7/20/2006

C大阪0VS2大分 Angry road.

 阪和線に飛び乗って、真新しい高架線から南を見やると、ギリシア神殿を思わせる長居スタジアムの巨大な姿が目に入る。何度も何度も来たというのに、その度に心が躍る。今日は期待感も特別だった。チームは岡山でしっかりとチーム力の底上げに務め、そこに嘉人が加わった。森島は怪我をしたものの、代わってオールスターに出場した古橋がゴールをあげて好調ぶりを見せてくれた。だから今日は、何かが変わる予感がしていた。


 でもそれは幻だった。帰りの電車に乗った私が背負っていたのは、とんでもない絶望感だけだった。

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 布陣は予想通りの4-4-2、中盤はどちらかというとフラットなように見えた。

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 しかしこれが上手くいかない。特にMFとFWを繋ぐアイディアが無い。柿本が下がったり、ピンゴが上がったりというシーンが局所的に見られるものの、チーム全体にはっきりとしたスタイルが見られず、その場限りの即興が続く。

 特に欠けていたのは大きな展開。人もボールも狭いスペースから動かない。下村が散発で長いパスを試みていたけれど、それは数ある選択肢を相手に一つ一つ潰された上での「止むに止まれぬ」プレーで、そんなプレーが通用するはずも無く、悪循環に拍車をかけてしまった。

 万事が万事そんな感じで、守備だけが組織立ったプレーをするはずも無い。前半20分過ぎ、高く保とうとしたラインの裏をあっさりととられてしまった。ボールの出所にプレッシャーは無く、飛び出した松橋に気付く選手もいなかった。選手の密度を上げて相手のボールの出しどころを潰すのが4-4-2の2ラインディフェンスの肝だと思っていたのだけれど…。


 完敗の試合の中で、唯一「if」が有るとするなら、失点直後、柿本の左サイド突破から中央フリーの西澤へ、という流れだったと思う。もしあそこをしっかりと決められていたら、そこからの試合は、少しは変わっていたかもしれない。

 でも決められないから今の位置にいるわけで、外れてしまったのは必然だったのかもしれない。あそこで冷静にネットを揺らせているチームなら、こんなに苛立つ事も無かったろう。

 そういう意味では前半終了間際の高松のシュートも、大分が上位に食い込めない理由になってしまうのかもしれない。あれが決まっていたら、試合は前半で決まっていた。


 後半はテコ入れが有るかと思ったものの、取り立てて何も変わらなかった。強いて言うならゼ・カルロスと古橋がどんどんと前に行ってしまい、攻撃の際には4-2-4のようになったくらい。

 昔の攻め達磨の如きセレッソで有るならば、それでもよかったのかもしれない。けれど、今のセレッソは前線に張った4人にボールを送るだけの力が無い。一人孤立しても辛いというのに、一度に4人が無力化するのだからたまらない。

 そんな中でようやく嘉人が長居のピッチに立つ。前線の活性化を託され、背番号36が姿を見せると、この試合で一番の歓声が上がった。

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 しかしどれだけ素晴らしい銃であっても、そこに込める弾丸と、引き金を引く人間がいなければ、単なる鉄の塊にすぎない。投入されて3回はらしさを披露したが、それ以降は痛めている右ひざをかばってのプレーに終始した。


 カンフル剤の効果が切れると、ますます苦しくなってきた。攻め手は全て手詰まりで、ブルーノのオーバーラップも効果薄。守備では8人がかりでゴール前を固めるも、いいようにあしらわれての失点。2-0のスコア以上に力の差を見せ付けられる。


 そこからの選手起用も、台所事情の苦しさが現れていた。ピンゴに代わって投入されたのはルーキーの宮本。

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 彼のプレーをどうこういう気は無い。むしろ失敗を恐れぬ姿勢と運動量は評価されてしかるべしでさえある。しかし守備から攻撃へのアイディアが枯渇していた状態で、攻撃の構築に帰依できる能力の薄い彼を出す理由が未だに判らない。

 最後の交代は左サイドのゼ・カルロスに代えて苔口、こちらは縦への推進力を狙ったのだと理解している。狙いが狙いどうりにいかないのが悲しくはあるけれど。

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 この二人には、もう少しいい流れの中で登場してほしかった。ピッチに立ったときにはほぼ試合の流れは決していて、その劣勢をひっくり返すのは容易ではなかった。最後に意地の波状攻撃を見せたものの、あまりに手遅れだった。


 今日足りなかったものは何かと聞かれると、「全て」という答えしか浮かばない。テクニック、ディシプリン、タフネス、チームとしての完成度。本当に、何もかも無かった。これだけ完敗だったのだから、次の試合は今日の試合より、少しばかりましになっているだろう、その事だけが、唯一の救いかもしれない。

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