7/15/2005

C大阪1VS0新潟 布部の意地、吉田の意地。

 熱にうなされながら、バックスタンドへと続くスロープを登る。風邪と湿気で嫌な汗が絡みつく。朦朧とした意識の中で見たものは、若干寂しいスタンドと、赤い月。

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 いつもの席についてもフラフラで意識がはっきりしない、蒸し暑さがスタジアム全体を包んでいた。セレッソの先発は下図の通り。右サイドは久藤が入った。

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 選手達も6連戦の4戦目でこの劣悪なコンディション、動きが悪い。ボールは動くのだけれど選手が動かない。


 そんな中でまずイニシアチブを奪ったのはセレッソだった。トップの西澤、ボランチのファビーニョがしっかりボールをキープするので他の選手が動きやすく、新潟に比べて流れが速い。

 対する新潟は右サイドに活路を見出そうとするが、ベースになるべき運動量が少ないのでボールを保持できない。


 そんな良い流れの中でアクシデントが発生する。左ストッパーに入っていた柳本が怪我の為か離脱。下村がその位置まで下がり、空いたボランチの一角に布部を投入しなくてはいけなくなったのだ。

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28 min



 この交代は少し不安を覚えるものだったが、HOT6の最中活躍する時間を与えられていなかった布部は果敢にプレッシングに参加、下村も無難にストッパー役をこなしていた。


 ただファビーニョやブルーノがボールを奪った時と、布部がボールを奪った時の、周囲にいる選手のちょっとした動きの違いが気になった。

 ファビーニョやブルーノがボールを奪う時、他のチームメイトはこのタイミングでボールが来る、というリズムが出来上がっていて、そこから非常にスムースにボールが流れていくのだけれど、布部が同じようにボールを奪取しても、回りがタイミングをつかめずに動き出しが遅くなってしまうのだ。

 この試合で2試合目となる森島、西澤、黒部のトライアングルが前回と比べてスッキリと動けていたし、怪我明けの久藤も良い動きをしていたので、中盤からのいい仕掛けが出来ればもう少し好機が作れたのではと惜しまれる。


 しかし全体で見れば安定した前半だった。何よりゴールを守る吉田のコンセントレーションが高い。チーム全体での守備意識もしっかりしたものだったので、新潟は決め切れないシーンが目立った。


 後半開始時にはメンバー交代無し。


 後半立ち上がりすぐに、ビッグチャンスがやって来る。速攻を仕掛けた西澤がゴール前まで突進、それに合わせてスペースが空いていた左サイドをゼ・カルロスが駆け込む。西澤からの優しいラストパスを受け取ったゼ・カルロスが豪快に左足を振りぬくと、野澤の手を弾いたボールがゴールへと吸い込まれていった。

 待望の先制点を奪う事が出来たセレッソ。この攻撃の起点になったのは布部のボール奪取から。苦労が報われた瞬間。


 だがこの直後、試合の流れを左右するシーンが訪れる。自陣ゴール前でのファウルにキッカーはアンデルソン・リマ。リーグ屈指のフリーキッカーがゴールを伺う。

 強烈なキックは壁を超えると急激に曲がり落ち、ゴール右隅に迫る。スタジアムが凍りついた一瞬。

 その空気を振り払ったのは吉田の右腕だった。ヒーローインタビューで何度も前節3失点をしたふがいなさを悔いていた事を吐露したベテランキーパーが、このピンチを救った。ゼ・カルロスが喜びを爆発させて吉田に跳びつく。


 ここから今期のセレッソらしいシーンが見られるようになって来た。計算された守備、そこからの素早いカウンターをベースにした試合運び。

 バックラインは原則3枚だったが、時折スペースを埋めるために久藤が下がって4バックになったり、必要に応じて5バックになったりと柔軟にフォーメーション変えていった。4-3-3と3-5-2ではサイドの選手の枚数が違う、その為の対策なのだろう。


 選手交代にも意図が見られた。黒部に代わって徳重、久藤に代わって苔口。共にタテへのスピードが持ち味。攻めに出てきた新潟の裏のスペースを狙う。

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70 min

 

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78 min



 対するアルビレックスも高さのある上野を投入するのだが、枚数をかけて守備を固めるセレッソのゴールをこじ開けるのに苦労している様子。唯一の好機に放たれた寺川のシュートもバーに弾かれた。

 その後徳重の幻の復帰弾などあったものの、終盤はセレッソがボールをしっかりとキープして時間稼ぎ、無事1-0でのタイムアップとなった。


 コンディション、スケジュール共に劣悪で、とても両軍がベストパフォーマンスだったとは言い難いが、凡戦であっても勝ち点に変わりが有るものではない。前節の反省をフィードバックしつつ、次の試合をモノにしていく姿勢は評価されるべきだろう。





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