11/15/2010

J1 第30節 山形3VS3セレッソ大阪 非暴力不服従。

前半25分 北村 知隆(山形)
前半40分 家長 昭博(C大阪)
後半21分 長谷川 悠(山形)
後半36分 田代 有三(山形)
後半45分 清武 弘嗣(C大阪)
後半45分+3 アドリアーノ(C大阪)



明らかな誤審と小林監督の巧みなベンチワークで、危うく試合を落とすところだった。いや、常識の範囲内で物事が進んでいたなら明らかに負け試合だ。それを引き分けにまで持っていったところを評価したい。出来は決して褒められたものではなかったけれど、勝ち点1は勝ち点1だ。


スタメンとベンチは大きく変わった。まずスターターにキム・ジンヒョンが戻ってきた。出場停止だったアドリアーノも復帰。ところがマルチネスが怪我のため出場不可となり、羽田、アマラウのダブルボランチ。右サイドバックの高橋は出場停止で、酒本が先発。ベンチでは永井、扇原と若い二人が目立つ。

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前半、マルチネスの不在でタテへのスピードはいくらか増していたが、予想通りピッチを広く使った攻めが出来ず、固定メンバーだった左サイドにどうしてもボールが偏ってしまう。山形はトップに長谷川を残し、コンパクトな守備ブロックを構築してセレッソのドリブル、パスを遮断する。いくつかシュートを放ってはいたが、精度が悪く息苦しい展開が続く。


1失点目は、攻めに攻めていた状態の中で、相手のロングボールを処理ミスしたもの。パスの出し手にもプレッシャーはかかっていなかったし、茂庭、上本、キムの連携も悪いものだった。これはかばいようがない酷いプレーだ。山形はこのゴールがこの試合のファーストシュート、攻撃陣としてもやりきれなかったろうし、ベンチにとっても想定外だったろう。

その代わりというわけではないけれど、あまり期待していなかったセットプレーで同点に追いつくことができた。酒本のコーナーキックに家長がドンピシャでヘッド。頭が一番精度が高い?追いついた時間も前半40分とベスト。


後半もいい流れが続いていたけれども、マルチネスがいないためにプレーにタメがなく、どこか急いているようなボール回しが続いていた。奪われた時のバランスが悪く、センターバックの二人への負担が強くなってしまう。二人で70メートル四方を全てカバーすることは不可能だ。まして腕でトラップしてもOKなどというハンディまで追加されてはどうすればいいのか。長谷川のゴールは明らかなハンドの後のプレー。レヴィーが引き下がるわけもなく、猛然と審判団にくってかかる。犠牲者は通訳の白沢氏、人柱となって監督を守るも、人生で2度目の退場。

弔い合戦ではないが、ここでむざむざと引き下がるわけにはいかない。セレッソは攻めダルマの用兵。永井、小松を投入し、キレを欠いた乾、アンカーの羽田を下げる。家長がボランチに下がり、2列目は清武と永井、2トップに小松とアドリアーノ。今季最も攻撃に傾倒した布陣。

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後半25分


対する山形は切り札の田代をトップに入れ、セレッソの守備の綻びを狙う。賭けに勝ったのは小林監督だった。右サイドを崩され守備が破綻。キム・ジンヒョンが一度は弾くも、こぼれ球を詰められた。


ここまで来るとさすがに気持ちが折れる。誤審に祟られ、打つ手は裏目、上本も怪我でピッチを去り、もはやこれまで。それが、普通のチームのパターン。セレッソは、ここから。

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後半31分


レヴィーの言葉を一字一句伝えていた白沢通訳が食い下がってくれたおかげで、アデイショナルタイムは5分できた。まず90分きっかりに清武が密集したプレーヤー達の足元をすり抜けていく素晴らしいシュートを放つ、キーパーの手を吹き飛ばしてネットへ、これで3-2。

さらに前線に永井、小松、アドリアーノ、清武が並び、そこに家長、アマラウ、酒本、丸橋が加わる総攻撃。ここはもう理屈や計算を超えた世界。ボールが奪われたら、相手に囲まれたら、そんなこと誰も考えていない、本能だけに依存した攻め。ピンボールのようにトップと2列目の間をボールが跳ね、ついにアドリアーノの足元にこれぞというパス(と、呼べるかどうか)が入ってきた。これを決めてタイスコア。アウェーで、九分九厘小林監督の術中にはまりながら、相手から勝ち点を奪った。


不恰好な試合だった。しかし暫くは、この試合に負けなかったことを嬉しく覚えているだろう。いいバースデープレゼントをもらったと思っている。


ところで、水曜日の天皇杯には、白沢通訳は出られるのだろうか?それが不安だ。

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