9/29/2013

2013 J1 第27節 C大阪 2vs0 磐田 沈みゆく"歓喜" #cerezo #photo

得点者


後半1分 柿谷 曜一朗(C大阪)
後半12分 山下 達也(C大阪)


4-4-2はもう少し機能すると思っていたけれども、なかなかにうまく行かなかった。不用意なミスから危険なシーンも多々呼び込んでしまった。それを決めきれない磐田と、その後の数少ないチャンスを一発でモノに出来たセレッソの違いが、この試合の明暗、今シーズンの両チームの成績に現れているのだろう。


スタメンとベンチにいい流れが生まれている。前節から加わった丸橋祐介が左サイドバックのスターター、ベンチには6試合ぶりに南野拓実が復帰、システムは前述のとおり4-4-2で、ボランチに扇原貴宏とシンプリシオ、山口螢と楠神順平が柿谷曜一朗と杉本健勇とともに攻撃の核を担う。


攻撃のフォロワーをエースの柿谷の近くに置く、このシステムにはその狙いがあったはずだ。事実、杉本はあえて下がらず前線に残り、センターフォワードとしてプレーをしていた。


ところが、これが全く機能しなかった。前線でも2列目でもボールが収まらなかったのが原因。

杉本は以前に比べて確実に空中戦で競り勝つことが増えたけれども、純然としたポストプレーヤーではなく、相手のセンターバックとボランチの間、一番プレッシャーがキツいところでボールを保持し続けるのはかなり厳しい。J1で体躯を活かしてボールを持ち続けていられるのはケネディやラドンチッチ、ズラタンのような外国人選手か豊田陽平くらいしかいない。


そうなると山口螢、楠神のラインが持って上がる必要が出てくるが、このラインは4-2-3-1より1枚減っていて、なおかつ山口螢はボールを持って持ち上がるタイプの2列目ではない。なので、楠神がひたすらドリブルで仕掛けることになって、相手も守備の的を絞りやすいように見えた。パスカットやドリブルの阻止に余裕があって、後半に出るような数的に不利なカウンターを度々食らっていた。


そうなると、問題なのがボランチのスピード。シンプリシオ、扇原はともに山口螢ほどのスピードと運動量がなく、藤本康太と山下達也への負担はかなり大きかった。


それでも、セレッソはこの前半を凌ぎ切った。そして、磐田は決めきれなかった。

磐田の攻撃は馬蹄形に配されたボランチ、両サイドハーフ、両サイドバックがボールを外へ外へと持ち出し、最後に中央の前田遼一へと速いボールを託す、これを基本とする。しかし、この最後の一手が流れることが多く、精度が低かった。

これが焦りによるものなのか、練習と実戦のミスマッチによるものなのかは分からないが、今の磐田には決定力が不足していた。そうして、前半は救われたスコアレスに終わる。


後半が始まる時、いの一番にピッチに現れた柿谷と山口螢のもとに新井場徹が駆け寄り、何事か話しをしていた。なかなか根の詰まったピッチ上のミーティング。


それから、システムも変更が成された。慣れた4-2-3-1に戻し、右サイドに杉本を入れる。ダブルボランチは山口螢と扇原。


この2つの因子が先制点の呼び水となった、と思いたい。磐田の緩慢なパスをボランチにポジションを落とした山口螢が素早くカットし、前線で走る柿谷へと託す。センターバックの網をかいくぐった柿谷には、キーパーの動きを読んで冷静に流しこむ余裕があった。


その後も、セレッソが水を得た魚のように躍動する。楠神、杉本はプレッシャーが軽減され、前半よりも効果的なプレーが目立った。


特に杉本は、この位置では足元の器用さとパスセンスが活かされる。右サイドを持ち上がった時に様々な選択肢が出て、攻撃の幅が増えるのだ。

押せ押せのセレッソと先制され落胆する磐田のコントラストは、後半12分により濃くなる。左サイドでのセットプレー、丸橋の精度の高いキックがゴール前の混戦を産み、山下のゴールに繋がった。


セレッソは長くセットプレーの決め手に欠けていて、こうした得点は生まれなかった。しかし丸橋という優秀なキッカーと山下という強さを持つプレーヤーの存在がイメージを変えつつある。パワープレーをするならばさらに横山知伸を入れるという選択もある。

2点のリードは今のセレッソにとっても、今の磐田にとっても大きなものだった。試合はここで決した。


こうして、セレッソには負傷から癒えた戦力を試運転させる余裕が生まれた。 後半27分の時点で磐田関塚隆監督はカードをすべて切っていて、こちらは圧倒的優位だった。32分に、皆が待ちわびた南野拓実の帰還が果たされる。



後半32分

久々の実戦だったけれども、南野の日本刀のように鋭利なドリブルは存在感があった。枝村匠馬も帰陣した位置からのパスカットとドリブルは効果的だった。


後半45+2


4-4-2という、柿谷への負担軽減と、攻撃のバリエーション増加を狙ったシステム変更は不調で、次節に向けての不安はある。ただ、この終盤戦で何より重視されるのは結果。その意味では十分満足すべき試合だった。

次節以降の3節は下位チームとの試合が続き、残り4節は上位チームとの直接対決が残る。この「決戦」までにセレッソは戦力の維持とバリエーションの確立を行わなければならない。内容と結果の両立を行うのは容易では無いけれど、ACL出場、初タイトルを狙うのならば、必須のミッションになる。

9/28/2013

8と20の神話。 #cerezo #photo

今日の試合で、やっとやっと、柿谷曜一朗と杉本健勇の2トップが見られるらしい。やっとやっとだ。


これで、セットプレーの守備以外は、柿谷の至近によいパートナーがいることになる。攻撃の幅も絶対に広がる。

なにより、8の近くに20がいる。20の落としに8がつめる。この響きがいいじゃないか!



今日は楽しみにしてるよ。


もちろん、南野拓実にも。

9/26/2013

写真を撮ることについての個人的なスタンス。 #photo #diary

最近写真の撮影や利用について色々と話しをすることがあって、写真に対しての権利や危なさみたいなものを確認した。


このあたりは暁の法律事務所の木村充里弁護士が描かれた「写った人の承諾なく撮った写真は肖像権侵害になるの?/【漫画】僕と彼女と著作権・第5話」が詳しい。特定の人を誹謗中傷する目的でフォーカスした文章や写真は不適切だ、ということ。肖像権は法律で定められた権利ではないけれど、実害があれば削除や損害賠償が認められるということ。

セレッソの試合日にその内外で撮影する「集団」や「風景」に対しては、肖像権は認められないケースが多いみたいだ。この辺りは線引が不透明なのだけれど。対して、この人が嫌いだ、などと書いて写真までつけるのは確実にアウト。その辺りは、Guidelineというページを新たにまとめているので、それを確認していただければと思う。


その一方で、写真を撮影者の許可無しに無断で転載したり、販売したりするのは著作権の侵害、ということになるそうだ。舞洲で撮った選手の写真とか値段つけて売ったらそれはダメだろう。

セレッソの選手を写している自分自身も「容認」ではなくて「黙認」なので大きいことは言えない。セレッソというクラブの持つ、選手たち、チーム、試合のイベントなどのコンテンツが少しでもリッチにものになり、セレッソを観たい、応援したいという人を増やすのであれば、という「黙認」だから。当事者の方々の食い扶持を奪うような行為はしない。


その一方で、Twitterなどで必死にセレッソを応援している人達が、俺の写真を気に入って使ってくれていることは、正直なところ嬉しい。そうして、そこからまた「セレッソ」という存在が伝搬していけば、もっともっと大きなクラブになれると思うから。

非商用で、誹謗中傷目的の利用であれば、別段俺に確認することはないし、そのためにクレジット(作者が誰かという記載)はしていない。それはまるでシェフが自分の作った料理一つ一つにサインを書き込んでいるようで、性に合わない。それを是としている人もいるから、なにが正しいとかは言わないけれど、個々人のスタンスに違いがあるのだろうね。


俺は、セレッソや日常に関わる「素晴らしいもの」を撮りたいと思っているし、事件性のあるもの以外は、実際そのようなものしか撮っていない。上の写真だって、彼が酷い立ち振舞をしていればシャッターを押さなかった。良い笑顔であったから撮ったし、了解もとった。


セレッソは、素晴らしい可能性を残しながら、全てを出し切れていない。その全てを出せれば、キンチョウスタジアムの試合は必ず完売、ということもありえないことではないよね。

9/23/2013

2013 J1 第26節 C大阪1vs1 柏 俺達は勝つんだ。 #cerezo #photo

得点者

前半38分 工藤 壮人(柏)
後半38分 柿谷 曜一朗(C大阪)


同点ゴールを決めた柿谷曜一朗は、喜びもせずにゴールの中からボールを素早く奪い取り、一目散にセンターサークルに戻した。


俺は、この魂がある限り、セレッソは死んでいないと言える。勝つんだという意志がある限り、戦い続けられる。ずっとね。


スターティングラインナップはかなり細かく変更があった。


ケガの丸橋祐介はベンチに戻ってきたが、スターターの左サイドバックは続けて新井場徹。右サイドバックは出場停止明けの酒本憲幸。フォワードである杉本健勇とエジノがそれぞれ2列目で起用され、楠神順平はベンチスタート。


アウェイ、日立台での試合では、前半は完全に柏ペースで、十重二十重と攻撃を仕掛けられたが、今回の柏はまず守備から入っていた。田中順也が1トップ気味、澤昌克がその下にいて、こちらのダブルボランチ、山口螢と扇原貴宏、それにセンターバックの山下達也、藤本康太にチェックを入れていた。


写真を整理して感じたのだけれど、守備時の田中順也の貢献は凄まじいもので、山下の写真を選ぶと必ず彼がフレームに入っていた。セレッソのセンターバックはゲームメイク能力が低いので、そこを捨ててボランチに詰める形が「定石」。それがここまで自由にしてもらえないというのは珍しい。


守備のキツさは前線でも同じだった。

杉本健勇が柿谷の援護にまわり、2列目に入ると、高さで競り合うゾーンが相手ボランチと重なり、競り勝てる場合が多いのだけれど、ここでもガツガツと詰められてあまりいい形が作れなかった。

さらに言うと、エジノと酒本の右サイドはそれよりも危険な状態だった。ボールロストの殆どがエジノの判断の遅れからで、場所やタイミングが悪すぎた。ここを起点にされてボールを回されることが多かった。


それでも、セレッソは決定機を、少なくとも前節Fマリノス戦よりは作れていた。2列目がリスクを負いながらも前への意識を強く持っていたのがポイントだった。柏のタイトな守備で今一歩決めきれなかったが、いい形を少なくとも1度作り、33,174人の観客を飲み込んだ長居スタジアムを沸かせている。


しかし、 先制点はアウェイに続きまたしても柏だった。スコアラーも同じ工藤壮人。

工藤は純然たるフォワードではなく、代表と同じく2列目右に陣取り、攻撃時にはトップに近い位置まで上がる「隠れフォワード」とでも言うべき動きをしていた。こちらの左サイドがそのマークの受け渡しに難儀していて、失点のシーンでも右サイドからスルスルと上がっていく工藤に付ききらないままだった。かなり特殊な動き方だったので、対応しづらかったのはわかるけれど。

前半は、攻めながらも詰めが甘いセレッソと、キッチリと決めきった柏とのコントラストが際立った。


これはマズいと考えたのか、レヴィーは後半の頭から2枚替えをする荒療治に出た。山口螢とエジノの右サイドを下げて楠神と枝村匠馬を入れ、杉本健勇がトップの位置まで上がる4-4-2のスタイル。




後半開始時

この交代は効果を呼び、後半開始から10分くらいの間はいい流れを作れた。


特に楠神順平のドリブルは効果的なアクセントだった。ボランチの位置まで下がって、前線までボールを運ぶ、南野拓実がしていた仕事ができるのは、今のメンバーでは彼くらいだから。彼がボールを持てば、少なくとも2トップの近くまでは攻撃を展開させることが出来た。

それでも、ドリブルの仕掛けどころ、パスかシュートに切り替えるポイントがはっきりせず、連係の不味さが目立ってしまった。これはマイナスのポイント。それがわかると、まず彼を止めればよいと柏側にシンプルに考えられてしまって、4-4-2にした柏の8枚のブロックを突き崩せなかった。




もう一つ不味かったのは、ボランチの選択がシンプリシオと扇原だった、ということだ。

2列目を一枚削って前線を増やす選択をしたのに、ボランチの運動量とスピードが下がってしまい、守備が後手に回る機会が増えてしまった。それで、後半10分くらいからはお互いにかなりオープンな体勢になってしまい、多くのピンチと数少ないチャンスという、あまり良くない状態が続いた。

山口螢は前半消えていることが多かったけれども、運動量はシンプリシオよりもあるのだから、山口、扇原の方がよかったのでは?ケガなのかもしれないが。

後半33分にはもう最後のカード。丸橋が左サイドに入り、限りなく攻撃的な姿勢。

後半33分

この交代と、柏のジョルジ・ワグネル、クレオの投入が、セレッソ同点への呼び水となったように思う。

こちらは田中順也や澤、工藤の運動量に悩まされていた。前述の通りオープンな打ち合いで3対3など危険な形を作られていた。けれども運動量よりも技術や高さで勝負をする2人が入ったことで、セレッソは局地戦を不利な状態で向かえる機会が減ったのだ。

そうして、今際の際の38分に柿谷のゴール。


柿谷はここまでに前後半1度ずつ決定機を外していたけれど、一番難しい最後のチャンスで決めきってくれた。ボールの運び役であるエジノ、杉本健勇、シンプリシオ、枝村、楠神がうまく噛み合わず難儀したが、このゴールでは丸橋、杉本、シンプリシオ、楠神が攻撃に加わり、かなり厚い攻撃ができていた。


もちろん、勝ちたかった。これで首位争いからはかなり交代してしまって、横浜Fマリノスがコケない限り奇跡は起きない状態になった。状況は節を追うごとに厳しくなっている。

それでも、ACL圏内である3位はまだ十分に射程内に入っている。まずはここを目指そう。そうしてそこからもうワンランク上を目指すつもりで戦っていこう。 常に気持ちを前に、目標を設定し、一つ一つを大切にしていこう。その姿勢はスタンドにいる多くの子供たちにも伝わっているから。


9/22/2013

柿谷曜一朗への「動脈」。杉本健勇と楠神順平。 #cerezo #photo

多分、およそのセレッソを愛している人は、この記事を長居スタジアムの周りか、スポーツバー、自宅のテレビの前で見ていると思う。暇つぶしにでもなればね。


今日の試合のカギ、いや、ここ数節の、そしてこれから数節のカギは、柿谷曜一朗というセレッソの「心臓」に、どれだけフレッシュな血液を送れるか、これに尽きると思う。


柿谷にいい形でボールが入れば、高い確率で仕事をしてくれる。しかし、9枚で守るカウンターサッカーでは、なかなかその形が作れない。


これまでは、南野拓実が「動脈」だった。左のサイドハーフの位置から柿谷とのコンビが組める至近までスピーディーに、正確にボールを運ぶ無二の存在だった。しかし、彼は今、負傷している。では誰が動脈となるのか。


タイトルの通り、この二人には期待している。杉本健勇、楠神順平、ともに南野とはまた違う面白みがある選手だと思う。


杉本が2列目に入ると、そこでボールをホールドすることができる。そうして、柿谷とのマッチングもいい。とくに今シンプリシオが入っている2列目中央、柿谷の真下に入るといい流れができる。

シンプリシオは守備での貢献度が非常に高いプレーヤーなので、いきなりその位置で使うことは難しいだろうけれど、オプションとしては魅力的だ。


楠神は、エジノが先発に入るということでスターターを外れるけれども、それが逆にいいのでは?

エジノがマッチアップする相手は、恐らくジョルジ・ワグネルになるだろう。非常に攻撃的で、スピードも創造性もある。エジノはしばらく守備に忙殺されてしまうだろう。

ただし、時間が経てばジョルジ・ワグネルも運動量が落ちる。そこが楠神を投入するチャンスになる。楠神のボールを持った後の推進力は、南野を超えるものがある。柿谷とのラインがつながれば、面白い活躍ができるはずだ。


相手は水曜日に地球を往復で半周ほどして帰ってきた「手負いの太陽」、アウェーの際のように前半を五分で折り返せれば、後半に試合をうまく壊すこともできるはずだ。


明日はこういうシーンをたくさん見たいね。

9/18/2013

写真の「形」。 #cerezo #photo #diary

知り合いがカメラを買った。ずいぶんと食欲旺盛で、食べ物を見せると幸せそうにしている子なのに、よく頑張って節制して、一眼レフまで辿り着いたなと感心している。


それで改めて、西中島流の写真のとり方を、自分の忘備録としても残していきたいと思う。


写真はとても簡単である。本当に簡単だ。自分が撮りたいともうものと、自分自身の間にカメラを置き、ファインダーを覗くなりしてシャッターを押せばいいのだ。

その時、RAWで撮っておけば、多少の間違いは後で補正が効く。デジタル一眼ならフィルムカメラよりも格段に失敗は少ない。


問題はむしろ、何を撮りたいと感じ、それをどう表現したいか、ということだ。サッカーでは以前に「そろそろセレッソのスタッフさんはジャニーズショップとかアニメイトとか行ったほうがいいかもしれないなーと写真を見ながら考えた。 #cerezo #photo 」という記事を書いたけれども、表現したいモノゴトの切り取り方こそ重要なのだ。


俺がサッカーを撮る時に心がけているのは、「形」が大事だということ。ゴールが決まったシュートの瞬間とか、そういうものは実はあまり重きを置いていない。

それよりも、舞台でいう「キメ」であったり、歌舞伎の「見得」であったり、それに通じる躍動的なポーズになっているかがとても大事だと思っている。


いつぞや、大事な人に話をしたけれども、扇原貴宏の少し女性的な、ダランと手を振る仕草だったり、柿谷曜一朗の美しいスタイルのドリブルであったり、丸橋祐介がクロスを上げる時の右腕がクロールをするように一回転する様を、キチンと収めるのだ。


これは、多くの女性が撮るスタイルとは間逆なのだけれど、自分のセンスまで曲げて撮り方を変えられないので、これからもそのように撮っていくと思う。多分、俺は選手を撮るのではなく、サッカーを撮っているのだろう。だから、こういう差異が産まれるのだろうな。


最近は、山下達也のギリシア彫刻のような長い四肢が躍動する様がお気に入りだ。