8/21/2011

2011 J1 第22節 清水3VS3C大阪 今が底と…。

前半8分 小野 伸二(清水)
後半31分 播戸 竜二(PK)(C大阪)
後半32分 播戸 竜二(C大阪)

後半35分 高木 俊幸(清水)
後半42分 播戸 竜二(C大阪)
後半44分 高原 直泰(清水)



これで勝てないのなら、多分しばらく勝てない。そんなもの精神的なものだと笑えれば幸せだけれど、この文章を書いている今でも暗澹たる気持ちになっている。

扇原や清武、そして誰より播戸の活躍は、賞賛すべきものだ。だが、それゆえに絶望するのだ。これだけよいプレーヤーが揃い、ところどころ宝石のように光るプレーがあるというのに、勝てないどころか、リードを5分間守ることもできないでいるのだ。


この試合のスタメン、レヴィーはさぞ悩んだことだと思う。茂庭出場停止、マルチネスは負傷で帰国、ファビオ・ロペスはまだチームにフィットしておらず、高橋大輔、小松は怪我、中後は疲労の色が隠せずでは、どんなメンバーを組めばいい?

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この図ではファビオ・ロペスと清武、倉田は同じ高さにいるが、日本人二人は下がってボールを受ける回数が多いのに対して、ファビオ・ロペスは攻撃になるとすっと杉本と同じ列に上がって相手のDFラインと駆け引きをすることが多かった。スタート時は扇原がセンターバック、藤本がボランチでアンカー的な仕事をしていた。ベンチには村田が入っている。


立ち上がりは急造チームの体がモロに出て良くない。清水の新外国人カルフィン・ヨン・ア・ピンがDFラインの1つ前、倉田や清武、キム・ボギョンが使いたいエリアにどっしりと構えてトリブルを粉砕される。そこから広くボールをさばかれて後ろ向きに走らされるシーンが多かったように思う。

ヨン・ア・ピンは筋骨隆々としていて、プレースタイルはアマラウとマルチネスを足したような感じ。広いエリアをカバーするのは苦手なようだが、担当した場所は必ず死守する。持った時も運動量はさほどではないが視野が広く、セレッソのプレーヤーがどちらかのサイドに寄っていると、必ず逆サイドにふられて苦しい。


この試合3度失点しているが、そのどれもがあまりいい形ではなかった。清水の最初のシュートはクロスに合わせた小野のヘッドで、たたきつけられた分長身のキム・ジンヒョンはカバーしきれず。競り合いで1対2と数的優位に立っているのにこの体たらくだ。


セレッソも攻撃の形を作ろうと、清武、キム・ボギョンあたりが奔走していた。ただし例のヨン・ア・ピンが固く、あまりいい形を作れない。ワントップの杉本までうまくボールが入らず、入ったとしてもCB2枚とアンカーの3角形の中。余程早くボールを動かさないとあっという間にボールを奪われてしまう。

タテのスピードも少し鈍化していたが、横へ散らす回数も少なめで、悪い時のセレッソのパターンに入っていた。本当にいい所がない前半で、欲求不満。


後半になって、ポジションをテコ入れ。扇原と藤本の位置を変えた。

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こうすると扇原、清武と2枚、サイドに散らしたりドリブルで持って上がったりと、アクセントをつけられる中盤ができて攻撃にリズムが生まれる。またセンターバック相手に四苦八苦していた杉本は左サイドに流れる回数を意図的に増やし、ボールを保持する回数と時間が増えた。こうして起点が何箇所か生まれ、攻撃のパターンがすこしずつ増えていった。

サイドでは酒本、丸橋が攻撃的に絡み、何度かいいクロスを上げる。酒本のDFを一人外してのクロス、杉本がヘッドで合わせるも枠外。丸橋も攻撃に関してはいい動きで、両サイドから清水を押し込む。対する清水ゴドビ監督は攻撃的なアレックス、守備的な岩下を入れてチーム状態にキープさせる。小野はもう90分間フルでプレーすることができないのか、小野のために必ず1枚、カードを切らなければいけないようだ。


後半28分、セレッソは数少ない手駒の中から播戸と山口を入れ、決めきれずにいた杉本、ヨン・ア・ピンとの接触で足を痛めたキム・ボギョンを下げる。

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後半28分


杉本に比べ体躯で劣る播戸、運動量も決して多いわけではないが、この日は点を決めるという強い意志があった。入ってすぐに一仕事、左に流れたファビオ・ロペスが播戸の足元に鋭いボールを入れると、ボスナーが引き倒してPK。キッカーはその時点で最も得点を上げている選手(この時点では倉田)のはずだったが、鹿島戦の乾とは違って播戸が自らキッカーに。これを冷静に決めて1-1のタイに持ち込む。

続けざまに播戸、テレビではリプレイが終わってすぐ。またしても左からのクロスを今度は頭ですらせてゴールニアに空いた狭いエリアに。たった2分で1-2と試合をひっくり返す。


普通ならここで勝ちだ。勢いは間違いなくセレッソだったし、メンバーにしても慌てず試合に集中していれば何をすべきか理解できたはず。それが、できない。勝ち越しから僅か3分後、高木俊幸のスピードに乗ったドリブルに誰もアタックせず、シュートを撃たれる。詰めもしないで立っているだけのDFなどキーパーにしてみればブラインドにしかならない。キム・ジンヒョンは自身の右側隅を通ったボールに反応できなかった。


しかしセレッソはもう一度自らの力でゴールを切り開く。清武がバイタルでボールを持つと、播戸のとび出すタイミングにピッタリのパスを通す。キーパーも置き去りにした播戸は軽く流し込んで雄叫びを上げた。ベンチメンバーから外れることも多かったベテランが11分間でハットトリックの大仕事。


ここから去年のように上手く試合の流れを鈍化させて、潰していれば、試合はセレッソのものだった。家長やマルチネスのように高い位置でボールをホールドできるプレーヤー、アマラウのように危険な位置に来たプレーヤーを確実に潰すボランチがいれば、それは簡単な仕事のはず。今のセレッソはそれができない!!

高原のゴールに関して言えば、決めた方の流れがよかった、それに至る経緯の方が問題。あの時間帯は相手陣内深くでボールをキープし、相手をイラつかせて攻撃のアイデアを消していくべき。なのに、試合をコントロールしていたのは清水で、セレッソはスピードに乗った攻撃陣を防ぐのに右往左往していた。それでは勝てない。

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後半45分+5分、高さ対策で尾亦。ポジションは不明


茂庭がいても、マルチネスがいても、昨季3位となった原動力の守備陣をもってしても、リードを5分と守れない。落ち着いて気勢を削ぐだけで守れる、そのリードが守れない。これでは攻撃陣が浮かばれないし、サポーターのフラストレーションも溜まっていくばかりだ。


何かが必要だ。流れを変え、意識を変え、チームの勢いを加速させる何か。ただ、それが何かわからない。試合中散々ゴドビに挑発され、試合後は沈痛な表情でテレビのインタビューに答えたレヴィー、その顔に生気が感じられなかったのが心配だ。

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