12/29/2014

新井場徹はセレッソに不要な存在か? #cerezo #photo #diary

久しぶりの更新がこんな話になるのはひどく悲しいことだ。セレッソではディエゴ・フォルランと並んで最高齢だったベテラン、新井場徹が来期「構想外」と伝えられたそうだ。


選手としては両サイドバックとセンターバック、複数ポジションをこなせるユーティリティープレーヤー。一個人としても鹿島3連覇の立役者の一人、勝利のメンタリティーを持つ貴重な存在として招かれた。その僅か2年後にこれだ。

チームの編成を見れば、サイドバックは酒本憲幸、丸橋祐介の主力がいち早く残留を明言、控えの安藤淳も今日契約更改を済ませた。若手の小暮大器も徳島から復帰し、サイドバックもこなせる岡田武瑠のケガが癒えれば、J2のチームとしてはまずまず層は厚い。


しかし、今期低迷した一因である「精神的なもろさ」は新井場構想外という動きでさらに加速してしまうのではないかと危惧する。

2005年、優勝まであと一歩というところまで進んだ時には、久藤清一という右サイドのスペシャリストがいた。2011年には茂庭照幸がチームを引っ張った。来期のセレッソにはその役割を担う人物がいない、少なくとも今の時点では。


過去、ユースの試合、セレッソ大阪堺レディースの試合などを何度か見ていて感じることは、メンタルの重要性だ。どんなにいい流れでも何かを切っ掛けにガラリと立場が入れ替わる。一つの出来事でチームが動揺し、足が止まる。そんなシーンがいくつもあった。若さは武器にもなるが、自らを傷つける要素にもなるということだ。それは、今のトップチームにも言えることだ。

経験豊かな人物の存在は、それだけでチームを落ち着かせることができる。お隣がJ2降格から僅か2年でここまで躍進を遂げた理由の一つに、チームをまとめる遠藤保仁という稀有な存在があったことに異論は無いだろう。


もし実力あるベテランを年俸だけで構想外にしてしまうのであれば、それは2006年、久藤を放逐したことの繰り返しになる。セレッソの中軸であるユース組は海外志向が強く、チームに長く留まるという意思がない(少なくとも山口蛍と南野拓実はそうだ)であれば、なおのことチームを知るベテランを軽く見てはいけないのではないだろうか。



選手はただ見た目の能力や年俸だけで判断してはいけない。彼らはチームという大きな絵を描くためのパズルのピースのようなものだ。しかし、ただ大きいピースを持ってきさえすれば大きな絵ができるというものではない。必ず調整役、潤滑剤のような存在、チームをまとめる力になる存在が必要になってくる。見た目は小さなピースであっても、そこが一つ欠ければ絵そのものが瓦解することだってあるのだ。

一年でのJ1復帰、そして悲願のタイトルを見据えるのであれば、過去の暗愚を繰り返してはいけない。何度も何度も繰り返してきた間違いを、セレッソはまた犯してしまうのだろうか。




12/15/2014

ありがとう、マル。 #cerezo #photo #diary

大宮との試合の後、寒風が吹きすさぶ中放心状態でピッチを見ていた。染谷悠太が泣き、杉本健勇が泣き、そうして、一番泣いていたのは丸橋祐介だった。


試合に負けたのが悔しいからだけではなく、降格したのが歯がゆいからだけでもなく、特別な「何か」が彼の涙腺をゆるめていたのは、誰が見たって分かった。だから、覚悟したんだ。

ちょうど七ヶ月ほど前、同じ埼玉のスタジアムで似たような光景があった。口を真一文字に、グッと涙をこらえるゴイコ・カチャルは、もう「決意」していたように見えた。ヨーロッパに戻ると発表されたのは、それから程なくしてだ。マルを見て、初夏に差し掛かろうとする、あの日差しばかりが強い日を思い出していた。


マルには鹿島アントラーズが正式なオファーを出していたそうだ。常勝軍団、タイトルをとる、勝者のメンタリティを得るにはこれ以上ないクラブだ。もし俺がマルの知り合いなら、渡りに船だよと背中を押していたろう。


それでもマルは悩んでくれた。こんな泥船と鹿島を天秤にして、うんうんと何日も考えてくれた。それだけでも十分にありがたかった。

なのに、それに増してこんなに早い時期に、セレッソに残る、セレッソでタイトルを獲ると言ってくれた。こんなに嬉しいことはない。


マル、ありがとうな、俺達が後を押すから、マルをてっぺんまで押し上げるからな。タイトルを獲ったその日には、いの一番にシャーレやカップをかかげてくれ。マルにはその権利があるよ。

ああ、もっと言いたいことがあるんだよ。きっと酒場でマルを見たら、いくらだって酒をおごっていたろうよ、そうして泣いていたろうよ。その分は、その気持ちは、来年の開幕までとっておこうか。タイトルをとるその日まで残しておこうか。

楽しい時だけが仲間じゃないだろ オレ達は
共に悔しがり 共に励まし合い 生きてゆく笑顔の日々を

悲しい時だけに泣くんじゃないだろ オレ達は
共に立ち上がり 共に喜び合い 支え合う涙の日々よ

12/14/2014

セレッソ大阪の居心地、そんなに悪いのか? #cerezo #photo #diary

扇原貴宏、杉本健勇、丸橋祐介、一回目の交渉でサインせず。




必死に応援してきた選手、ハナサカクラブに入会して、文字通り手塩にかけた選手が、例えしっかりと移籍金を残す形であってもチームを離れるというのは、とても辛い。

金銭的な問題ではなくて、心情として、どんなことがあってもチームと運命を共にする気骨を求めるのは、選手に対して厳しすぎるのかと自問自答をしている。

今年三冠をとったどこぞのチームは、遠藤保仁という絶対的な存在がいて、降格が決まった後に皆をまとめ、選手が流出するのを防いだのだそうだ。そういう絶対的な存在が、セレッソにはいない。まあ、ほとんどのチームにいないのだけれど。



セレッソが強くなるために、拡大路線を是としてきた。客を呼び、スポンサーを探して大枚をはたき、ビッグネームをとってくる。それもまた方法なのだと思う。

けれど、いくらお金を稼いできても、その傍から育成してきた選手が出て行くのでは、穴の空いたひしゃくで水をすくうようなものだ。お金をかけただけの効果なんて無い。サポーターだって、愛着をもった選手が次々いなくなるのでは定着もしない。

もう一度考えなおそう。サポーターがサポートしたくなるクラブ、選手が愛着を持って残ってくれるクラブとはどんなものなのか。


と、書いている時に柿谷曜一朗に復帰オファーを出そうとしているとニュースがあった。彼が帰ってきてくれるなら、そういう流れができるのかも知れないな。筋道が通っていないのはわかる。けれど、今はそういうのを気にしていられる状態ではないんだ。なんとかセレッソをあるべき場所に戻したい、そのために策を巡らすのは賛成だ。

12/08/2014

セレッソをめぐる1000キロの旅。 #cerezo #photo #diary

まずザクッと概略だけ話す。6日土曜の朝4時に起きて大宮に向かい、大宮戦をゴール裏でバモりながら撮影した後、完全に足がイカれた状態でその日のうちに帰阪、徹夜で動画を作り、セレッソの日の出だし30分くらいだけ見て心身の限界に達した。


6日9時30分の大宮


大宮にはどうしても行きたかった。去年知り合った大宮サポの友人との再会も果たしたかったし、この大好きなチームの最期をちゃんと見届けないことには、何も終わらない、自分の中で踏ん切りが付かないと思っていたから。


大宮の友人はあたたかく、その友人もまたあたたかく、大宮駅東口の大衆酒場で大いに語らった。彼らにも守りたいものがあり、そのために必死のはずなのに、心から歓迎してくれた。それがありがたく、また心苦しくもあった。この優しい人達から夢を奪わなければ、自分たちの最期の目標まで手が届かない。どの試合でもそうなんだ。サッカーはあまりにも残酷なスポーツなんだな。


15時30分のNACK5スタジアム



試合のことは、正直あまり覚えていない。「観戦」ではなく、ゴール裏での「応援」だったし、点を奪われようがミスしようが叫び続けること、最低限の写真を撮ることに必死だった。「We are Cerezo」のジャンプで39歳の左膝は致命傷を負ってしまった。



けれど、ピッチの上のセレッソの方がはるかに重症だった。パスはつながらず、ミスは修正できず、ハイプレスをかわされた後にブロックが乱れ、サイドを長いボールでえぐられて失点という、ここ数試合のお決まりパターンを繰り返した。開幕前は優勝候補などと言われていたチームの、これが終焉だった。


大宮は素晴らしいチームだった。全員が必死に走り、連動し、体をはっていた。家長昭博、横山知伸、かって同じ釜の飯を食った古強者もセレッソを苦しめてくれた。


結局試合は2-0で敗北、いつもなら相手チームが歓喜の声を上げるはずのスタジアム、しかしそこには重苦しい、悲しい空気しかなかった。清水が勝ち点1を上げたため、大宮も降格。初冬のNACK5スタジアムに勝利者はいなかった。イギリス人でも考えつかないような皮肉な結末が、12,035人のサポーターを凍りつかせてしまった。

帰阪、23時30分の新大阪


寒風吹きすさぶ深夜の新大阪駅前、大事なツレが運転する車に乗せてもらう。精も根も尽き果てて、寝てしまおうとどっかとシートに腰をおろした。その時にツレがカーステレオをつけてくれた。


「マル、ケツメイシが好きや言うてたよね。これどうやろう?」

その時はじめて「仲間」という曲を聞いた。目を閉じると歌詞が素直に入ってくる、そのフレーズの一つ一つが、俺の脳の中で今年のセレッソとリンクしていった。ビシビシとシナプスが繋がって、眠気を麻痺させ、一つの衝動に駆り立てた。


試合後、人目もはばからず泣いていたマル。移籍の可能性が高いことは少し前から知っていた。そのマルに自分たちの気持ちを伝えられたら、好きなアーティストの曲なら、もしかしたら届くかもしれない。

「俺、今日は寝ないよ。寝ないで動画作るよ。」

気がついたらそんなことを口走って、安物の動画編集ソフトにその日の写真を取り込み始めていた。その時点で夜中の1時くらいだった。

1時から7時の堺と、12時の「セレッソの日」


6分半の動画(写真と動画の切り貼りだけれども)を編集し終わったのは朝の6時半で、そこから動画をアップ、1時間だけ横になり、キツ目のコーヒーを飲んで長居に向かった。長居に向かう電車の中、ポケットのiPhoneが何度もバイブレーションする。Twitterで告知した「Cerezo Osaka 2014 - Nakama -」に対するリツイート(拡散)の通知だった。

「ああ、徹夜でフラフラで、何が良くて何が悪いか分からないまま作ってしまったけれど、あれでよかったんだ。」

少しだけ落ち着いたら、左足のヒザ、太ももが悲鳴を上げていることに気づき、強烈な眠気も襲ってきた。寄る年波には勝てない。


ただ、昨日のマルや健勇の様子が気になって、せめて表情だけでも見ようと、今年ラストになるはずのヤンマースタジアムへとなんとかたどり着いた。


大宮の寒風がウソのような日差しの中、ファン感謝イベント「セレッソの日」が始まり、選手たちとサポーターとの交流イベントが行われた。ケガをした岡田武瑠、平野甲斐を除いた全選手が集まる。マルの表情は、昨日と打って変わって穏やかだった。それでますます安堵して、今度は猛烈な感情が沸き立ってきた。マルの心のなかでもう整理はついたのだ。移籍にせよ残留にせよ腹は決まったんだ。だからもう何も「すること」はない、なにもできはしないのだ、と。


退任した岡野雅夫社長に代わった宮本功本部長が選手の前に立つ

「必ず巻き返します。」

静かで、力強い声は、俺からますます「すること」を奪っていった。そして、「すること」を奪われた悲しみと重圧からの開放感で、涙が止まらなくなって、ボロボロ泣き崩れた後、家路に着くことにした。32時間、移動距離1000キロ、睡眠時間仮眠含めて2時間半の、短くて長い旅と、今年のセレッソが、ようやっと終わった。


これから誰かが抜け、誰かが入り、ああなってこうなってと、ウワサに心が揺れる日々が来る。次の桜が咲くまでの間に、セレッソはどれほど変われるのだろうか。今はまだ何も決まっていない、不安ばかりが渦巻いているけれど、やるしかないんだろうな。

12/07/2014

Cerezo Osaka 2014 - Nakama - #cerezo #photo

12/04/2014

親愛なる桜の戦士へ。 Estimado Sr. Diego. #cerezo #photo @DiegoForlan7


今年は、数多くの栄光を手にしてきたあなたにとって不本意なシーズンだったかもしれません。しかしそれは、あなたを待ち焦がれていた多くのサポーターにとってもそうでした。


あなたにはもっと多くのゴールをあげる力があるはずです。あなたにはチームを鼓舞し、けん引し、勝利に導く力があるはずです。この極東の小クラブに初の栄冠をもたらすだけの力があるはずです。なのに、できなかった。




私は一度、あなたに裏切られたと思っています。長居で、神戸で、豊田で、私は7度あなたのゴールを見ました。どれも素晴らしいゴールでした。でも、足りない。もっともっと、あなたらしいプレーを、シュートを、ゴールを見せて下さい。そうして、もう一度私を裏切って下さい。

あなたが、このサッカー後進国のメディアが伝えるような「ナーバスなベテラン」ではないと知っているつもりです。だからこそ言うのです。

もっと、あなたらしいプレーを!

もっと、あなたらしいシュートを!

もっと、あなたらしいゴールを!


と、送った。伝わるといいが……

11/30/2014

2014 J1 第33節 C大阪 1vs4 鹿島 枯れても、まだ咲けるはずだ。 #cerezo #photo #diary

得点者

前半33分 カイオ(鹿島)
後半14分 赤崎 秀平(鹿島)
後半22分 赤崎 秀平(鹿島)
後半24分 永井 龍(C大阪)
後半35分 柴崎 岳(鹿島)

試合のことは…そうだな、完全な力負けだった。いい選手がいなかったのか、いい監督もいなかったのか、あまりいい組織ではなくて、いいチームでもなかった。つまり、最近のセレッソから何ら改善はされていなかった。短期間で劇的に変わるものではないから期待はしていなかったけれど。


いい選手ばかりでも監督がよくなければダメだし、逆でもいけない。そのどちらもが揃っているのが鹿島で、ガンバで、浦和であって、セレッソはその真逆を行ってしまったんだろうな。


「レヴィー・クルピ達をカットすることでディエゴ・フォルランを呼ぶことができた。」

今年の初め、上機嫌で岡野雅夫社長が語っていた。彼はチームを4位に押し上げた名伯楽と、チームでは数少ないゲームメーカーだったファビオ・シンプリシオ、まとめ役の一人だった茂庭照幸を放出した。チームの頭脳と魂を売り払って、高い服だけを買って、身なりがよくなったと喜んでいたんだ。


結果、チームはいびつになった。若手ばかりが揃ってまとめ役がいない。キャプテンの山口蛍は代表で抜け、ケガで抜け、チームを牽引するどころではなかった。エースの柿谷曜一朗はボールの供給源を奪われ、代わりにテレビスターのような役どころを任されて、試合に集中できる環境になかった。頼みのディエゴ・フォルランも意思疎通に苦しみ、チームにフィットしなかった。


セレッソは有望な若手が多い、才能ある選手が巣立っていった、だから育成型クラブの成功例だともてはやされたけれど、内実は違っていた。高額年俸のベテランや外国人選手(と言ってもフォルランの何分の一ほどのサラリーだったはず)はチームにいられない、若手にたより、時折育つ有望な選手を海外に売ることで食いつなぐのが精一杯の小クラブだったんだ。

それが、親会社のひとつ、ヤンマーの海外戦略に乗せられて露出ばかりが増え、チームがチームの体をなさないほど規律が無くなっていた。練習後に冷えた体でファンサービスをする選手たちを守る者が誰もいなかった。


これだけひどい状況下で、よくここまで延命できた。セレッソにはまだ才能が残されているんだという証拠とするには、あまりに皮肉なものだけれど。


過去2回の降格もそうだったけれど、今回の降格も試合の中で解決できる「戦術的な問題」ではなく、その前段階、チーム編成だとか、監督選びだとか、練習環境だとか、試合に臨む前の「戦略的失敗」の側面が大きい。

2001年の降格は代表クラスのセンターフォワード、西澤明訓の穴。2006年の降格は2005年躍進の立役者ファビーニョの穴を小さく見積もったクラブのミスから始まった。その教訓が活かされず、立て直すこともできないまま、今日の日を迎えてしまったのはクラブとしての失敗だ。

キチンとしたビジョンを持って、実のある監督を選ぶ。チームをまとめるベテラン、キーマンのレベルを落とさない。それだけでチームはチームとしての体をなす。それをしっかりと続けていくんだけなのにな。


今回の降格でも、以前と同じように選手の流出があるだろう。余程のことがなければ(クラブが出費を惜しまず、山口蛍や山下が呼びかけるでもしない限り)何人かの大切な人材がチームを離れるはずだ。選手にも生活があり、よりよい選手になりたいという欲がある、仕方のない事だ。僅かの出費を惜しんだ挙句なのだから、恨むならクラブのはずだけれど、それをしても選手は帰ってこない。なら、その力はチームの応援に振り分けよう。

来期はかなり底の位置からチームを作っていくことになる。厳しいけれど、その中に光が見えることだってある。香川真司は監督のクビが飛ぶ大チョンボをするボランチだった、山口蛍は簡単に振り切られる右サイドバックだった、乾貴士は好不調にムラッ気があり、柿谷曜一朗は素行が悪かった。みんな、J2の舞台で力をつけ、日本を代表するプレーヤーになった。その素地、ハナサカクラブのような根幹はまだ生きている。なら生き返る萌芽はそこかしこにある。

根が生きていればまた花が咲く。何度散ってもまた力を蓄え、育つ。それを来期の楽しみにしよう。




今日はみんなお疲れ様。今シーズンの残り1試合、そして来シーズンの戦いのために、今はただ休もう。おやすみ。

11/22/2014

2014 J1 第32節 仙台 3vs3 C大阪 Battle Battle Battle... #cerezo #photo #diary

2014年11月22日(土) 17:04キックオフ[ 観客 19,404人 ]ユアテックスタジアム仙台

得点者

前半3分 野沢 拓也(仙台)
前半17分 赤嶺 真吾(仙台)
前半38分 杉本 健勇(C大阪)
後半27分 永井 龍(C大阪)
後半43分 ハモン ロペス(仙台)
後半45分+3 カカウ(C大阪)

試合だけを、そのものを評価するなら、よくぞ心が折れそうな流れを引き戻し、くじけず下を向かずに戦ってくれたと思える。けれども、この結果だけを考えれば、降格の可能性はまた一段と大きくなってしまった。90分間(プラス7分ものアディショナルタイム)だけのものと、これまでの、2880分間トータルのそれとで評価は変わってしまう。難しいな。


スターターは、セレッソの今年の混迷を表したような布陣。岡野前社長がヤンマー本社を口説き落としてまで獲得したディエゴ・フォルランは遠征に帯同もしていない。起死回生の一手と獲得したカカウもベンチスタートで、前線は生え抜きの南野拓実と永井龍となった。杉本健勇は右サイドで、左は楠神順平、ボランチには長谷川アーリアジャスールと扇原貴宏。守備陣に変わりはなしで、代表帰りのキム・ジンヒョンがゴールマウスを守る。


急造の、寄せ集めの11人ではあった。けれども、この布陣は俺個人が一度試してみてほしかったものに近くて、期待はしていた。杉本はプレッシャーがきつい前線よりサイドトップとして起用したほうが活きるはずだし、南野のフィニッシャーとしての力もゴールに近いほうが発揮できるだろうと、長谷川も窮屈なサイドよりもセンターの方が活躍できると。


しかし、試合開始から僅か3分で流れが悪い方に傾く。ボランチの2人の関係性が成熟していないのと、立ち上がりから慎重になり過ぎたのと、それから、仙台のこの一戦に懸ける勢いが強かったのも大きかった。


得意のカウンターから野沢拓也、こちらも武器のセットプレーから赤嶺真吾。一番許してはいけない先制点、心を砕かれそうになる2点目。そこから立ち直り、セレッソがシュートを放つのに、前半20分過ぎまで我慢し続ける必要があった。

福音は、狙い通りサイドトップで考える暇(いとま)を与えられた杉本と、左サイドでドリブルを自在に仕掛けられた楠神だった。杉本のゴールは美しくも素晴らしくもないものではあったけれど、0-2から1-2に持ってきたことで、仙台に違和感と自身への猜疑心を、セレッソに勇気をもたらしてくれた。価値を考えれば千金のものがある。


後半は……もどかしかったな。もう少し攻め駒を矢継ぎ早に繰り出せなかったのか。秋山大地はオープンな展開の時はその運動量、守備範囲が脅威になるだろうし、息切れしたサイドバックには新井場徹をパッチすることもできた。しかし実際には交代はカカウ一人で、それもチームが疲弊し切っていた後半35分になってから。永井の幸運な同点弾が決まっていたからこそ注視されないけれども、あの投入までの時間に意味があったのだろうか。



その頃にはチームはスタミナが切れていて、組織だった守備だとか、そんなものは期待することすらできなかった。ジンヒョンの力量、扇原の頑張り、長谷川の勇気を持った攻め上がり、個々人の精神的な奮闘に期待するしかなくなっていた。前半から連携など期待していなかったけれど、もうこのころには単に11人のプロ選手を並べただけの、そんな集団に成り下がっていた。

だから、仙台の3点目は突然で、心を引き裂かれるものではあったけれど、決して悲劇だとは思っていない。勢いに任せて、誰もチームをコントロールもしていなくて、それで攻めこむだけに執着していれば、ああいうしっぺ返しが来る。


それでもセレッソは負けなかった、それは素晴らしい幸運だ。カカウという驚異的な存在が、10分そこらの時間、全力でボールを追えばあんなゴールが生まれるのだな。

負けなかった、勝てなかった、これをどう結論をつけようか。降格の闇はいよいよ背後まで迫って、真っ黒な口で俺達を飲み込もうとしている。次の鹿島戦に敗れれば、もうあの真っ暗な臓腑の中に落下することになる。しかし、まだ希望の光はわずかに見えている。文頭にも書いたけれど、本当にもどかしい。

悲観することも、さじを投げることも簡単だ。人を悪くいうことも。ただ、それはもう少しだけ後にしよう、12月の大宮ででもできることだ。そこまで、最後まで、まずみんなが、それぞれができることをしよう。チームがバラバラで、サポーターまでそれでは、キャプテンが悲しむ。違うか?