11/27/2006

大宮2VS0C大阪 振り返る暇は無いけれど。

 多分第三者から見れば凡戦だったろうと思う。特にセレッソは攻守に形が全く見られず、少ない好機も決めきれなかった。逆に大宮はキッチリと決めてきたし、11人がチームとしてまとまっていた。どこかで1点取れたなら、相手の動揺を誘ったり出来たかもしれないが、今となっては後の祭り。


 スタメン。右サイドに苔口、ダブルボランチは前節と変わらず宮本、下村だった。

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 ダブルボランチの組み合わせが、前節と同じ意図で起用されたものあるならば、まず守備をしっかりして、そこを土台に攻めていきたい、というプランがあったのだろうと思う。

 しかし仮に守備が堅牢であったとしても、攻め続けられればリスクはそれだけ大きくなる。攻守は表裏一体のものであり、そのバランスを崩せば意図通りには進まない。この布陣では攻撃へとボールを持ち上げるリンクマンが誰もおらず、攻撃陣と守備陣が分離しやすい。そういう役割を担うはずの位置にいる江添、宮本、下村は、何れもボールを横へ動かすプレーヤー、単独での突破も少ない。

 去年ならボランチが機能しない時、まだ久藤、ゼ・カルロスと試合のリズムを変えられる存在がいたのだけれど、今年はゼ・カルロス一人だけで心許ない。加えて押されている時に必ず戻って仕事をしていた森島寛がいない今では、あの展開も致し方ないか。期待の苔口も一度果敢なタテへのチャレンジが見られたが、後はいつもどおり沈黙してしまった。


 傍から見ているとやはり攻撃のスピードが遅く、横パス、バックパスが多い。チャレンジしなければいけないところでチャレンジせず、低い、危険な位置でリスクを犯す。前半無得点で抑えられたのは、大宮が慎重なゲームプランを選択していたからに過ぎない。最大の好機だった宮本のミドルも弾かれ、内容の少ない前半が終わる。


 後半に入ると大宮がラッシュをかけてきた。それ程迫力のあるものではなかったと思うが、それでも今のセレッソはバタついてしまう。最初の失点は少しアンラッキーではあったけれど、右サイドの深い位置まで侵攻を許したからこそ、一つの不運が失点に直結してしまったとも言える。


 失点してからの交代、後手に回ってしまったが、攻守の繋ぎ目となり、チームの士気を鼓舞できる名波の投入は、あの時点でのベストだった。ただ古橋が右サイドにまわってしまった事で、前線の運動量は下がってしまった。

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 その為西澤、大久保、名波の3人の中でしかボールがまわらず、チームとして組織だった攻めが出来ない。西澤が潰されたり、大久保がパスの出し所に迷って右往左往したのは、彼等個人の問題だけではなく、チーム全体の動きが少ないから。

 二枚目の交代、森島康の投入で、攻守の解離はより顕著になった。

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 この時間帯、リスクを犯してでも攻めるという考えは間違っていないし、早くタテにボールを入れるために空中戦に長けた選手を投入する事もセオリー通り。止むを得ないと言えばそれまでではあるけれど、そこまでしても攻めの厚みが増さない。競り負け、囲まれ、奪われ、光明が見えない。

 そんな焦りが吉田の判断ミスの伏線になったというのは、考えすぎだろうか。飛び出さなくてはいけないシーンでは待ち、待たなければいけないシーンで飛び出す、今日の吉田はいつも以上に不安定だった。失点に繋がったからこそようやく目立ったが、今の3バックと吉田の親和性は決して高くない、どちらかと言えば相性が悪いようにさえ感じる。


 二失点を許してからようやっとボールが持てるようになったものの、引き出しが少なく、大宮が想定している範囲を超えられない。苛立ち、ファウルを犯し、カードを貰う悪循環。

 ここで高校生ルーキー、柿谷が登場する。僅かな希望を16歳の少年に託さなくてはいけない辛さ。直前に下がったゼ・カルロスがイエローを貰っていたので、二枚目を食らう前に引っ込めたのかとも考えたが、隣にいた友人は「(監督は)そんな事まで頭の回る人ではないよ」と苦笑いをしていた。

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 柿谷の年代別代表以外でのプレーをはじめて見たが、面白い動きをするプレーヤーだと思う。今までのセレッソにいなかった、いい意味での軽やかさを持っている選手。意表を突く様も面白い。ただ、これだけの逆境を打開できる程のプレーヤーではない。そんな事が出来る選手自体、Jに何人もいないだろうけれど。


 もうこれ以上書く事は無い。ただ時間だけが過ぎ、チームにとっても、埼玉まで駆けつけ、氷雨に打たれながらも応援を続けたサポーターにとっても、辛く悲しい時間が過ぎた。ただそれだけ。


 福岡もお付き合いして2-0で敗戦した為、次の川崎戦で勝利すれば、福岡の勝敗に関係なく、入れ替え戦行きが決まる。引き分けでも福岡が引き分け以下ならOK。敗戦の場合、福岡が引き分けると自動降格となる。

 別にややこしい話ではない、要は勝てばいいのだ。それが難しい事は承知しているが、そこまで追い込んでしまったのは、他ならぬ自分たち自身。ならば、やはり自らの力で、この窮地を脱する他はない。

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