5/29/2008

君死にたもうことなかれ。

 出陣していく弟の無事を祈り、無益な争いを憂いだのは我が祖母の故郷である大阪、堺の詩人与謝野晶子だ。かわいい弟を戦地に送るのは、富国強兵に邁進し「お国の為」が合言葉のように叫ばれた時代にあっても悲しい出来事なのだ。


 話は変わって代表の話題。ワールドカップアジア3次予選日本代表が昨日発表になった。皆の承知の通り、我がセレッソから香川が選ばれた。

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 ただ今回に限っては、素直に喜べない自分がいる。まさに「君死にたもうことなかれ」という心境だ。

 代表という言葉が遠く霞んで見えていた頃は、代表にさえ選ばれれば沢山よい経験が出来て、選手は一回りも二周りも大きくなって帰ってくるんだ、世界を相手にプレーするのだから控えであっても何か得るものがあるのだと思っていた。全く浅はかな考えだと今になって思う。とどのつまり、今の代表の試合を観ていて、これで何か得られるのかと疑問なのだ。

 例えばコートジボワール戦でのプレー、あれが本来の香川のプレーかと聞かれれば、答えは当然NOだ。中盤の底から前線まで動きまくり、チームの潤滑油として機能している姿こそそれである。しかしそのような動きをせず、2列目としてポジショニングするように指示があったと後で聞いた。


 勿論「俺様プレー」が出来る選手など限られていることは百も承知だが、選手の持ち味を把握せずに指示をするのも如何かと思う。そんな状態で香川は大きくなれるのだろうか。

堺の街のあきびとの
旧家をほこるあるじにて
親の名を継ぐ君なれば
君死にたもうことなかれ
旅順の城はほろぶとも
ほろびずとても 何事ぞ
君は知らじな あきびとの
家のおきてに無かりけり


 予選突破は、国家代表としての責務だ。ただしその中で、どうか無事でいて欲しいと願う。

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