8/31/2008

J2第33節 C大阪3VS2徳島 撃て!フルハシ!

前半3分 アレー(C大阪)
前半38分 古橋 達弥(C大阪)
後半14分 ジェルマーノ(C大阪)

後半30分 大島 康明(徳島)
後半31分 倉貫 一毅(徳島)


 人間に完璧というものは無い。必ず良い所があり、悪い所もある。今日のセレッソは後半30分までは素晴らしいチームだった。しかし残り15分をやり過ごそうとしたあまり、危うく勝ち点2を失うところだった。

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 スタメンは出場停止の香川に代わり古橋が復帰、2トップの一角に入った。カイオは一列下がり、左サイドの基点となる。

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 この試合の最大の収穫は、間違いなく古橋だろう。スタメン復帰初戦だったものの、素晴らしいキレを見せてくれた。

 最初の見せ場は試合開始早々のコーナーキック。古橋が放った鋭いボールはアレーにピタリとヒットする。アレーもこれに最高のヘッドで応え先制ゴール、幸先の良い立ち上がりとなった。

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 その後も試合の主導権はセレッソが握り続けていた、怖かったのは右サイドの麦田とアンドレジーニョのドリブル突破くらい。

 上手くいった理由はいくつかある。徳島が3バックで臨んだためにセレッソの生命線であるサイドの基点作りが比較的容易だった事もそうだし、古橋をはじめ前線のチェイシングも良かった、個々のマッチアップでもほぼ勝っていた、ソウザが競り合いで臀部を痛めて早々に引っ込んだのも幸いした。

 良い時には良い事が重なる。前半40分頃、小松がいい位置で倒されフリーキックのチャンスを得る。キッカーは勿論古橋。これも素晴らしい精度のキック。ボールは相手GKの手の、僅か先をかすめ、ゴール隅に吸い込まれていった。

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 今まで課題だったセットプレーでの2得点、守備も堅く、ノーミスで前半を終えた。


 この勢いは後半も続く。とにかく人もボールもよく動く。小松、古橋、カイオの前半と変わり無い献身的なプレーが印象に残る。古橋は時にボランチの位置まで下がり、攻守にわたってチームに貢献していた。全てが上手くかみ合っていたから、ジェルマーノが守備ラインを突破しPKを得た時も、何も不思議に感じなかった。主審家本の不可思議な蹴り直しにもめげず、ジェルマーノがキチンと決めて3-0。

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 普通ならば、調子の良いチームであるならば、このまま試合は終わっていただろう。しかしセレッソの今の状態は決してそうではない。僅かなほころびから手痛いしっぺ返しを食らう羽目になった。この試合レヴィークルピが行ったたった一度の交代、この交代で流れが大きく変わってしまった。

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 青山の投入自体は問題ではない。ただし代わりに下がったのが小松というのが、いかにも解せない。レヴィークルピのコメントによれば、スピードに富んだFWを並べることで相手に脅威を与えようとしたとのことだが、ここまで13ゴールをあげている小松と、出場数試合とはいえ、未だ無得点のカイオ、相手が嫌がるプレーヤーはどちらだろうか?決してポストプレーが得意ではないカイオが3トップの真ん中を張るのも無理がある。そうしてセレッソは自らの手でイニシアチブを失ってしまった。左サイド、平島とジェルマーノの間のギャップを突かれ、僅か2分間の間に2失点。得失点差どころか勝ち点3すら危うい状況に置かれてしまう。


 さすがに3失点目こそ無く、上位陣と勝ち点差が開くという最悪の事態だけは避けられたが、課題がタップリと残る一戦となった。攻守の意識の切り替え、試合の勘所での集中力、チームの意思疎通、状況に応じた選手起用法の確立、和歌山キャンプではどれから手をつけるべきか。今日はエースの活躍で乗り切ることが出来たが、残り11試合、その全てを個の力だけに頼るのは危険極まりない。

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8/29/2008

夏のソラ。

西中島がフットボールを愛する以前、一介のアニメオタクでミリタリーオタクであったのは良く知られていることなんだけれど、今観ているアニメで「魔法遣いに大切なこと 夏のソラ」というのがあって、ちょっと面白いことをしているので紹介したい。


あらすじを言うと、この世界とはちょっと違う世界、世の中には「魔法遣い」という存在がいて、認知されている。彼等は依頼に基づいて魔法を行使し、それを糧に生活している。

ただし一人前の「魔法遣い」になるためには、先輩魔法遣いに習い、研修をする必要がある。丁度教師の免許を取るのに教育実習をしなくてはいけないのと同じような感じだ。

主人公の鈴木ソラは北海道から東京、下北沢の魔法事務所に研修にやって来て、そこでいろんな人や出来事と遭遇する、というお話。


キャラクターも今の「萌え」とかとは少し外れていて、アニメから縁遠くなってしまった自分にもとっつきやすい。そして何より背景がいい。どうも写真をほんの少し加工して使っているようなのだ。


これがその画像。

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こういうのはPhotoshopを使うと簡単に作れる。以下自分の写真+Photoshopで補正。

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以前にも愛してやまぬ新海誠氏の作品で背景に写真を使用したりしていたが、ここまで生の状態の写真を使っているのは珍しい。余程いい写真を(しかもアニメにあうものを)大量に撮らないといけないから、苦労するだろうなと思う。実際電車や雲など微妙に動いているものの描写で苦しそうだなというシーンが散見される。でも「写真の力」を前面に押し出してくれているのは素直に嬉しい。まだまだアニメにも試行錯誤する余地が残っていたんだな。

8/28/2008

D90にはガッカリした。

Nikon OFFICIAL

D300の高画質・高性能をコンパクトに凝縮。「動画撮影」
などの新機能も搭載した、ニコンデジタル一眼レフカメラD90。


 D80の直系となる「はずだった」D90。D200とD80の関係のように、D300の高感度撮影、ライブビュー、ダストリダクションなんかをコンパクトな樹脂製ボディに詰め込んだ。それだけならよかった。

 でも、今回のD90のウリはそれじゃない。Dムービーと呼ばれる動画撮影機能がデジタル一眼レフカメラでは初めて搭載された。これは画期的なこと、らしい。

 確かに動画撮影は凄い機能だと思う。ビデオカメラのレンズと一眼レフのレンズでは精度が違うし、撮りようによってはプロ機での撮影と見まごう作品作りが出来る(OFFICIALにサンプルがおいてあるけれど、ビデオカメラと比較するのはそれだけでかわいそうなくらい)


 ただ私が求めていたのは「カメラ」としての機能の充実であったから、そこらへんが寂しい気がする。AFポイントは11点のままだし(51点あったらなぁ…)連写も4.5コマ/秒(これは記録するカード側の限界なのかな)で、少し寂しい。高感度はいい感じらしいから、食指が全く伸びないわけではないけれど、カメラとしてはどうなんだろ。

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8/27/2008

椎間板痛い。

 セレッソが熊本でロアッソと試合をしていた昨日、私は背中の痛みと戦っていました。腰痛というより上のほうで、左側が痛むので肝臓の類ではない、これは何であろうとウンウン唸っていました。

 昨日のレントゲン、今日のMRIではっきりしたのですが、どうも椎間板がよろしくないようです。


 普通の腰痛というか、椎間板ヘルニアというのは、腰の近く、下のほうの背骨にある椎間板(骨と骨をつなぐ軟骨)が神経に障ったりして激痛が走るらしいのですが、私の場合は痛んでいるのがもっと上のほうでした。それで神経の束にも当たっていないから、椎間板の周りの微細な神経に触れているのだろうというのが、主治医の見解、私もほぼ異論無し。

 しかしMRIで撮った画像を見ながらしみじみと感じるのは、よる年波です。正常な椎間板は白く映るそうなのですが、私のそれは殆どが少し黒っぽく、何かしら異常を来たしていました。32年ばかし生きただけで、人間手のはこうもボロが出るのでしょうか。ひどくへこみました。

 んで、せめてセレッソぐらい勝っているだろうと、苦痛に悲鳴をあげながらネットで試合結果を確認、引き分けてやんの。いたたたた。


 椎間板の方は、一度痛むと二度と元に戻らんらしいのですが、セレッソの場合は中盤での守備をテコ入れする、それだけで随分良くなるはずです。薬が飲めないのは意地なのか何なのか…。判らんなぁ…。

 良かったのは出ずっぱりの香川が出場停止で意地でも休まんといかんようになった事と、カイオがかみ合い出した事くらいか、それにしてもこの引き分けは背中以上に痛いよ。いたたたたた。

8/25/2008

阿以栄さんのラストマッチ。

 今までいろいろとお世話になった、セレッソ界一美味いカレー屋さん阿以栄さん。

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 残念なことなのですが、阿以栄さんの長居店が8/30をもって閉店することになりました。諸々の事情があり、ケータリングは何とかできるものの、路面店を維持していくのが困難になったそうです。

 その阿以栄さん長居店最後の日は8月30日、偶然にも徳島戦の試合日となりました。勿論、今までどおり、セレサポ優待は変わらず行います。試合日までに是非一度足をお運び下さい。美味いカレーを腹いっぱい食って、徳島も飲み込んじまいましょう。


 また、これはフライングのニュースなのですが、8月30日のスーパーシートのお弁当は阿以栄さんのタコライスです。店長さん曰く。

「最終日は死ぬ気でやりたいと思います」

 とのことですので、渾身の一皿、是非ご賞味下さい。

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 私は昼の1時くらいにお邪魔しようかと思っています。テメー西中島だろ!って声かけてくれたらドリンクぐらい奢ります。冷やかしでもいいんでいらしてください。


 私が阿以栄さんを紹介したのは、カレーの美味しさもさることながら、居心地が良く、とても気持ちよく食事が出来るお店だから。店長さんはじめ奥さん、お母さんもとてもいい方で、沢山お世話になりました。

「こんな素敵なお店がセレッソのホームタウンにできたのだ」

 と、嬉しくなったものです。その後も応援店舗の件を快く引き受けて下さったり、スーパーシートのお弁当を用意してくださったり、セレッソ、セレサポの為に、それこそ一所懸命に頑張っていただきました。


 前述しましたが、ケータリングは引き続き行われるということなので、決して最後という事ではないのですが、やはり長居であの味を味わえないのは寂しいです。でも、前に進まないとね。残り一週間、ガッツリ食べていきましょう!

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8/22/2008

おめでとう、ありがとう。日本女子的決戦日。

 泣いてしまった。悲し泣き、嬉し泣き。おっさんが女の子見て泣いてんだもんな、変態だな、でも隠さんぞ、号泣だ。

 なでしこは、多分ソフトと比べられて厳しいだろうけれど、凄い事をしたんだよ。勝ってりゃガマさんとタメ口きけたのにな。でも、胸はれよ、絶対胸はって帰ってこいよ。それくらいしていいこと、なでしこはやってのけたんだよ。判る奴は感動してる、判ってないなら努力しろ。それっくらい偉業なんだから。


 ソフトは、もう何も言う事ないね。ソフト知らん私が感動したんだから。

 とにかくアメリカが強い。先発が反則、次のピッチャーも反則、4番もおかしいだろ、あれ。チョコンと当てただけで柵越えって「燃えろプロ野球」かお前は。

 そいつらにボロボロの体で立ち向かった上野は、何かあげられないの?稲尾さんくらい凄いよ、神様仏様上野様だよ。


 この二つのチームには共通項がある。それは周囲の環境。なでしこもソフトも決して恵まれた環境でプレーしていない。女子サッカーなんか潰れたチームもある。けれど今大会、意地で結果を残してくれた。

 上の人には「これくらいの環境でメダルが取れたりするんだ」と思わず、彼女達の為にもっといい環境を整えてほしい。全Jチームの女子チーム設立義務化なんて話も飛び出しているけれど、まずは安心してプレーに集中できる状態を作る事、それが第一だよ。


 先頭に立つ人間は最悪の状態で戦いを強いられ、上の方は安穏としているというのは近代日本の変わらん構図なのかね。この感動が冷めないうちに、もっと光を!

8/20/2008

さよならジョブホッパー。

 私とカレカは、ちょっと似ている。職場をひょいひょい変えてしまう所なんかが似ている。ヘタレなところも似ているかもしれない。そのくせ少しいいことをすると鬼の首をとったように喜ぶところなんかも、恥ずかしいけど似ている。なので私はカレカに対してボッコボコに書くことが出来ない。

 よりにもよって、僅かの間とはいえ在籍していた「古巣」セレッソに対して、彼は弓を引いた。それで満足したのだかどうだか知れないが、もう次の仕事に就くようだ。でも人のことは言えんのだよな、こっちも転職したてだし、でもあまり適応していないし。カレカを悪く書くというのは、回りまわって墓穴を掘るのと同じことなんだよな。ははは。


 でもまあ、僅かの間でも居てくれた人間だから、まあボチボチやってくれればいいかなという感じ。もうあんまり会う事も無かろうが、気負わず普通に頑張っちゃって下さい。お互い仕事が長続きするといいな。そいじゃな。

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 この写真も貴重なものになるのかね…。ならねーか。

8/19/2008

サッカー撮影むさむずい。

 昨日はいつもと違って前から2列目まで迫って選手達を追っていました。いつもは簡単にピンが合うのですが、被写体に近づくとそれだけピンが厳しくなるので苦戦しました。決定的なところが撮れたと思ったら後ろのダンマクにピンがあっていたりしてへこみました。もっと被写界深度を深くとってもいいんでしょうが、それだとシャッタースピードが遅くなって被写体ぶれが出ますし、あんまり高感度撮影しているとノイズが入りまくるし…。

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 上手くいくとこれだけ撮れるんですが、これがとっておきで、あとは惨敗でした。


 意外だったのは攻撃の選手の方がピンが合いやすいということ。特に小松、香川はドリブルで「持つ」のでいい感じでした。守備はどうしても動かされるので迫真の一枚が撮り難いですね。


 それにしても写真って楽しいな…。いい趣味ですよこれは。

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8/18/2008

J2第31節 C大阪2VS1水戸 夜明け。

前半13分 乾 貴士(C大阪)
前半17分 小松 塁(C大阪)

後半9分 赤星 貴文(水戸)

 この世の中に永遠なんてものは無い。地獄の底を這い回るのは、もうごめんだ。ようやっと夜が明けた。

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 今日一番は攻守のバランスが取れていた事、これに尽きる。攻撃では香川が戻り、カイオが小松とコンビを組んだ。守備では1対1に自信を持つ藤本、それに新加入の平島が加わった。

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 藤本と江添のCBコンビは絶対的な高さやスピードは無かったが、それでも水戸攻撃陣を上手く封じた。連携もよく、藤本は前田が戻った時のバックアッパーとして外せない存在になった(もし外してしまうのなら、それは自殺行為だ)以前から少ない出場機会の中でも確実に結果を残してきた藤本をどうにかしてほしいと思う。

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 そして香川の復帰が、チーム全体にエネルギーを与えた。彼が一人いる事で、小松や乾、ジェルマーノ、アレーに対するプレスが緩やかになる。それだけで十分存在価値がある。今日は乾が、頚木を解かれた狼が如く、水戸ゴールを脅かした。

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 前半いい流れが来た所で、乾から小松へとパス交換。以前なら中央を固められていた所だろうが、サイドにも基点がある為、ほんの僅か判断が遅れる。小松がシュートを放ち、ブロックしたこぼれ球にカイオ、強引にシュート体勢を作り、3人のDFを潰した。乾はこれを流し込むだけ。

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 僅か4分後に、再び乾。去年香川がよくやっていた左サイドゴールライン際のドリブルで守備陣を侵食、角度の無いところからのシュートはキーパー本間に弾かれたが、今度は小松が詰めて2点目。実にいい流れの中で先制点、追加点が奪えた。

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 ただこうした一気呵成の攻めが出来たのも、中盤でのキープ力と、最終ラインの安定感あってこそ。それがあるから全体がコンパクトになり、攻撃陣にいいボールが供給できるのだ。前半は時折クロスを入れられるものの、与えた決定機はほぼゼロだったと記憶している(覚えていないだけかもしれないけれど)


 課題が残るとすれば後半戦だ。レヴィークルピは3点目をとろうと檄を飛ばし、選手をピッチに送り込んだ。ところが開始早々の8分、パスミスをさらわれ追撃のゴールが生まれる。2-1になったことで、チームの意識にブレが出たように感じる。守備を固めてカウンターなのか、初志貫徹で攻撃的に行くのか。サッカーの教科書があるのなら、恐らくカウンターが正解のはずだが、残念ながらセレッソはクリエイティブなカウンターを行うシステムを持ち合わせていない。守る時は引き篭もりになるし、攻撃に傾倒すればリスクが生まれる。また今年のセレッソは後半運動量が激しく落ちる。難しい舵取りを要求された。

 ここで有難かったのは平島、カイオ、相澤の存在だ。

 実は失点につながったパスミスは平島のものだったのだが、それ以外のシーンでは彼の守備力、運動量は頼もしいものだった。

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 尾亦と比べると、攻撃に関してはやや劣る面がある。ただこと守備に関しては、いい意味で粘っこく、相手に絡むしつこさがあり、チームに貢献していた。

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 カイオは、少なくとも「大外れ」ではなさそうだ。体躯を生かした前線でのキープ力、足元の強さもさることながら、守備での献身的なフォアチェックと泥臭いプレースタイルがチームを助けた。ゴールが決まれば、もう少し勢いがつくだろう。

 相澤に関しては数試合のブランクを感じさせないプレーぶりだった。一つ決定的なシーンを防いでいる。山本の負傷で手薄になったGK陣の中で、彼の存在は大きい。


 そしてラストには面白い場面があった。守備を固めなければいけない場面で、レヴィークルピが4-3-3を選択したのだ。

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 もし羽田がメンバーに加わっていたなら、青山のところには羽田が入っていたろうが、少なくともレヴィークルピにとって4-3-3が過去の存在となっていなかったというのが興味深い。これから先に待っているどうしても落とせない試合(もう落としてもいい試合など一つも無いのだけれど、とりわけ重要な試合)には、再び4-3-3を使う可能性がある。私個人はサイド攻撃が生き、守備にも安定感があるこのシステムが好きなのだけれど、カイオをどう使うかでも変わってくるだろう、そこは監督の仕事だ。


 もう随分遅れてしまったけれど、ようやっと長いトンネルを抜けたような気がする。順位も混戦ながら一つ上げた。乾がぶち上げた「第3クール全勝」がリップサービスでは無い事を願う。

8/17/2008

吉日。

 倉敷に行っている義弟君が帰ってきて、久しぶりに焼肉でも食べますかというお話に。以前から美味いと評判だったけれど行けてなかった近所の名店「万正(まんまさ)」に行ってきました。

 肉のケムリでいぶされたような店内はそこかしこが飴色に馴染んでいて、鼻を近づけるとそれだけで肉の匂いがしてきそうな、そんな感じ。新しくも小奇麗でもないお店ですが、おっさんにはこういうところが落ち着きます。

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 食べたのは生肉がロース、バラ。ホルモンはハラミ、ミノサンド、テッチャン、タン塩、キモ、生キモ。最初に出た生キモは臭みが無く、コリコリとした食感もいい。塩加減も良し。タン塩は特性塩ニンニクタレで味付けされていて、味に深みが出ています。生肉はとにかく柔らかいし、噛むと旨味がぱっと広がる。ホルモンも臭み無く、サッとあぶればアブラが滴る良品でした。

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 家に帰ると五輪女子サッカーの中国-日本戦。終戦記念日に、しかもアウェーで中国戦。何も無いと思う方がどうかしているシチュエーション。不可解なジャッジか、ラフプレー連発か、どうなるんだと思いながらNHK総合チャンネルと教育チャンネルをザッピングしていました。結果的には大ブーイングこそあったものの、直接的なハンディはありませんでした。中国も女子代表は「カンフーサッカー」をしませんから、考えられる最良の状態での試合となりました。


 しかしこの試合、ここ何ヶ月か観ていた試合の中で一番素晴らしい試合でした(前の試合は未見でしたので…)スコアは2-0でしたが、チームの結束力と個々の頑張りが絶妙で、気持ちもこもっていた。FWが頑張ってフォアチェックに行くからDFラインが前に出られて、全体がコンパクトになる。コンパクトになるから選手間の距離が間延びせずにパスワークが生きる、攻撃陣にいいボールが入る。皆が皆の為に動くサッカーというのは、観ていて心打たれるものです。1点目も2点目も魂が熱くなるようでした。


 美味いメシが食えて、いい試合が観れて、こんな幸せな盆休みもないですね。もう10日くらい続かないかなぁ…。

8/15/2008

時間は前にだけ進む。

 娘が9歳になりましたよ。

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 まだ9歳というか、もう9歳というか、微妙な感じです。これからも大きくなっていって、反抗期があって、いろいろあんだろうな。この日が来るたびに考えるよ。そのうち変な男を連れて来て

「お父さん」

 なんて呼ばせるのだよ?

「今まで有難うございました」

 なんて言っちゃうんだよ?娘を持つ親というのは損な役回りだよ。


 それからもう一つ、こっちは私が

「お父さん」

 と呼んだ人のお話。義父がもうすぐ60になり、定年退職することになった。することになった、というのは変か。もともとそういう決まり事なんだし。

 それで社内報に写真が要るとかで、私に写真を撮ってくれと言ってきた。とても光栄なことだったので、気合を入れて撮った。補正も少しした。さすがに「少し髪の毛の量を増やしてくれ」というリクエストは聞けなかったけれど、いい感じに撮れたと思う。

 義父は学生の頃から今の会社にバイトとして入って、そこから40年くらい、一つところで勤め上げた。それだけで転職ばっかりしている私にとっては眩しい存在だ。別に富豪ではないけれど、慎ましやかに家族を養い、襲い掛かってきた艱難辛苦を乗り越えてきた凄い人だ。子供の頃なりたかった「普通の幸せな人」に、少し似ている。

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 こういうのが続くと否応無く時の流れというものを感じる。いい事もあり、悪いこともあり、決して順風満帆ではないけれど、私もそれなりに生きてこれた。

 親父が56で逝ったので、当座56までは何とか生きようと思っている。そうなると家内が53で、娘が32だ。そこまで行けばカッコウもつくだろう。

 次は定年の60。それが出来たら、次は祖父の84。これは無理っぽいなぁ。

 などと書いていて気が付いたが、56まで私はあと23年しかない。23年もあると言えなくも無いけれど、どうなんだろう。少し短い気がするのは、人生が充実している証か。この23年間を少しでも実りあるものにしよう。セレッソがJ1で一度くらい優勝してくれれば、もうそれで十分という気もするが、難しいかなぁ…。

8/11/2008

プロだから。

 日本五輪代表が負けた。世界との実力差、アウェイの空気、不慣れなピッチ、負けた原因は沢山有る。でもそれを言ってはいけない、みんなプロなんだから。求められるのは自己保身ではなく、ただ勝利のみなんだから。

 香川にとってはとても辛い体験になったと思う。自分に与えられた仕事がまるで仕事が出来なかった。深い荒れた芝といつもと違う相手のリーチに最後まで順応出来なかった。タフなスケジュールもプレーのキレを奪ってしまった。でも、例え19歳だとしても、彼もプロのである以上、それを自ら言ってしまうのは無しだ。

 今はただ前を向き、次のチャンスを掴み、成功する為に全力を尽くす事。それがトレーニングなのか、適度な休養なのかは判らないけれど。


 いくら頑張っても結果が全てというのは、正直厳しいと思う。でもそれで生きていくと決めたのなら、この現実を受け止めないといけない。いつもは飲み屋でクダ巻いてるサラリーマンのおっさんでも、しょっぱい技術しか持ち合わせていないWeb屋でも、心を削って文を綴っているエッセイストでも、多かれ少なかれこの現実を受け入れているんだもの。


 過度に批判非難をする連中は放っておけばいい、実力がつけは黙ってしまうような連中さ。胸張って帰ってこいよ。まだしなくちゃいけないミッションは山積みなんだ。

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8/10/2008

J2第30節 湘南3VS0C大阪 体を成さず。

前半15分 石原 直樹(湘南)
前半26分 石原 直樹(湘南)
後半35分 カレカ(湘南)


前線が前線としての体を成さず。

二列目が二列目としての体を成さず。

ボランチがボランチとしての体を成さず。

サイドバックがサイドバックとしての体を成さず。

センターバックがセンターバックとしての体を成さず。

キーパーがキーパーとしての体を成さず。

チームがチームとして体を成さず。

何より監督が監督としての体を成さないチームの、

どこに勝つ要素が有るというのか?

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 選手起用はプロの判断が求められる。私らの与り知らない因子があって、このメンバーしか組めないのなら致し方ない。でももしそういったものが無いのなら、セレッソは試合が始まる前に自らの足に枷をはめていたのと同じだ。ここ何試合か、ずっと以前から続いているボランチの位置でのバランスの悪さ、そこに何の策も講じていない時点で、試合を投げているようにさえ映る。


 試合が始まると予想通りの展開が広がった。攻撃はちぐはぐで孤立が目立ち、守備に入るタイミングは遅く、DFは中盤から加速して入ってくる相手選手のマークに四苦八苦といった風だ。得点の匂いなんてものはまるで香ってこない。どっちかというと生ゴミの中という感じだ。


 1失点目は実に綺麗にやられた。また加藤が絡んでいる。中に絞らされて、サイドのスペースを使われて、マークがずれて、ドン。試合らしかったのはこの辺りくらいまで?

 2失点目はチームの連携ミス。救いがあるとすればお見合いではなくオレがオレがという姿勢の中で連携できなかったところか。


 第1クールでの湘南戦では、セレッソは実に謙虚だった。怯えていたわけではない。勝つ為に何が必要なのか、どうすればいいのかを真摯に考え、答えを導き出し、それを貫徹しようとチームをまとめたのだ。そうして素晴らしい勝利を手に入れた。

 だが今のセレッソにその真摯さが感じられない。勝つ為の策を講じず、自らのスタイルに固執し、攻略マニュアルさえあればどこでも勝ててしまうようなチーム状態にあってもそれを変えようとしない。これを傲慢と言わず何と言う。

 選手も悪い流れの中でもがいている。何とかしようという気持ちは買う。しかし結果がカードだけというのは寂しいものだ。前半だけで4枚のイエロー。後半にはキャプテンの前田が4枚目を食らった。アレーも神経質になり全く余計なカードを貰う。誰か彼を止められなかったのか?


 好事魔多しと言うが、泣きっ面に蜂というのもある。後半立ち上がりで尾亦がまた足を痛めてしまった。キャンプで何をしていたのか…。

 少し腹立たしいのは尾亦の負傷交代がセレッソの最初の交代だったということだ。2点ビハインドでそれを是としているのならどうかしている。

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 初見の平島、無難なデビューか。今のチーム状態にあって個々の選手を的確に評価するのは困難を極める。それはトップとしてスタメンをはったカイオにも言える。まだどのポジションが一番生きるところなのか判らない。


 判らないといえば二人目の交代も判らない。江添から柿谷、柿谷はトップ下、アレーが下がって前田と底に入る。ボランチはジェルマーノ一人。

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 ただでさえ手薄な中盤の守備が、これで完全に放棄された。ジェルマーノは一人になってもガンガン上がっていって止まらない。柿谷は柿谷なりにトップ下として頑張っていたように観えたが、チームバランスが悪すぎる。既にカードを食らっていた前田を残して江添を下げたのも合点がいかない。


 そして、この試合一番の見せ場がやって来た。カレカがDFラインのギャップを突いてラインの裏に抜け出す、キーパーとは1対1、落ち着いてキックフェイント、体制を崩したキーパーをあざ笑うようにゴールを決める。ただし彼のユニフォームはもう桜色のそれではなく、湘南のブルー。

 カレカを切ったのは正解だった。今でもその考えは変わらない。今のセレッソのシステムの中では使い辛い事この上なかった。彼の力はカウンター時のように大きなスペースが生まれた時に最も発揮される、丁度今日の3失点目のように。だからこの失点を悔やみはしない、ただ神様も皮肉がお好きだものだと思うだけだ。

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 さあ、尻に火がついた。ボヤではない、真っ赤な火だ。放っておけばセレッソは火だるまになるだろう。この火をどう消す?前田の変わりは誰だ?崩壊した守備はどうする?昇格するのだろう?もう何の余裕も無いぞ!

8/08/2008

最近の応援に関する私的感想。

 これから書くのはあくまで私的感想というやつで、そこ違うぞ、ここ間違っているぞ、という箇所が多分に出てくると思う。ただ個人の知りうる限りの情報と経験と体験から導き出した考えと、ご容赦願いたい。サポートについてのお話…。

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 しかしながらサポーター論なんて事を言い出すとややこしい話になる。チケット代、遠征代をカツカツの台所事情からひねり出し、ゴール裏で声を出すのもサポートなのだけれど、ポンと年間指定席代を出された方が事業部的にはサポートされているという実感がわくだろうし…。

 私も以前はゴール裏にいたけれど、今はバックスタンドにいるし、声を出していたのも最近は控え目で、もっぱらD200で試合の写真を撮っている。本来のサポートとは程遠い。

 ただセレッソに対してプラスになることは積極的にやろう、という気持ちは変わっていないつもり。スクールのコーチの方にブログの記事の書き方をメール出したり、カメラマンやってみたり、地元のお店を紹介してみたり、スタジアムでは全然関係の無いことでも、サポートは出来るから。

 今回はそういうのを抜きにして、狭義での、つまり飛んで、跳ねて、叫ぶサポートについて。


 正直今のサポートスタイルがセレッソにとってプラスになっているのかどうかというのはよく判らない。チームがよく動く、サポーターがそれに乗る。サポーターが勢いをつける、チームが回りだす。そういう状況が少ないかなというのは感じるけれど、応援もプレーも人間が、しかも団体でする事なので(個人プレーもあるにはあるけれど)停滞や後退があるのは、致し方ない部分もあるかな、というのが、第一の感想。

 同じ人間が同じ事をやっても、結果が違ってくるというのは当然で、メンツは変わっていないのにグレードというか、熱気が落ちているのも、チームを取り巻く状態を鑑みると、むべなるかな。


 それで応援をしている既存のグループを非難するのは容易いし、今なら不満を持っている人達を集め、流れを呼び込めば与野党逆転も可能かもしれない。停滞を打破し、旧体制を打倒し、新しい流れを生む。聞こえはいい。聞こえはいいのだけれど、そこから先が問題になる。旧体制よりもよい応援をするのは第一、それを維持し、出来れば拡大し、持続させ続ける。それが出来なければ内部闘争というか、内ゲバというか、そういう話で終わる。

 実際「今の応援はアカン。何か違う事をしよう」という人は、意外とというか当然とというべきか、私以外にも沢山いる。ただ批判はすれど対案なし、という場合が多いように思う。それは私も同じ。なので私は、私なりに出来るサポートをするようになった。聞こえはいいが撤退と同義だね。


 悲しいことかも知れないけれど、夢の舞台であるはずのスタジアムであっても、そこが人によって作られたものである限り、変化を起こす為には現実と同じく社会性とか社交性とか、ソーシャルスキルというものが必要になってくる。悪く言うなら、根回しとか手練手管とか、そういう類の力だ。

 今純粋にセレッソを愛し、現状を憂いでいる人達の中には、純粋にチームに忠誠と情熱を持って接しておられる方が多数いるかと思う。しかし本当に変わる為、変える為には、生理的に汚いと感じる事でも、進んでしなくてはいけない。そこがセレッソのサポートが変化しない大きな理由だと、私は思う。


 私にはもうそういう情熱も野心も無くなってしまった。歳をとったからか、面倒だったからか、単に逃げたのか…。もしそういう事も含めて先頭に立ちたい、という人間が現れるのなら、歓迎するだろうね。情熱は今一番応援に足りないピースだし。そういう存在が現れていないのも、閉塞感を生んでいるの因子なのかな…。

8/05/2008

J2第29節 C大阪1VS2横浜FC 崖の上の…。

前半32分 池元 友樹(横浜FC)
後半26分 池元 友樹(横浜FC)
後半41分 小松 塁(C大阪)

 サッカーでは同じチームの選手はピッチの上に11人しか立てない。105m×68mの広大なピッチに僅か11人だ。もし、この中の誰か一人でも無力化すれば、それはチームにとって大きな損害になる。この試合ではセレッソのプレーヤーほぼ全てが本調子とは程遠かった。その上、チーム構成にも疑問点があった。結果として試合にかかわったほぼ全ての人間が全力を出し切れずに終わってしまった。

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 オリンピック代表に召集された香川の穴、それを埋めるのはエース、古橋。4-2-3-1は以前と変わらずだった。

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 試合開始からセレッソは横浜FCのコンパクトな守備とスピーディな攻撃に手を焼いた。攻撃に関しては核となるべき2列目に覇気が無い。乾のドリブルも、濱田のパスワークも精度が低く、中に中に入っていくので容易に守備の網にかかっていく。古橋にもキレが無く、いい時に観られる思い切りの良さ、パワフルさが無い。マッチアップした元同僚、山田卓らに封じ込められ、閉塞感が漂う。

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 古橋は調子が芳しくなかったのか、その後のプレスキックでも精度の高いキックを放てず、前半の半ばで負傷してしまう。試合後の診断は全治3週間、あまりに痛い負傷だった。交代は柿谷、ポジションはそのまま。交代時に見事な速攻を食らって失点したのは、必然か悲運か。僅かの隙を突かれ、両サイドを幅広く使われたノーチャンスの失点だった。

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 前半はスコア以上に横浜FCのペースだった。別段シュートを雨あられと食らったわけでもないし、全く攻めていなかったわけではないが、横浜FCの堅守速攻というコンセプトの中で進んでいた。乾のシュートなど断片的にいいシーンもあったが、そのコースをどれだけ相手選手が塞いでいたか。つまりこのシュートも想定内だった、ということだ。

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 後半に入っても横浜FCの組織力と、それに分断され、孤立化するセレッソの選手達、という図式は変わらなかった。前半では触れなかったが、この構図の中で、一番割を食ったのは守備陣、特に前田と江添だった。

 セレッソは基本的に攻撃のチームだ、ボランチのジェルマーノが早々に10もの得点を挙げている。両サイドバックも攻撃参加で持ち味が生きる。快進撃が続いていた頃はそれでもよかった。4-3-3のシステムで羽田が中盤の底を固めることで、何とかバランスを保っていた。ところが今はダブルボランチが共に攻撃的な為、速攻を仕掛けられた時後ろががら空きになり、最悪の場合センターバック二人で応対せねばならなくなった。そうしてこの試合でも「最悪の場合」が生まれ、決定的な2失点目が生まれてしまった。

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 セレッソがこれから勝ち点を再び重ねられるようになる為には、この攻守のバランスがカギになるだろう。攻撃的なカイオを入れても局面が打開されず、逆に守備的な藤本が入ってから小松が一矢報いたゴールを挙げている。これは偶然だろうか?

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 台所事情が苦しいのはサポーターが痛いほど知っている。苦しいのは同じだ。それでもお金を払い、労力をつぎ込み、声を枯らしている人達がいる、その思いを無駄にしないでほしい。まだ何か出来ることがあるだろうし、昇格の可能性はゼロになっていない。最後の最後までゴールを追おう。

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8/04/2008

へこんだ。

 すまねぇ、流石に今日はへこんだわ。試合のレポートは明日上げます。ほんとすまねぇ。

8/03/2008

スカイ・クロラ

 映画を公開初日に観に行ったのって初めてかな?「スカイ・クロラ」行ってまいりました。

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 以下感想、ネタバレの為たたみます。






 個人的な印象ですが、これ程主人公が無力だった映画もなかったかなと。アメリカのヒーローだったら自分とクサナギ・スイトの運命を理解した後、ティーチャーを撃墜して、オゥ、イェスッ!!ハッピーエンド!!なんでしょうが、そこは押井さんですから、カンナミ・ユーイチはバシッと倒されてしまうんですね。ユーイチは「トゥルーマン・ショー」のジム・キャリーにはなれませんでした。原作ではティーチャーは普通に強いエースだったらしいですが、映画ではRPGに出てくるような「絶対に倒せない敵」のように表現されています(倒せるって監督言ってるけれど無理だよあれは)
 結局自分も、愛する人も、「戦争請負会社」が用意した(らしい)運命から開放することが出来ず、連鎖を解くことが出来なかった。2時間かけてそのお話を観るわけです。少しだけ謎解きっぽいところもありますが、押井さん信者だったら「少ない!薄い!」とブーイングする程度です。得意の長台詞もスイトが少ししゃべったくらいで、押井さんの「くどさ」が味わいたかった人には物足りないかもしれません。
 ただこの映画で成功したな、と思うところがあって、それは件のティーチャーにユーイチが撃墜されるラストシーンなのですが、それが全然悲しくなかったんですよ。
 それって面白く無かったって意味だろ。と思われるかもしれないですが、この戦いに赴くまでの時点で、自分と自分を愛してくれる人、そして周りの事象全てが悲しみに溢れた運命にある事が確定しているのです。それが普通に観ている人にははっきり判る。ティーチャーに撃墜される瞬間は、それはある程度悲劇的ではあります。しかし「撃墜された」ことより「運命を変えられなかった」ことの方が虚しく、辛く思える、そういう映画なんです。
 久しぶりに観た映画ですが、良い意味で期待ハズレだったと思います。ヒコーキモノ、押井モノではなくて、恋愛モノにカテゴライズしたい一本です。「スカイ・クロラ予告編祭り」で庵野秀明、樋口真嗣を押さえ、「GO」や「世界の中心で、愛を叫ぶ」で抗えない運命に苦しみながら、それでも惹かれあう人間を描いた行定勲監督の作品が高評価なのも、そういう理由からかも知れません。夏の映画っていいなぁ。
 そうだ、追記。恋愛モノと言ったのにはもう一つ理由があって、押井さんって感情は抑えてるけれど恋をしている女性、恋をしているのに恋をしていると自分自身気がついていない女性を描くのがすごく上手いんですよ。パトレイバー2の南雲さんとかね(ラストシーンの手錠をかけるシーン、多分世界中の映画の中で最もセクシャルなシーンだろうとおもう)目線や、指の使い方に至る細かい仕草。言葉のちょっとした機微。その有り様がいい。女性から見たスイトがどうかは判りませんが、私の目の前にいたクサナギ・スイトはとても魅力的な女性でした。そこの細かい描写まで含めて、「スカイ・クロラ」は一流の恋愛映画です、ハイ。