4/15/2012

2012 J1 第6節 C大阪 0vs1 新潟 攻撃陣沈黙。 #cerezo

得点者

後半40分 矢野 貴章(新潟)



0-1での敗戦で、守備に関しては悔やむところは比較的少なかったように思う。新潟はセレッソをよく研究していたなというところがあって、それを修正できなかったこともダメだったところなのだけれど、それ以上に今年の攻撃陣のベースができていないところが歯がゆく感じる。

まだ個人の力に依存しているところが多く、去年からのメンバーと今年入ったケンペス、ブランキーニョが完全に馴染んではいないのを見透かされて、この試合でも決定機らしい決定機を殆ど作れなかった。


システムの微調整も・・・。


スタメンはケガの丸橋以外はほぼ固定で、その左サイドには前節大宮戦で結果を出した高橋大輔が入っている。

ただ1トップ3シャドーの位置取りが変わっていて、清武、キム・ボギョンは本来の位置だったが、ブランキーニョはケンペスに近いところで「はっている」ようになっていた。どちらかと言うと4-4-2に近い形。五輪合宿を離脱していた扇原のコンデイションを考えてか横山がベンチ入りしている。

試合開始時

このシステム変更の意図は明確で、ケンペスがハイボール、ロングボールの競り合いで落としたボールをブランキーニョが拾い、そこを起点に攻撃のポイントを作ろう、というものだった。


今季のセレッソは扇原か山口螢を起点にして、清武と丸橋か高橋が組んだ左サイドか、キム・ボギョン、酒本が組んだ右サイドが独力で突破するか、そこを封じられた時は引きつけて逆のサイド、というのが殆どになっていて、ケンペス、ブランキーニョは攻撃の組み立てには殆ど関わっていなかった。なのでこの二人を活かしたい、中央でもポイントを作りたいという考えは合理的だった。

ただ二人の関係性がしっくりと来ず、結果的に孤立してしまうシーンが殆どだった。ブランキーニョはフィニッシャーとして、ゴール前でのプレーに特徴がある選手だけに、もう少しいいボールが入ればと悔やむところもあった。


新潟の徹底したセレッソ対策


加えて新潟はチームとしての意思統一がうまくできていて、ボールを前まで運ぶ役割を担っていた清武、キム・ボギョンには終始激しいマークがつくことになった。これで攻撃のスピードが目に見えて鈍化してしまい、不用意なボールロストも増えるかっこうになった。

黒崎監督も試合後に語っているが、普段はポジションをずらすなどして工夫をしているところを相手の守備に対応されてしまって、見せ場らしい見せ場は前半の扇原のミドルと公判の清武のミドル程度だった。

激しいマークに苦しむ清武

人数をかけた守備からボールを奪うと、前に残っているブルーノ・ロペス、ミシェウ、アラン・ミネイロのブラジル人トリオによるカウンター、というのが新潟のベース。そしてこの3人が徹底してセレッソの両サイド、特に右サイドを突いてきた。

今日はタフなゲームになった酒本


今季のセレッソの4バックとダブルボランチのブロックは非常にコンパクトで、相手のスピードを人数をかけて殺し、複数人でボールを奪うことを基本にしている。

中央からのドリブル突破をしかけるチームには強いが、サイドをここまで徹底して突かれると厳しいものがあった。大きくサイドチェンジされると一度に6人が大きく振られることになり、スタミナを浪費してしまうことも。


前半からこのやり方をひたすら続けられたことで、清武、キム・ボギョンという本来は攻撃に専念してほしいプレーヤーまで下がる機会が増えて、これも攻撃に悪影響を与えていた。

最初はやや飛ばし気味にハイプレスをかけられたところを上手くかわしていたのだが、前半の終わり頃から新潟が守備ブロックを下げてきて、そこからセレッソの前線と守備ラインが噛み合わなくなってきた。


攻撃オプションの少なさがアダに。


後半も前線の孤立と守備の疲弊は顕著で、新潟の引いてカウンター、徹底したサイド攻撃という戦術に明確な打開策が見出せなかった。右サイドを深くえぐられてからのミシェウのシュートはキム・ジンヒョンが好セーブで防いだものの、どちらにイニシアチブがあるのかは明白だった。

この流れを変えたいソアレス監督は柿谷に白羽の矢を立てる。





後半17分ブランキーニョ→柿谷

柿谷が入った位置はブランキーニョと変わらずケンペスの近く、トップといってもいい位置だった。しかし柿谷もケンペスとのマッチングが上手く行かず、結果として存在感が希薄になってしまった。



ケンペスに対してはセンターバックがしっかりとついていて、競り合いでもあまり勝率が良くない状況が続いていた。

ケンペスのペアが近くにいなければ、彼の「高さ」という去年までなかった武器が殺されてしまう。しかし誰かが上がると、今度は清武、キム・ボギョンというボールを運ぶ役割を担った二人に対する負担がキツくなってくる。結果、今日のよう清武、キム・ボギョンが徹底してつぶされると、攻撃自体が機能しなくなる。

キム・ボギョンが前を向けないと攻撃が鈍化する


このジレンマは開幕から続いていて、未だに解決していない。今日は3シャドーの一人を上げるという方法を試したが機能しなかったため、最終的には播戸を入れた攻撃的な4-4-2(4-1-3-2?)というシステムをとることになった。

後半33分扇原→播戸

我慢しきれず失点


矢野貴章に許したゴールに関して言えば、必然だったように思う。あれだけ右サイドをえぐられ続けていれば全体が傾くのは当たり前で、右サイドからボールを受けた矢野貴章の前には高橋大輔が一人いるだけ。まわりには広大なスペースがあったから、高橋大輔もキム・ジンヒョンも、シュート、ドリブル、パス、あらゆる選択肢を想定して動かねばならず、そこに最高のシュートを撃たれてしまった。

去年までのセレッソなら1点取られても前に前にという推進力があったが、この試合に関しては何もなかった。

前にいる攻撃陣は相手の守備ラインの中から動かないままで、守備陣はどこにもパスが出せない。苦し紛れに放り込んでもケンペス一人では荷が重い。ケンペスがボールを落とすことを前提に置いている柿谷や播戸は無力化していて、両サイドバックは守備の疲弊からパスの精度を欠いた。今年の悪いところが全て出たようで、アディショナルタイムの5分も見せ場なく終わった。



何度も書くが、守備に関しては去年のベースの上にボランチの成長があり、サイドバックがバランスを取ることで大崩れはしなくなった。藤本が入ることで高さに対しても対策ができている。



そのかわり攻撃に関しては、キーマンである清武、キム・ボギョンが潰されると何もできない。彼らとブランキーニョの間に明確な関係が確立するまでは、1点が重い意味を持つハードな試合が続くだろう。

それを「つまらない」と感じることがあっても致し方ないかもしれない。それでも不甲斐なく失点を重ねる、観客が試合が終わる前に席を立つような試合が無くなったことは事実としてとらえてほしい、2敗ともにスコア上は1点差試合だ。


むしろその2敗が、ともにホームゲーム、それもサポーターとの距離が近いキンチョウスタジアムだというのが悲しい。

ホームゲームというのは球団の興行であり、大切な収入源だ。多くのスタッフ、サポーターが最高の空間作りのために何日、何週間も前から尽力している。

ホームで勝てなければ客足は遠退き、入場料収入は減る。そして地域から愛されるクラブという目標からも離れていく。ホームで負けるというのはそれほどの大事なのだ。もう一度、ホームの大切さを見つめなおしてほしい。

1 件のコメント :

  1. ごくろうさまでした。

    セレッソの前のほうの連係が、馴染むには何試合かかかるかと思っています。それまでの辛抱かと。

    馴染んだ後の「爆発」を愉しみにしております。

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