8/25/2011

2011 J1 第23節 横浜FM2VS1C大阪 旅の終わり。

前半15分 兵藤 慎剛(横浜FM)
前半44分 中村 俊輔(横浜FM)
後半14分 杉本 健勇(C大阪)


ああ、甲子園でもあるまいに、夏の盛りのこの熱さの中、自宅に帰る回数も数えるほど、一つ所にもとどまれずのジプシー生活は、セレッソに甚大な被害をもたらした。マルチネス、小松、キム・ボギョン、今日は清武。次々と中心選手が倒れていく。残った選手達も前半から動きが鈍く、この3試合を走り続けた選手達の疲弊は、モニターを通しても容易に見て取れた。


スタメンを見てもチーム状態の悪さがよくわかる。トップの播戸は上り調子だが、中盤には得点を量産していたキム・ボギョンの名前が無い。ボランチはユース出身の山口螢と扇原、2列目には前節同様にファビオ・ロペス。茂庭は復帰したものの、今度は貴重な控えの藤本が外れて、控えでセンターバックができるのは高橋祐太郎だけ。ベストメンバーには程遠い。

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選手層の厚さ、勢い、チームの成熟度、どれをとってもマリノスが一枚上手。セレッソは僅かに圧力をかけられただけでミスをしたり、体が動かず、危険なボールロストを繰り返す。守備では急造ボランチが機能せず、3シャドーも運動量不足でボールがつながらない。前半15分の失点は中に走りこんでくる兵藤のマークがつききれていなかったのも痛いが、その一歩前、左サイドの攻防で粘りを見せられなかったのも残念だった。

前半ただ一人、気合の入ったプレーをしていたのは播戸。ペナルティエリア、左サイドからの速いクロスボールを受けると反転シュートも枠外。その後もボックス内に走りこんできたファビオ・ロペスにやさしいタッチのボールを供給し、シュートを誘発させるがこちらも枠外。前半のチャンスといえばこれくらいで、あとは殆どマリノスのペース。

不運は続くもので、前半終了間際にも茂庭のクリアボールが中村俊輔の足にヒットして失点。この出来で2失点は痛すぎた。中村はこのプレーで足を痛めて下がったが、逆に体躯の強い渡邉千真が後半から入り、茂庭、上本を苦しめることになる。


普通なら後半頭から手駒を切ってチームを活性化させたいが、パンチの効いたプレーヤー、局面を打開するサブがいないので動けない。ただマリノスも予定外の選手交代で少しずつチームの総合力が下がり始めた。セレッソがサイドを広く使った攻撃から形を作り始める。

ところがその両サイド、丸橋と酒本も連戦の疲れがありありで、縦へのスピードが無い。あと一歩、いつもなら出ているはずの足がでない。酒本が一度いい突破を見せたが、それ以外は歯がゆいものばかり。


後半13分になってようやくカードを切る。精彩を欠いていた山口を下げて杉本を入れ、倉田はボランチに下がる。4-2-2-2にシフトして前線でのポイントを増やす。持ち味のはずの中盤でのパス回しは捨て、現実路線に。

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後半13分


杉本は自慢の高さではあまり形を作れなかったが、足元の柔らかさでマリノスの守備を崩す。入ってすぐ、ボックス内で清武の速いパスを受けてシュートを放つとこれが決まる。起死回生のゴール。

ここからはイケイケの攻撃が続く。清武を軸にして、播戸、杉本が絡むような形。丸橋、酒本は無理をせずアーリークロスを入れて、雨でスリッピーになったピッチでのイレギュラーを誘う。

もし怪我をしている主力がこの場にいればとは、よもや言うまい。この試合無理をしていない選手は誰もいなかった、皆ベストを尽くしてくれたと思う。倉田の顔からは表情が消え、茂庭、上本も小野、長谷川、そして渡邉、キム・クナンといった強力な前線とのファイトで体力を削られていた。調子がいい播戸と言えども例外ではなく、気力でプレーしている様子。扇原は試合の流れに自分を合わせるのに手一杯で、ファビオ・ロペスは自分の持ち味もチームメートのよいところも引き出せないままだった。


そうして恐れていたことが起こる。清武の体が悲鳴を上げ、後半29分に左膝を負傷。乾、マルチネス、キム・ボギョン、ボールをキープできるプレーヤーがいなくなっていた中、チームの心臓として攻守にわたって活躍していた清武が、タンカに乗せられ、苦悶の表情でピッチを去る。

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後半30分


この時間になると、チームはチームとしての形を失い、狭いスペースの個々人が頑張るような状態になっていた。味方が相手に詰められてもフォローに行くことができない。少しパスの受け渡しがズレただけでもボールがラインを割ってしまう。悲しいシーンが続いた。

溜飲を下げたのは、清武に代わってピッチに入り、右サイドで暴れまわった村田の存在。ウインガーのようにただラインをタテに走るだけではなく、時には中に切れ込み、またある時はボックスの中に入り込んでくる。そのスピードはチームの中でも突出していて、観ていてワクワクするものだった。春先のチャリティーマッチではただ前に突進するだけのプレーヤーだったが、しばらくぶりの実戦で自身の成長を披露してくれた。


敗戦は、それはどうあっても悔しい。もししっかりと戦力が整っていたらと思うこともある。ただ少なくとも、これからも続くシーズンを諦めるような気分にだけはならないでいよう。最後の最後、シーズン最終節試合終了の笛が吹かれるまで、チームと共に戦おう。それが、サポーターに与えられた仕事であるから。

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