12/02/2013

2013 J1 第33節 C大阪 1vs2 鹿島 Impressions. #cerezo #photo

得点者


前半25分 大迫 勇也(鹿島)
前半38分 柿谷 曜一朗(C大阪)
後半40分 中村 充孝(鹿島)

負けた試合を振り返るのは辛いことだけれど、まるで生産性がないこととは思わない。土曜の敗戦は、今年のレヴィーサッカーの良い面と悪い面がキチンど出ていて、面白かった。問題は、悪い面が一朝一夕に変えられるものではないところだ。


スタメンとベンチ。藤本康太の負傷で茂庭照幸がスターター。横山知伸はセンターバック、ボランチの控えとしてベンチに入る。ボランチの層が不安ということで、黒木聖仁もベンチ入り。


スタートは、お互いにミスからの失点を恐れて慎重だったように覚えている。その中でセレッソは左サイドからの攻撃が機能していた。


南野拓実、丸橋祐介の二人はスピードもテクニックもあって、柿谷曜一朗やボランチの扇原貴宏らとも呼吸が合う。個としても組織としても強いので、セレッソの攻撃は専ら左サイドが起点になっていた。これは、最近のおおよその試合と同じだ。時折シンプリシオが絡んで中央突破をするのも、ボランチの位置から柿谷に、長いギリギリのボールを入れようとするのも。


鹿島は受け身だった。こんなに主導権を渡す鹿島も珍しい、というほどに。それでも大迫勇也というトップの存在がチームを危機から救っていた。

柿谷の1トップと大迫の1トップは少し違う。柿谷には裏への抜け出し、ドリブル、パス、そしてフィニッシュがある。大迫は裏への抜け出しは無いが、パスもドリブルもフィニッシュもあり、なによりボールを保持し続けるスキルとフィジカルがあった。

彼がボールを持って頑張っている間に、鹿島の攻撃陣は陣容を立て直す。そこからリズムが生まれる。今季の守備の核となった山下達也と対峙しても、五分五分の勝負をしていた。


アウェーで戦った鹿島は、鹿島らしさがまるでなかった。ボールを回すとか、組み立てるとか、そういう組織力をかなぐり捨てて、ダヴィ頼みのサッカーをしていた。しかし、この日の鹿島は老獪で、キツい時間帯でも何とかしのぐ、そこから仕切りなおすいやらしさが少しずつ復活していた。


だから、流れが停滞していたというのに、セットプレーからの得点を得られた。セレッソは流れをこちらに引き込んでいるという慢心があったのか、あまりない形で失点をしてしまった。


鹿島相手に、流れを掴んでいるのに先制点を許す、というのは実に厄介だ。アウェーで仙台に点をとられるのと同じくらいに。

それでもセレッソは無理やりタイスコアに持って行く。柿谷というスペシャルな存在に自由を与えた成果がここで出た。とんでもない状況でもゴールを奪える柿谷にボールを託し、局面を打破する。今年のセレッソの長所がそれだ。



しかし、それ以外に特別な得点源を持たないセレッソの単調さが、流れを掴みながら追加点を奪いきれなかった短所と言える。


得点を期待されたエジノ、杉本健勇、楠神順平、枝村匠馬が結果を残せなかった。柿谷以外に得点源を持てなかったのは、痛かった。


それは、レヴィーの「選択」の結果なのだけど。

レヴィーは毎年、今いる選手の中で最も高い勝率を残す戦い方に特化する。清武弘嗣、倉田秋、ファビオ・ロペスがいたころ、2011年の4-2-3-1と、今年の4-2-3-1(4-4-1-1)ではまるでやり方が違う。

前者はボランチと3シャドーでジックリと攻撃を作ったが、後者はタテに早く、相手が守備組織を作る前に柿谷にボールを預ける。ただそれだけを目的に逆算し、チームを作っている。


例えば、南野がフォワードとしてのセンスが有ることは去年の天皇杯で実証済みだけれど、今はスピードと親和性を買われ、柿谷へのボール供給役に専心している。だから柿谷は19のゴールを奪えたのだし、だから南野は3ゴールしか奪えなかったのだ。

後半立て続けにあった得点機を活かせなかったのは、この得点源の固定化とチームの若さが出た。若さの出たところは以前にも書いたけれど、ベテランをうまく活かす編成ができないチームの台所事情故かと思う。小笠原満男、本山雅志といった「クラブのフィロソフィー」を知り尽くした選手を活かせる鹿島とは対照的だ。


写真を整理していると、そこかしこに小笠原がいた。セレッソではシンプリシオがやっているタスクをより強くした感じだ。そういう存在がいるというのは、精神的に強いだろう。

流れを掴みながら点を奪えなかったセレッソ。しかし、全体のバランスが良すぎて手を入れるタイミングが難しかった。後半34分に楠神を入れたのは妥当。



しかしその後、鹿島のセットプレーに沈む。フリーキックのボールをリフレクション。中村充孝の前に流れた不運は、ただ不運と片付けていいのか。


そのボールを蹴りこんだのは、チームを鼓舞していた小笠原だった。


高さに頼るしか無いセレッソは、杉本健勇を入れて前線に入れて4-4-2にシステム変更をする。



しかし、決定機は楠神が突破し、バーに嫌われたものが最大で、タイスコアに持ち込むことさえできなかった。


サポーターもクラブも最高の雰囲気を作ったその試合で、ただ結果だけが出なかったのは悔しい。ただ、試合の作り方はセレッソが今年続けてきたもので、引き出しの少ないサッカーの弱さが今になって出たものだから、割りきらなければいけないかもしれない。


最後に、レヴィーと柿谷に、チームにサポーターに笑顔でいてほしいと願う。さいたままでカメラを担いで行ってくる。

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