンディションが同じならクリアする選手の出足が一本遅くなっていたかもしれない、決まっていたかもしれない、それくらいのビックチャンスだった。


しかし、この好機を逸すると、そこから愛媛は前へと押し上げる推進力を持ったプレーヤーを入れて益々セレッソのプレーエリアを押し下げていった。ゴール前にいてほしい柿谷も、ボランチの孤立を危惧してポジションを落とさざるを得なかった。

実は5/5の練習では、どうすれば柿谷が前に残ってゴールに執着できるか、その確認と「微調整」を何度も説明していた。主力組と控え組に分かれた実戦形式の練習で、大熊清監督は山村やソウザの位置、両サイドハーフの位置などを徹底的に確認していた。

けれども、愛媛が練ってきた5バック、3トップの守備を崩すことはできなかった。サポーターの前で行われていたサッカーは、今年のセレッソを追っている人間なら、何度も見たようなフラストレーションが溜まるそれだった。


ここまで悪条件が重なって、アウェーで勝ち点1を奪えた、失点しなかったというのは評価すべきなのかもしれない。

けれども、試合開始時点では先に試合をしていた町田が暫定首位に立っていたのを理解していて、それでも勝つためのチャレンジが出来なかったことはとても悔しい。


試合後には出番に恵まれていない玉田圭司を呼ぶチャントが繰り返し歌われていたけれど、彼を使うだけで素晴らしいコンビネーションが見られるなんて楽観視はしない方がいい(もちろん、もっとチャンスが与えられるべきプレーヤーなのは理解している)

それよりも、攻撃時の組織力、あるプランが破綻した時、すぐ次のプランに移れるような柔軟性を何とかして手に入れたい。


愛媛の事ばかり褒めてしまったけど、彼らにしても3トップを活かしてボールを奪うというプランの、その次の段階があまり具体的ではなかった。選手の特性上優位に立っていたこちらの左サイドを崩しておきながら、杓子定規なクロスに終始してしまったし。

相手より手札が多い状態を作れれば、少なくともプランAとプランBが用意できれば、およその相手には五分の戦いができるのだけど。

今はまだプランAもできていない。それが伸びない勝ち点よりも問題だ。


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