3/26/2007

C大阪3VS2京都 春の嵐。

 不思議な気分でキーボードを打っている。本当に今日は勝ったのかと。あんなに酷い展開だったのに、交代がズバズバ当たって、後半だけで3ゴールも入れて、ウソみたいだ。

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 今日の布陣。前回手ごたえのあった「クリスマスツリー」藤本が出場停止であったことと、攻守の繋ぎがあまりに杜撰だったのが理由かと思うが、3ボランチの左に古橋が下がり、前節古橋がいた位置に森島寛が入った。

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 ただ攻撃はやはりディフェンスラインの位置からのロングボール一本やりで、古橋がまるで生きてこない。森島康も前節程仕事ができず、あまりいい流れではなかった。

 前半良いプレーをしたのは宮本くらいではなかったか。とにかく守備範囲が広がっていて、危ないところにはよく顔が出てくる。アンドレ、パウリーニョの両外国人と、彼らにボールを供給する中払、徳重をある程度押さえ込んでいた。


 それでも「専守防衛」ばかり続けていれば、守備陣のストレスも溜まってくるというもの。とにかく守れど守れど落ち着く時間が無いのだから、相当苦しかったろう。30分にはバイタルエリアからのミドルを食らい、前回同様またしても先制を許してしまう。

 その後森島寛がロングボールのこぼれ球を拾い、キーパーと一対一になるも、ファインセーブに阻まれ、悪い流れのまま、前半を終えた。


 後半、都並監督はその森島寛を代える荒療治に出た。代わって入ったのは中盤でボールが持てる濱田。これがこの試合一つ目のターニングポイント。

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 今日の濱田は、以前のような線の細さが抜けていて、実に泥臭く、たくましいプレーをしていた。勿論持ち味は中盤でのタメとパスだしなのだけれど、例えばボールをカットされても、慌てずに帰陣してプレスに加わるし、ボディコンタクトも嫌がらず、寧ろ率先して走り回っていた。

 中盤が活性化すると、前線も生きてくる。スペースへ走るというプレー一つとっても、殆ど無駄に終わるのだと感じながらするのと、ひょっとしたら生きてくるかもしれないと思いながらするのとでは、質が変わってくる。苔口がゴール前に猛然と突進、相手DFを潰した所で、ポジションを一つ上げていた古橋がこぼれ球を丁寧に流し込む。後半早々の同点劇。


 ここからいい流れになる事を期待していたのだけれど、負けが込んでいるチーム事情からか、同点になったところで途端に受身になってしまう。またしても「専守防衛」状態になると、再びアンドレに勝ち越しゴールを奪われてしまう。同点だった時間は、僅か9分。

 追いついてもまた突き放されるいつもの負けパターン。また駄目なのかという雰囲気が、スタジアムを覆った。森島康など傍目で観ていて、少し気持ちが切れ掛かっているような印象だった。


 しかしサッカーは不思議なもので、ここからセレッソの大逆襲が始まった。その切っ掛けを作ったのは、他ならぬ京都ベンチだった。これまでアンドレ、パウリーニョと共にセレッソ守備陣を苦しめていた中払を早々に引っ込めてしまったのだ。これである程度前がかりに出る算段がついた。

 もう一つの幸運は、今日リザーブに小松を入れていなかったこと。皮肉な話だが、その事でパワープレーという選択肢が消え、セレッソの持ち味である、個性あふれる2列目を生かすゲーム展開が出来た。


 二つ目のカードはゼ・カルロス。諸刃の剣ではあるが、それを差し引いても魅力あるプレーヤー。

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 彼の見せ場はいきなりやって来た。ゴール前の混戦からカルロスにボールが回ったのだが、左足へ持ち替えるのにまごついている間にスライディングを食らい、絶好の位置でファウルを貰ったのだ。

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 ゴール前やや左、普通なら右利きのキッカーが蹴るところだが、カルロスは自らキッカーを志願し、見事にこれを沈めた。後半30分過ぎの同点弾、死んでいたスタンドが生き返った瞬間だった。


 この後一進一退の攻防が続いたが、サンガは徳重まで下げてしまい、つめの甘さが出る。一方今期のセレッソにはもう一つ、セットプレーという武器が有った。藤川コーチ直伝らしいが、以前では考えられないほど、精度が上がっている。ロスタイムも間近というところで、連続でコーナーキックを得ると、今日辛酸を舐めていた江添、前田のCBコンビが意地のゴール。89分にして、いや、開幕から359分目にして、初めて、セレッソがリードを奪った。


 選手もサポーターも、ロスタイムの3分を長く感じたと思う。相手コーナーでボールをキープする事も出来ず、攻めにかかるのか守備を固めるのか、意思疎通もまるでなっていなかった。監督自身、折角一枚残っていた交代カードを使わなかった(ベンチから一番遠い丹羽と、残っていた山崎を交代させれば、結構時間を使えたはずなのに)。それでも、長い笛が夕闇の迫る長居第二に響く、今期初勝利を告げる、歓喜の音だった。


 これでとりあえず最下位は抜け出せたが、まだまだ艱難辛苦の日々が続くだろう事は、想像に難くない。濱田が出るまで、まるで攻めの形が作れなかったし、守備にしても勘所で耐えきれないのは相変わらずだ。こんなドラマティックな試合を毎節続けられるほど、J2は生易しいわけでもない。

 ただこれで、少しでもいい流れが生まれればいいと思う。都並セレッソは、まだまだ発展途上。改善すべきポイントがあるということを、まだ伸びしろがあるというように捉えよう。

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