6/03/2010

カメラマン6月号がわかってない。

カメラ雑誌の草分けに、その名もズバリ「カメラマン」という本がある。いつもはその手の雑誌は新しいカメラやレンズのレビューをチェックする時くらいしか見ない(それすらも提灯記事の場合があるから信用できない!)のだけれど、この号には「キヤノンEOS 7DでJリーグを撮る! in 大阪」と題した特集があり、そこで湘南戦のコトが取り上げられているというので買ってみた。

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予備知識を入れておくと、「EOS 7D」というのはキヤノンが昨年出したハイアマチュア向けのデジタル一眼レフカメラで、高画素、高速連射、正確なオートフォーカスシステムがウリになっている。動体を性格に撮影するにはもってこいということで、動きの激しいサッカーの試合が試写に選ばれたのだろう。アマチュアカメラマンでもハイスペックマシンならこれだけ撮れるというアピールが狙いで、一応プロの講師もついていて、講義の後に試合を撮影、という流れだったようだ。

しかし掲載されている写真を見ると、どれも悲しいくらいサッカーの持つ魅力が引き出されていない。多分それなりの写真が選ばれたはずなのに、何ともキツイのだ。先生の寸評も(それはカメラ雑誌だから当たり前なのだけれど)構図だとか色味だとか、撮影技術のコトに限定されていて、選手の持つ魅力だとか試合の熱さだとかがチンプンカンプンになっている。

セレサポのブロガーさんには素晴らしい写真を撮られている方がたくさんいる。「Rosa und Marineblau(桜色と紺色)」さんや「Sharka! FC」さんの写真を拝見すると選手の息づかいや試合の緊張感、そして何よりシャッターを押した人間の情熱や愛情がガッツリとつまっている。それが心を動かすのだ。シンジの少しガニマタのドリブル、家長のねっとりとした足さばき、上本の体を投げ出すような守備、ジンヒョンの躍動感あるハイボールへの反応。そのどれもが素晴らしい要素として、一枚の絵につまっている。これこそがスポーツフォトなのではないか。


例えば文章を書く時、資料を集めず取材もせず、ただダラダラと単語を並べるだけの人間はいないし、いたとしても淘汰される。そんな文章に値打ちがないからだ。オレも以前ルールを全く知らないモータースポーツの記事をお金をもらって書いていたことがあるが、その時は「モータースポーツが好きで好きで仕方がない」という先輩から覚えきれない程のエピソードや裏話を聞き、選手やチームに愛情を持って記事を書いた。そうしないと文章を書くことが面白くないし、面白くないと思って書いた文章は、読んでも面白くない。


どんなモノでも愛情、情熱が必要なのは変わらない。それを忘れて技巧に走ってもロクなことがない。気をつけよう。

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