11/09/2008

J2 第42節 甲府2VS3C大阪 セレッソを継ぐ者。

前半9分 マラニョン(甲府)
前半39分 マラニョン(甲府)
後半6分 香川 真司(C大阪)
後半24分 藤本 康太(C大阪)
後半28分 香川 真司(C大阪)




 ミスターセレッソと呼ばれた男は、引退会見で言った。

「今後のセレッソを支えてくれる選手がいた」

 と。そして自身の背番号8を、一人の少年に託した。


「森島さんの為にも負けるわけには行かなかった」

 今日その少年はチームを救う追撃弾と逆転弾を叩き込み、ヒーローインタビューでこう答えた。


 スタメンは仙台戦と変わらず3-4-2-1。前田と藤本は立ち上がりからこの位置だった。

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 セレッソはようやくこのシステムが板につき始めた。と、言うか各々の役割分担がはっきりし出して、混乱することがなくなった。ボールを奪ったら乾かカイオか、出来れば香川に預ければいいのだ。

 ただマンマークを行う3バックではマッチアップする選手の力量差がモロに出ることがある。今日は前田がやられた。マラニョンが捕まえられない。スピードでちぎられる、背後に回られ見失う、まるで歯が立たない。一点目のPKに結び付けられたプレーはともかく、2失点目は簡単にマークを外された。奪われた時間も前半終了間際で最悪。2-0での折り返しの時点で勝負あったかと思った。それでも、サポーターも、チームも、勝利を諦めてはいなかった。


 幸いにも、甲府は後半戦も前に出てきてくれた。そのくせ香川、乾、カイオに対するマークがルーズだ。この3人と酒本で随分とチャンスを作られた、後は決めるだけ。

 最初にゴールを奪ったのは香川。二人のマークを受けながら鬼気迫るプレーでゴールマウスをこじ開けた。そこに至るパスワークも軽快。日本と中東を行き来した人間に、これ程のプレーが出来るのか。

 これで両チームの精神的な優位性が逆転した。甲府はまるで仙台戦のセレッソのように、攻守のバランスを欠き始めた。同点弾、逆転弾はその流れに乗って生まれた。そして逆転弾を放った香川はサポーターの前でユニフォームを脱いで見せた。それは後継者問題にに心悩ませる森島に対する返答でもあった。サポーターであるならば、このシーンに心打たれなかったことはないだろう。


 ただしこの逆転弾にはいらないおまけがついてきた。ゴールに喜んだカイオがボールをもう一度ゴールに蹴りこんだのを遅延行為とみなされ、今日2枚目のイエローで退場となったのだ。セレッソはカイオ抜きのまま3-4-2の布陣を敷き、この1点を守る覚悟を決めた。

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 不思議なもので、2点差を守れないチームでも、10人になってしまっても、「この1点は守り抜く」と全員の意識が統一された瞬間からディフェンスが堅くなる。3バックとダブルボランチを核にした「忍ぶ守備」は鉄壁とは言わないまでもそれなりに機能していた。やはりこのチームのキーはマインドなのだ。もしチームの意識を鼓舞する強いリーダーシップが取れるクルーがいたなら、もう少し上の位置にいられたかもしれない。

 その可能性を秘めているはずの古橋は、今日はベンチだった。ピッチに現れたのは試合終了直前、これでは味方を背中で引っ張ることはできない。その能力と精神的なタフネスさを知っているだけに、こういう使い方はただ勿体無いの一言だ。

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 兎にも角にもこの逆転劇と「襲名披露」を起爆剤にしたいところ。泣いても笑っても残り3節、どの試合も厳しいだろうが、一試合一試合を大切にしていきたい。

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