11/21/2010

J1 第31節 セレッソ大阪2VS0横浜FM アキ、サケの季節です。

前半25分 オウンゴ-ル
後半17分 家長 昭博(C大阪)



マリノスは前半、露骨にセレッソの右サイドを突いてきた。守備に不安がある酒本のウラのスペースに起点を作ろうという意思がありありと見て取れた。それでも酒本は「溯上」を止めなかった。押し込められたのはマリノスの方だった。攻めをせき止めるのは、攻め。
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スタメンからはレヴィーの勝ちたいという強いメッセージが込められていた。怪我のマルチネス、上本をスタメン起用、右サイドは酒本が入ったが今組めるベストの布陣だ。ベンチには永井が定着、スピードと強さが魅力の若手、使い勝手がいい。

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前述のとおり、マリノスは1トップの端戸がセレッソの右に流れ、長いボールを当ててきた。そこにポイントが作れれば、セレッソの右サイドの攻撃も封じることができる。至極真っ当な考え方だと思う。そこで耐えて跳ね返せるのか、それとも押し込められてしまうのかが、今日の分水嶺だった、けれど、酒本は実にらしい解決法で、マリノス木村監督のプランをブレイクした。負けず、挫けず、ひたすら高い位置をとって、マルチネスのボールを待つ。一度受ければ、前に前に。ドリブルで仕掛けて、相手を押しこんでいく。レギュラーのセンターバック、中澤と栗原が2枚そろって欠場したマリノスの守備はこれに対応できない。

マリノスからすれば攻めきってイニシアチブを掴み、守備の不安をぬぐいたかっただろうが、酒本は寒さが増すごとに脂がのってくる。彼の頑張りでプランが崩れ、殆どの時間帯で劣勢だった。自滅というか、力負けというか…。

対するセレッソは夏場、好調だった時期のように自由闊達ピッチを駆ける。1トップ3シャドーに丸橋、酒本が絡み、マルチネスのタクトで全体がうねるように動く。小椋、松田、波戸、個々人で見れば素晴らしい守備のスペシャリストでも、組織化されていなければなんとかなるものだ。

先制点もマリノスの後手を踏んだ守備の結果。前半25分右サイドを乾が侵食し、早く、低く、正確なクロスを入れたのだが、この時点でピッチのフィールドプレーヤー全員がマリノスゴールに向かっていた。波戸が必死に足を出したが、これが裏目に出てオウンゴール。乾にしてみればプロのキャリアをスタートさせたチームに強烈な「恩返し」ができた格好だ。
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このゴールの後も、ゲームを支配していたのはセレッソだった。ボランチとセンターバックの間のスペース、4バックのギャップに桜色のプレーヤー達が入り込む。家長に一度、アドリアーノに二度決定的なチャンスがあったが、何れも決めきれず、歯がゆい。今日のアドリアーノは不運だったし、何かしら終始ギクシャクしていた。日本人ならお祓いでもするくらいついていない。すんなり2点目が決まっていたら、スコアはもっと違っていたはず。相手GK飯倉の勇気あるプレーにも一因はあるが、セレッソにもツメの甘さがあった。
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僕が何をしたって言うんだ!



かくて死に体になりかけていたマリノスにトドメを刺せないまま、後半まで試合を伸ばしてしまった。この流れを放っておく程木村監督は愚鈍な司令官ではない。河合を入れて波戸を右サイドに回し、守備をテコ入れしてきた。セレッソは後半の立ち上がりこの試合ただ一度だけの劣勢を味わう。

ここを耐えられた理由を聞かれても、返答に困ってしまう。マリノスの攻撃は確かに精度が無かったが、アドリアーノ以上にツキに見放されていて、まるでゴールとボールに磁石でも埋め込まれているのかと思うほど、枠をとらえていなかった。ロジックな理由が全く見つけられない。ただ、ここをゼロで凌ぎ切ったことで、キム・ジンヒョンから「怯え」のようなものが消えたように感じた。どこか自信なさ気だったものが、徐々に勇敢でチャレンジ精神に富む、いつもの彼に回帰していったようだった。
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ピンチを耐えればチャンスが巡る。落ち着かないでいたボールがゴールを狙う家長、アドリアーノのラインにすっぽりハマる。マリノスは何度ラインの底が抜けたんだろう?幸い家長はアドリアーノ程祟られてはいなかったようで、勤めて冷徹にゴールネットを揺らす。これで八割方試合が決まった。
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どんなもんだ!


この後の20分程は、セレッソがうまく相手を「ちゃぶった」ロングボールを入れられ、下がったところを2列目が狙うスタイルに切り替えたマリノスに苦慮するところもあったが、茂庭、上本がよく頑張った。茂庭が1対1の時、重心を低くとって相手を押し返すフォームをとるのはサポーターならよくご存知だろう。今日は彼だけではなく、丸橋や酒本までもが時々同じようなスタイルで守備をしていたのが印象的だった。いいプレーはどんどん伝搬してほしい。


今日はマリノスの悪いところばかり書いてしまうけれど、本当に出来が良くなかった。センターバックの差が露骨にでて、攻撃のリズムまで悪かった。中村俊輔は要注意と何度かカメラを向けたが、今まで見てきた中で一番悪いプレーしかできないでいた。彼がボールを持っても誰も追い越したりしないので、前には端戸1枚しかいない、これでは何もできない。パスもドリブルも前回対戦した時よりキレが無かった。山瀬に至っては途中でピッチを去っている。J2時代に煮え湯を飲まされた「マムシの祥平」も持ち味を生かせず。
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ブーイングがお出迎え。



これだけいい流れなので、レヴィーの選手交代も運動量が下がったポジションをパッチするようなものだった、後半43分には清武と永井を、45分には怪我をしている上本と藤本を、そしてラストには丸橋を石神に代えたが、それぞれポジション、システムの変更は無し。

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後半43分


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後半45分


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後半ロスタイム


第三者が見ればセレッソが勝ったというよりは、マリノスが負けた試合ということになると思う。ただ願わくば、この流れを自らのものとして、残り3試合を戦ってほしい。泣いても笑っても残り270分、どうせなら笑って終いにしたい。

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