1/07/2008

娘が優しい。

 家内の一時帰宅が終わり、寒空の下病院まで送る時が来た。何度も経験したはずなのに、その度に同じだけ辛い気持ちが襲ってきて、精神的にうんざりする。病院の窓から手を振る家内に優しく手を振りかえすのが精一杯でだらしない。

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 家に帰ると娘のたろもがいつもよりいろいろと話をしてくれた。人の気持ちを読むのがすごく上手い子なので、こういう気持ちも読んでしまうんだろうな。出来るだけ隠しているつもりでも、あの子には無駄なのか。

 そうしてしばらく用事をしているとまたたろもがやって来て、私にちいさな紙袋をくれた。

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 中には娘には大金のはずの1000円札が入っていた。

「おとしだまは大人がこどもにあげるものだから、たろもは大きくなってからたろものこどもにあげればいいんだよ」

 というと

「あ、そうか。たろも勘違いしててん。ごめんごめん」

 と、恐縮していた。

 この子の本当に優しいところを育てたのは家内だ。私は怠慢をしていて、殆ど何もしてあげられなかった。なのにその優しさに触れられるのが私ばかりというのは、少し不公平な気がする。早く元気になって、家内がこの温かさに触れられる日が来るように、私も頑張らないとな。

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