12/28/2004

岡田武史と山本昌邦。

 23日の忘年会の時に「話のタネになれば」と講談社から出ている「FOOTBALL NIPPON」の冬号を買っていたのですが、話が思いのほかはずんでしまって、今の今になって読みだしている次第です。

ジーコは関係ないです。


 冬号という事で、各カテゴリーの監督、川渕キャプテン、FIFA会長プラッター氏などへの今年の総括という切り口でのインタビューが続き、かなり濃めの一冊です。


 その中で特に目を引いたのが横浜Mの岡田武史監督と、磐田の山本昌邦監督へのインタビュー。

 両者ともカテゴリーこそ違えど、代表監督の経験者という点で共通しているのですが、クラブチームの監督としての経験値はまるで違います。両者の受け答えの端々からその経験の差が垣間見えてなかなか面白いです。両者の記事に(ページ間の)距離が有るのは比較されまいとする講談社の配慮かも。

 とても全文は書ききれないのですが、岡田監督の札幌、横浜Mでの体験や、それとどう向き合ってきたかというコメントには、「経験者」の苦労と、それをプラスのエネルギーに変えようとしてきた男の苦悩がにじみ出ています。

こころを入れ替えたからといって、急に運はついてこない。でも、そこで逃げたり投げたりしたら、今から上に向いていくな、という感覚はつかめない。

正解のないことをたった一人で全責任を負って決断するということ。これは怖いよ。


 一方クラブチーム監督としてスタートを切ったばかりの山本監督。こちらは終始明るく、全体的に「もうプランは出来ているんだぞ」という自信が伺えます。もともと磐田と深く関わってきた人ですから、選手の把握といった部分でも不安は少ないのでしょう。

ここのベテランはかなり経験があるんで、もう一回体作りからしっかり磨き上げていけば、また輝きを十分取り戻せると思っています。

常に人が動いて、動いて空いたスペースに次の人が出てきて、そうなる事でパスの質が落ちないような、高いレベルのものを目指しています。それは、簡単に言うと、世界基準ということになると思います。


 うん、強気強気。


 個人的には今いる日本人指導者の中で、岡田監督の能力はかなり傑出しているように感じています。J2の小さなチームでも、J1のビッグクラブでも、制限のある中で見事にノルマをクリアしていった手腕は、もっと評価されるべきだと思っています。

 確かに山本監督も、素晴らしい指導者としての要素はあると思います、しかしまだ彼自身が「原石」の状態。したい事があってもやった事が無い。その経験からまだ何も得ていない。そういった印象をもっています。コメントの終わりがほぼ全て「~だと思います」なのはその表れでは?というのはあまりに揚げ足取りでしょうか。


 日本には、岡田監督のような、高い理想を持ち、そこに行き着くための道筋を選手に示す事が出来る指導者が、もっと必要だと感じています。

 別に全ての指導者が岡田武史的なコーチングをしろ、というわけでは有りません。アプローチはどんなものでも構わないのです。現実に妥協する事無く理想を追う人物であれば、結果はいづれついてくるはずです。


 今回岡田監督と山本監督を比較したのは山本氏を卑下するためでは有りません。二人を対比させることによって、 山本監督の指導者としての方向性が垣間見えるのでは、と思っての事です。

 山本監督がクラブチームでも結果を出せば、新しい日本サッカーの財産になります。山本監督は、その財産になる為に必要な、情熱と知識が有るのです。

道程は平坦ではないですが、いつか、山本昌邦という人物が光り輝く存在となる事を願っています。



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