4/29/2005

C大阪1VS1広島 冒涜の対価。

4月28日の夜。.jpg


 今日は試合終了1分前までずっとイライラさせられていたが、最後の1分でそれまでの鬱憤がすべて吹き飛んでしまった。推敲しようとしているのだが未だにアドレナリンが止まらない。


 まず試合開始前に福知山線の脱線事故に対して黙祷が捧げられた。

 セレッソのスターティングメンバーは予想通り。

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 広島は予想メンバーの茂木のところにユース上がりの前田が入った。


 前半は、正直凡戦だった。お互い運動量や組織力を売りにしているチームなのだが、4連戦の初戦という事も意識していたのかお互い人もボールも動かない。バックパスや最終ライン同士のボールの受け渡しばかりが続く。

 広島がガウボンを起点に前田のドリブルや大木の飛び出しを絡め、中央突破を仕掛けるが、頭を抱える様な破綻は殆どなかった。対するセレッソもなかなかシュートまで繋がらない。


 そんな中一人だけ元気だったのはゼ・カルロス。4トップの左ウイングかと思えるほどのポジショニングで駒野の前に陣取ると、これでもかと1対1を仕掛ける。そしてそれがことごとくはまる。こちらも決定機とまではいかなかったが、見ていて胸踊る数少ない場面だった。


 前半30分を過ぎた辺りから、ダラダラとした試合の流れに飲まれたのかセレッソのディフェンスがルーズになって来る。確かに相手のプレーの精度も低かったが、慢心と言われても仕方のない状態だった。下村が何度も周りを叱咤するのだが、皆上の空といった様子。前半も終了かという時に、なんでもないクロスからガウボンに決められたシーンも、ブルーノがしっかりと付いていれば簡単に防げていただろう。

 ブルーノはこの試合、終始プレーに精彩が無かった。ポジショニングが甘い、戻りが遅い、ラインの統制もまずい。リスタートから何度か狙われていたが、失点に繋がらなかったのが幸いだった。


 後半が始まっても両チームの動きは緩慢なまま。広島前田、セレッソゼ・カルロスが突破口を開こうと腐心するが実らない。セレッソの前田も良いプレーヤーだが、こちらの前田もなかなかのもの。


 サッカーではリードされているチームから動くのが殆ど常識だと思っていたが、この試合最初に動いたのは広島だった。後半15分、何とよく動いていた前田を下げる。正直に告白するならこれは実に助かった。

 これにあわせるように小林監督が動く。布部を下げて廣山。下村をアンカーに、久藤がその前に立つ。

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 ところがこの交代が裏目に出る。とにかく久藤の位置でボールが停滞するのだ。緩慢なプレーで攻守の歯車がどんどん狂いだす。


 次の一手は西澤アウト黒部イン。

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 この交代は西澤の動きが悪くなった為のもので、打開策にはならない。パスミス、連携ミスが頻発、スタジアムのフラストレーションは最高潮に達した。


 それに付け入るように広島は着々と逃げ切り体制を築く。ラインはやや深めに取り、4バックの前には3人のMF。攻撃はガウボンに代わって入った盛田のポストプレーを起点にシンプルに。

 セレッソはやっとボールを持たせて貰えるようになったが、最終ラインにはびっちりと人が密集していて、思うように攻めきれない。森島も奮戦空しく後半35分にピッチを去る。代わって入ったのは米山。

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 拙攻が続くセレッソ。何度も放たれるミドルは枠を捉えず、米山の飛び出しからのシュートはポストを叩く。天を仰ぐ、残り時間は僅か、もう駄目か。


 恐らく私が知っている「いつもの」セレッソであるならば、このままタイムアップの笛を聞いていただろう。だが、この試合のセレッソは違っていた。変えたのは、間違いなくサポーターの声。


「さあ行こうぜ! 俺たちのオオサカ!」



 挫けそうになる選手の気持ちを、サポーターのコールが支える。観衆はたった6113人だったらしいが、それが未だに信じられない。


「さあ行こうぜ! 俺たちのオオサカ!」



 ロスタイムの3分も刻々と過ぎていく。右サイドからのクロスはラストチャンスか。古橋が最後の力を振り絞って飛び出す。広島DFがたまらずバックチャージ。笛の音が響く。西村主審の右手はペナルティスポットを指した。立体トラス構造の屋根が吹き飛ばんばかりの歓声。


 PKを蹴るのは、今日一番の運動量だったゼ・カルロス。披露はピークだったはずだが冷静に流し込む。ネットが揺れるのを確認したカルロスは全力疾走でゴール裏に駆け出した。スタジアムが一体になった一瞬。これぞフットボール!

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 有体に言うならば、勝ちに等しい引き分けという所だろうか。それだけでもたいしたものだが、この引き分けにはそれ以上の価値が有ると断言できる。

 次節はアウェーの鹿島戦。楽な闘いにならない事など重々承知しているが、今のセレッソは何かを起こす力と運を持っている。今日の試合を観て、期待しないほうが無理と言うものだ。





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