8/24/2006

京都4VS4C大阪 13/90。

 西京極のピッチはあまりにお粗末だった。あちらこちらで芝がはげて地面がむき出しになっている。あれなら淀まで行って京都競馬場を使わせてもらったほうがいい。

 もっと落胆したのは試合内容、酷い泥試合だった。タイトルにした13/90の意味をご理解頂けるだろうか。これはセレッソがリードしていた時間。90分ある内の、僅か13分間。勝ち越しても勝ち越しても落ち着かないのは何が原因だったのか。

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 スタメンは前節から変わらず。予想されていたとおり疲労が残っていたのと、予想以上の荒れ馬場の為、ボールコントロールが落ち着かない。先制点を早々に奪われ、出だしも最悪。京都のプレスがゆるいのでボールを持つ事は出来るものの、イマジネーションに欠ける展開が続く。

 古橋が力技で同点に持ち込む(こういう『局地』では古橋の馬力がよく目立つ)が、塚田監督のプランとは程遠い内容だったのだろう、前半残り5分というところで、我慢の限界。大久保投入と相成った。

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 大久保は相変わらず周囲とのシンクロニシティが無いので、最初の頃は独力での突破や西澤に当てて走る程度のコンビネーションしか見せられなかったが、この「慣らし運転」が、後になってから効いてきた。

 後半の開始直後、前節と同じく河村のロングフィードが相手ラインを突く、駆け出したのは「慣らし」の終わった大久保、難しい体勢からゴール。これで1-2。


 ここまでは、ここまでは観れた試合だった。しかしここからの44分間は、今年のセレッソの中でも最悪の44分間だった、断言していい。


 スコアの上ならもっと差が開いた試合も沢山ある。しかしそれはリードされ、リスクを負わなくてはならなくなったところをカウンターで失点を食らっていたパターン。点を取られに行ってやられた。まだ理解が出来る。しかし得点しても得点しても突き放せない、それどころか、そのリードが10分と続かないのだ。

 吉田と柳本は他でも散々叩かれているが、それだけの理由があった。大久保のゴールから僅か8分後、パウリーニョのドリブルを柳本がファウルで止める。これだけなら、特段責めようとは思わない。

 ただその後、パウリーニョのグラウンダーを読みきれず、キャッチはおろか触れる事さえ出来なかった吉田のプレーは庇いきれない。

 散々書いているが、西京極のピッチは酷く荒れていて、ボールのバウンドは不規則だった、これはラグビーかと見紛う程に。だからキッカーの頭の中に、ゴロで速いボールを蹴るという選択肢がある事は、当然イメージしておかなくてはいけなかった。

 さらに言うなら、実際に放たれたパウリーニョのキックは、お世辞にも素晴らしい出来では無かった。スピードも比較的緩やかで、誰かに当たってコースが変わったわけでもない、ごく普通のゴロ。最低弾いてコーナーに逃げられる、普通なら体の真正面でキャッチすべきボール。それをやすやすと逃してしまった。

 そうして一度つかんだ流れを易々と手放す。吉田はこの他にも松田の突進を止めようと飛び出してかわされたり(松田が最後のボールコントロールをミスして失点は避けられたが)、ハイボールへの対応を間違えたりと、とにかく不安定だった。


 もう一人の柳本に関しては、まだ弁解の余地が有る。確かに左サイドでの守備では散々ピンチを招いていたが、それはボランチのラインと最終ラインが開きすぎていて、そこを突かれた為に生まれていたもの。そんなシーンが何度も何度も続いていた。

 ならばそれを修正しなくてはいけない、その指示は誰が出すのか、誰かカバー出来なかったのか。

 しかし塚田監督はこの脆弱性をパッチする事よりも、名波によって流れを変える方が良いと判断した。森島寛を下げて名波、大久保をさらに高い位置に入れて、些かクラシックな3-5-2に。

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 セレッソと名波、一見水と油のような二つは、意外に容易くフィットした。西澤、大久保との絡みもいいし、当然ながら後ろの河村とのバランスも及第点。このトライアングルが崩した後に藤本がタイミングよく飛び込んで、再び2-3とリードを奪った。

 それでも左サイドに残った脆弱なポイントから、せっかく汲み上げた水が再びこぼれ落ちてしまう。勝ち越しから僅か2分後、そのニッチに張っていた加藤にボールが渡る。加藤には味方の飛び出しを観察し、キックのコントロールを注視するに十分なスペースと時間が与えられていた。手島が豪快な攻め上がりで詰める。3-3。


 これだけでもストレスが溜まる展開なのだが、苛立つシーンが続く。最後の交代カードはこれだけ綻んでいた左サイドではなく、右サイドの為に充てられたのだ。交代で入った山田がボランチに、宮本は右サイドに回る。

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 左サイドに爆弾を抱えながら。それでも攻撃陣は奮起した。間延びした中盤を踊る事は、名波にとっては容易いのか。長短のパス、老獪な身のこなしで京都の守備を崩す。ふわりと浮いたラストパスは、彼とのプレーを「やりやすい」と公言していた大久保の、ジャンプした額にピタリと合った。3-4、時間は後半41分。

 これでいいだろう。これ以上は無いだろう。もう同じ失敗はしないだろう。それほど不用意ではないだろう。何度も言い聞かせた。ロスタイムの3分がやけに長い。それでもあと少し。山田が高い位置でのキープを目論んでドリブル突破を仕掛けるが、ボールをロスト、でも、まだ何とかなる。コーナーに逃げた。あと1分。


集中しろ…!



集中しろよ…!!




ああ…。




何だこれは…。





 何故皆ボールウォッチャーになった。何故誰も競らない。ファーに一人ぐらいカバー出来る人間はいなかったのか。どうしてだ。何故なんだ?はらわたが煮えくり返っている。ハヤクドブニデモブチマケナイトヤケシニソウダ。


 失ったのは1ゴールだけでも、勝ち点2だけでもない。今年一年でもまだ足りない。それほど大事な大事な一瞬だった…。
 
 確かにブービーの福岡とは勝ち点1差に縮まったし、入れ替え戦に臨める16位にいる京都との勝ち点差5も変わらない。けれど、大事な一戦と意気込んだ試合で、こんな結果しか残せないチームを、今は信頼なんてできない。一番愛しているチームに変わりはないけれど、だからこそ今もまだ心のモヤモヤが晴れない。次節は2位浦和戦、劣勢なのは判っている、しかし、結果を出してほしい。出さなければだめだ。

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