8/21/2006

セレッソを勝たせる為の3つの約束。

 ようやっと2勝目をあげたセレッソではあるけれど、まだ勝ち点が一桁で、単独最下位であることに変わりはない。おまけに明後日にはもう次の試合があり、相手は同じく残留争いの渦中にいる京都、次の試合でよりいいポテンシャルを発揮する為にはどうするべきか、それを今から考える必要があると思う。

 横浜FM戦をナマで観ていて感じた事をまとめていくと、セレッソを「勝てるチーム」に変えるには三つのエッセンスが必要だと感じた。


 一つ目は前線から、全体でかけるプレッシング。

 去年のセレッソは堅守のチームだった。それが今年に入って急激に悪化した。しかし開幕時の原因と、現在の原因は、少し違う。

 開幕時の守備崩壊の原因は、中盤の運動量と質の低下だった。

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 これはダービーの時(3/12)のスターティングメンバーなのだけれど、中盤の四人、ピンゴ、河村、下村、ゼ・カルロスのバランスが明らかにおかしかった。ピンゴはサイドでプレーするには運動量が足りないし、ゼ・カルロスもあまりスタミナ豊富なプレーヤーではない、河村は移籍したばかりでフィットしておらず、下村は去年やっていた潰し役からファビーニョがやっていたリンクマンへと役割を変更させられ、そのギャップから精彩を欠いていた。これではいいプレーができないのは当たり前。


 一方塚田監督に代わってからの問題点は前線からのプレス不足。

 塚田監督は就任当初から、かなり頑なに4-4-2の2ラインディフェンスに拘った。

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 これはアウェージュビロ戦(7/22)でのスターター。前線が柿本、西沢とセンターフォワードタイプ二人で、あまりチェイシングが得意なほうではない。また前田、ブルーノ、藤本、宮本と対人に強い選手が多いにもかかわらず、殆どの時間ゾーンで守備をしていた。その為ボールポゼッションが悪く、二列目からの飛び出しに殆ど反応できていなかった。福西のゴール等はその典型と言える。自らが作ったスキームを遵守するあまりに、一歩目が遅くなっていた。


 横浜FM戦での布陣、戦術は、この二つの失策を踏まえてチョイスされたものだった。

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 徳重、森島寛、西澤が前線からプレッシングをかける事で相手のプレーを限定させ、中盤、最終ラインの負担を軽くする。バックも運動量豊富な選手が揃っているので、ダレが少ない。最終ラインはマンマークに集中出来るので、プレーの質も上がる。後半4-4-2になってから防戦一方になったことからも、3-4-2-1、マンマークが現時点でのベストだと言える。


 二つ目は試合の中でのペース配分。

 今のセレッソは失点するとプレーが萎縮してしまう。それを防ぐには、やはりリードしている事が大事。勿論リードが大きいに越したことは無い。

 あまりに当たり前なセオリーではあるけれど、まずなんとしても先制点を奪う事が大事になる。そして出来る限りイニシアチブをとり続ける。そうすることでスタミナを温存しておくことが出来るから、一つ目で述べた運動量の低下を防ぐことも出来る。


 三つ目は、ベテランの効果的な起用。

 セレッソは全体がかなり高齢化している(というか中堅の層が異様に薄い)。森島寛、西澤、徳重、山田、柳本、吉田…。加えて名波もやって来た。

 勿論アンバランスなチーム編成はあまりいい事ではないけれど、現実としてそういう形になってしまっているのなら、その長所を生かす手立てを考えなければいけない。

 前節の勝利について、名波がプレーしていないにも拘らず、「名波効果」と謳った新聞記事やブログエントリが多く存在したけれども、強ち間違ってはいないと思う。

 沢山の経験をつみ、さまざまな局面でどうあるべきなのかを知っているベテランの存在は、ピッチに立っていなくても効果が有る。

 河村などは、いい例ではなかろうか。かつてのチームメイトである名波に触発され、持ち味の強い身体能力とフレキシブルさを兼ね備えたプレーが出来るようになってきた。

 また徳重は久々のスタメン起用にも関わらず、自らに課せられたシャドーという役割をしっかりとこなした。これもいろんなシーンでプレーした経験が生かされているのだと思っている。

 冷静に局面を分析できるベテランを要所要所で使えれば、仮に拮抗していたり、或いは劣勢に立たされていても、チームが慌てるなんて事は無いだろう。


 本当はもう少し勝利の余韻に浸りたい。それは嘘偽りの無い気持ちだけれど、残留を勝ち取るまでは、しっかりと集中しなければいけない。つらい日々はまだまだ続くのだ。

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