3/31/2005

日本1VS0バーレーン 女神の気まぐれ。

 どんな形でもいいと思った。勝利であればなんでもいいと願った。サッカーの神様は私の願いをかなえてくれたけれど、何故勝てたのか、未だに理由が見つからない。

 無理やり理由付けをするのであれば、最終予選を突破した事が有る国と無い国の経験の差だとか、ホームゲームで相手がずっとプレッシャーの中にいたからだとか、そんな至極ありきたりなものになってしまう。


 スタメンは全く予想通り。

Field-2005-03-30-01


 中田、中村は自由にポジションを変え、福西がそのカバーをする。

 両サイドはどんどん上がっていくわけではなかったが、そんなに下がりすぎているわけではなかったし、思い切ったオーバーラップも有った。

 このあたりは何か「こういう時は上がれ」という「フラグ」が有ったのだと思うけれど、ついぞその「フラグ」が何か見つけられなかった。多分中田、中村がボールをもらった時のシチュエーションか、相手ウイングの位置だと思うのだけれど。

 FWの二人は序盤カバーがあまりいなかったので、下がって受けたり、単独で裏を狙ったりという散発的な動きしか出来なかった。もう少し中田、中村らの飛び出しが有っても良かったように思うが、中田はミスが目立ち、リスキーなプレーを自重していた感が有った。中村も左足のコースを切られていてボールをこねる悪癖が出ていた。


 そう、序盤のバーレーンは予想に反して裏にスペースが出来るくらい全体のポジションが高目だった。プレスをかける位置こそハーフウェーラインを超えた辺りと低く設定されていたが、コンパクトにまとまっている為に、日本はシュートの形にすら持って行けなかった。

 ただバーレーンもこちらの3バック上手くかわす事が出来ず、カウンターの切れ味は鈍かった。前半20分くらいは将棋で言うなら「千日手」のような状態だった。


 動きが有ったのは前半20分過ぎ、バーレーンの両サイド、特に左サイドからだった。バーレーンが三都主、中村、加地の突破をファウルでしか止められない場面が多発し、5分間ぐらい相手ゴール近辺でのセットプレーが続いた場面が有った。

 ただバーレーンの守備意識は高かった。特に3番(マルズーキ)と16番(モハメド)は高さと強さが有り、ロビングのボールはことごとく跳ね返される。高原はこの二人との競り合いで一度も勝てなかった。


 前半の25分からはほぼ完全に日本ペースだったのだが、決定機を作れないまま、前半の45分を終える。


 後半も両軍交代は無し、だがペースは日本が握っていた。高原に二度の好機(決めきれないところは不満、どちらかが決まっていれば…)左サイドを制圧した為に選手が左に寄り、右サイドでも加地が動けるスペースが生まれる。まさにサンドバック状態。バーレーンの決定的チャンスは審判にボールが当たるというアクシデントから混乱を突いた一度きり。

 この辺り(後半15分から25分辺り)でバーレーンは2枚カードを切ってきた。恐らく交代時のマークのズレからチャンスをつかもうという意図が有ったのだろうが、プレーゾーンが完全にバーレーン側だったために期待していたであろう程の混乱は見られなかった。


 そしてその瞬間がやって来る。後半25分頃、バーレーンペナルティエリアのすく外、右サイド約30度の位置からのセットプレー。これを中澤が競り、こぼれたボールは相手の10番(サルディーン)に渡った。

 サルディーンのいた位置はバーレーンゴール左側のすぐ前。「常識」ならゴールから出来る限り遠くへ蹴りだすところ。

 だがサルディーンはゴール左側のエンドラインに蹴りだしてコーナーに逃げるか、よりフリーな味方にパスをするという選択をし、そしてそのキックはミスキックになった。

 バーレーン選手が頭を抱える。得点した側ですら首を傾げるゴール。バーレーン側はどんな想いであろうか。攻撃の核であるはずのサルディーンが、事も有ろうに自らのゴールにボールを蹴りこんだのだ。


 その後、後が無くなったバーレーンは怒涛の攻めに出る。CBのマルズーキまでオーバーラップ。この選手、フィジカルだけでは無い。

 日本の混乱に乗じたバーレーンの鋭いシュートが、二度日本ゴールを襲う。2本とも楢崎が何とか抑えたが、アウェーの試合でのバーレーンは今回よりもずっと前がかりになってくるはず、もう少しラインを上げて、シュートを打たせない姿勢をとってほしかった。


 虎の子の1点を守りきり、勝ち点3を手にした日本だが、選手の調子も、チームワークも決して良いとは言えない状態だ。


 例えば日本は後半30分に鈴木に代えて玉田。試合終了間際には中村に代えて稲本というカードを切ったが、実質交代は玉田の投入のみだった。

 玉田は前に出てきたバーレーンの守備のギャップを突く事に専念していたが、残念ながら目を見張るような活躍は無かった。投入次期の問題も有るのかも知れないが、キーパーソンと注目していただけに、少し不満が残る。

 中田中村のコンビは不協和音こそ無かったが、共鳴しているとも言えない状態。中田の調子はまだ本調子には程遠く、ミスパスやトラップミスも有った。

 高原はジーコにとって絶対的なエースなのだろうが、決定率は高いとは言えない。また鈴木とのコンビプレーも皆無で、再考の余地が有るだろう。


 これだけ課題山積でも勝ち点が取れたという事に、今は満足するべきなのかも知れない。これらの課題が一つずつ消えていくたびに、ドイツへの道がはっきりと見えてくるのだろう。



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