2/25/2014

AFC Champions League 2014 Group E MD1 POHANG STEELERS (KOR) 1 vs 1 CEREZO OSAKA (JPN) #cerezo

11' KAKITANI YOICHIRO
61' BAE CHUN SUK


勝てていた試合だったのか、負けていたかもという試合だったのか。どっちだと言われると、負けていたかな、よくやられなかったなという印象のほうが強い。

セレッソはチームの熟成が不足していて、パスの精度が非常に悪く、そこから相手に主導権を奪われてしまった。一方の浦項はチーム戦術と馬力でセレッソの上を行っていて、ホームというアドバンテージを差し引いてもそこそこにいいサッカーを展開していた。


前半


セレッソのシステムは昨季と変わらず4-2-3-1、守備時に4-4-1-1になるところまで変わらずで、去年シンプリシオがしていたタスクを長谷川アーリアジャスールがつとめている。ディエゴ・フォルランは開幕戦に照準を合わせているということでベンチスタート。来日自体が遅かったので妥当な判断では。


試合を通して、セレッソは強い、高い、速いという「これぞ韓国サッカー」という素地の上に、僅かにパスワークを加味した浦項の攻撃を受け続けた。しかし、これを4-4-1のブロックがよく防いだ。

このシステムで4-4-2のチームと当たるとボランチ1枚と長谷川アーリアジャスールがつくため、両サイドに数的優位を作りやすく、ここでボールを奪い、縦に早く、柿谷曜一朗へつなぐという去年から続いたスタイルが続けて利用できた。熟成した素地の部分なので、新加入の長谷川アーリアジャスール以外はプレーしやすい形だったろう。実際、山口蛍が長い縦一本を出し、柿谷が裏にうまく抜け出した先制点は2013年のセレッソそのままの姿だった。


セレッソがこの試合を勝つためには、杉本健勇、南野拓実という両サイドにスタミナがある前半のうちにもう一点がほしかった。実際、南野がゴール前でDFと1対1になるなど、いいシーンはあった。しかしこれをとりきれないのがアウェーの苦しさなのだろうか。

後半


そうしてこのシステムの泣き所である両サイドの疲弊が始まる。守備時には4-4-1-1、攻撃時には2-4-3-1にも見えるスタイルに変化するセレッソ流の4-2-3-1では、とにかく両サイドの運動量が鍵になるが、その負担は尋常なものではない。なのでサイドバックの酒本憲幸、丸橋祐介、その一つ前の杉本健勇、南野拓実が疲弊すると、運動量だけでなくパス精度、ドリブルでの突破力にまで影響が出てチームの総合力がガタ落ちする。

相手の同点弾は、セレッソのゴールほどテクニックに長けたものではなく、ゴリ押しに近いものだった。けれど、それを防げなかったのにはキッチリとした理由があるのだ。


生かしきれなかったフォルランと、交代一人の理由


セレッソは同点弾を食らった直後の後半18分に、待ちに待ったディエゴ・フォルランを投入する。


しかし、このシステムはセレッソの中盤にとって疲弊を増すだけのものになってしまった。そうして、この流れは試合終了まで変わることがなかった。劣勢の時にボールの運び手、防ぎ手である選手を一枚削ったのだから、当然の結果ではある。

セレッソはスタメンの中で一番ボールが運べる南野を下げ、前線に張り付くフォルランを入れた。もし彼を本気で利用するのであれば、永井龍、楠神順平と言ったボールの運び手になるプレーヤーも入れなければ意味を成さない。だが、ランコ・ポポヴィッチは動かなかった。なぜか、浦項のロングボール、セットプレーに抗うための「高さ」という要素をこれ以上削りたくなかったからだ。

杉本、長谷川アーリアジャスールはどちらも180センチオーバーの選手で、フィジカルも強い。そこを下げてまで1点をとりにいくのか。それとも攻守のバランスをギリギリまで残して、勝ち点を守りに入るのか、選択が後者だったということ。

この一試合だけを見れば南野に代わって入るのは楠神だったかもしれない、しかし、それでは開幕戦でフォルランをぶっつけ本番起用するという博打を打つことになる。いろんな要素を加味した結果が、この起用になったのだろう。(もちろん、サイドバックのどちらか1枚を新井場徹に代えるなど、それでも打つ手はあったと思うが)

そうして、2014年のセレッソは昨季韓国国内2冠の強豪、浦項を相手にアウェイ引き分けでシーズンをスタートさせた。

今後の課題


この試合で見えたいくつかの課題を列記しておこう。

  • 4-4-1-1のシステムでの両サイドのスタミナ維持
  • フォルランが入った時、誰がボールの運び手となるのか
  • 守備に入った時の選択肢の少なさ

4-4-1-1のサイドについては使用し始めた去年から指摘しているので追いておくとして、残りの二つを解決しないと2014年のスタイルは見えてこない。

フォルランは足元、できれば左サイドの位置でボールを受けたがっていた。ここに誰を経由してボールを運ぶのか、そして、誰がフォローに走るのか。それから、同点やリードした際の守備的な交代で、有効なカードの切り方はあるのか。この二つは早期に解決しないと肝心のリーグ戦でいくつかの勝点を取りこぼす危険がある。

それでも、ACLのアウェーゲームでの勝ち点1は大きい。最低限の仕事ができたことに喜びを見つけよう。

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